帝国データバンクNews|「食品主要105社」23年4月までに7152品目値上げ

(株)帝国データバンク(東京都港区、後藤信夫社長)が「食品主要105社」価格改定動向調査を発表した。

来年は今年以上の「値上げラッシュ」が見込まれる。2023年1月から4月まで値上げが決定している品目数は7152品目に上った。品目数は今年と同じ時期(22年1月~4月:4672品目)に比べて50%超多い。発表日ベースでも7000品目に到達した時期は22年4月中旬だったのに対し、23年(予定)は12月時点ですでに到達しており、値上げペースは加速している。

値上げ率平均は18%に達し、2022年通年に比べても4ポイント高い水準である。22年に比べて、最大で40%以上と大幅な価格引き上げを行う企業・食品が多く、値上げ率が大きく高止まりする原因となっている。

当初は輸入食品・飲料が中心だったものの、1年間で三度目の値上げとなった冷凍食品を中心に、2023年の値上げは、再度・再再度の値上げとなるケースが目立って増加している。食材価格の上昇が理由として多かった22年2月当時に比べ、物流費や人件費の上昇などコスト増要因が多様化・複雑化している。最近は落ち着いた推移を見せているものの、22年初に比べると大幅な円安水準であることもコスト増に拍車をかける。改定幅を大幅に上回るコスト増に直面したことも値上げラッシュが長期化する原因となっている。

2023年の値上げで最も多い食品分野は加工食品の3798品目で、23年全体の半数を占める。冷凍食品類のほか、小麦製品や水産缶詰、水産練り製品といった品目での値上げが多い。また、チルド麺など「麺製品」の値上げも目立つ。値上げ率平均は19%で、11月末時点に比べて上昇する。

次いで多いのが、酒類・飲料の1442品目で、輸入ウイスキーやワイン、焼酎など主に酒類の値上げが2月以降本格化する。なかでも輸入洋酒は原油価格の高騰などで輸送コストが上昇しているほか、円安にともなう輸入コストの上乗せも重なり、大幅な価格引き上げを行う品目が目立つ。

醤油のほかドレッシングやソース、ケチャップなど調味料は1343品目である。嗜好性の強い菓子(480品目)は再値上げとなる品目が多い一方、本体価格の引き上げではなく内容量減による価格維持=「実質値上げ」の傾向がやや目立つようになった。原材料も家庭用オリーブオイルなど食用油で再度値上げの動きがみられるほか、パンなどでも実質値上げの動きがみられる。

来年値上げする予定の品目数は増加する見通しとなっている国際原油市況などはすでに値上げ傾向がピークアウトしているものの、円安の影響で輸入食材は価格の上昇が続き、原材料価格や包装資材高騰、物流コストのほか、来年1月には電気・ガス代も大きく引き上げられる見込みとなるなど、コスト上昇圧力は解消に至っていない。

こうした値上げを強いられる環境にもかかわらず、上昇幅が9%台企業物価と3%台消費者物価との乖離は大きい。消費者に近い製品・業種ほど価格転嫁十分に進まず、結果的に企業における値上げの「マグマ」は発散しきれないままの状態が続いている。そのため、現状価格では採算が合わないとして価格設定を適宜見直すケースは今後も発生すると見られ、来年以降も断続的に値上げが続く可能性が高い。

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