高島屋news|年商4661億円・経常利益492億円・経常利益率10.6%
(株)高島屋(大阪市中央区、村田善郎社長)が2024年2月期の本決算を発表した。
2023年3月1日~2024年2月29日の業績は、営業収益4661億3400万円(前期比5.1%増)、営業利益459億3700万円(41.3%増)、経常利益491億9900万円(42.5%増)、当期純利益316億2000万円(13.6%増)の増収増益だった。利益はいずれも過去最高を更新した。
営業利益率9.9%、経常利益率10.6%。
主力の百貨店業は、営業収益3385億2100万円(5.4%増)、営業利益296億5000万円(61.1%増)。国内百貨店では社会経済活動が活発化し、来店客数が増加した。国内顧客の売上げも、婦人服、紳士服、化粧品などのファッション関連商品を中心に堅調に推移した。また、インバウンドの売上げでも、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品が好調であり、円安による客単価の上昇も売上高を押し上げた。
各店の店頭における商品利益率下げ止まり、持ち直した。利益率が高いファッション関連商品の売上高が伸長したことに加え、各カテゴリーにおいて、同じく利益率が高い正価品などの売上高増大に向けた取り組み効果も全体を押し上げている。また、前年度から主要店舗でスタートさせたコスト構造改革において、本年度は全店レベルに拡大するなどコスト削減を推進した。品揃え魅力拡大による売上高増大、商品利益率改善、コスト削減に向けた一連取り組みは成果を得ており、安定的に利益を創出できる経営体質への転換が進んだ。
ECでは、化粧品の品揃え拡充や、各店で行っていた出荷作業の共通倉庫一元化による配送リードタイムの短縮など、オンラインストアの魅力向上に取り組んできたが、店頭への来店客数増加の影響により、売上高の目標には至らなかった。
レストランや喫茶・カフェなどを出店、運営している(株)アール・ティー・コーポレーションでは、昨2023年6月、横浜店に洋食、和食、中華を取り揃える「レストラン ローズ」をリニューアルオープンした。また、同年11月に国内28店舗目となる台湾台北市の点心料理店「鼎泰豐」を東京自由が丘にオープンした。
海外(2023年1月〜12月)では、シンガポール2社がけん引した。開店30周年を迎えたシンガポール高島屋は、国内顧客の堅調な推移やツーリストの回復もあり、売上高、営業利益とも大きく伸長した。また、ホーチミン高島屋は、ベトナム初となる日本ブランドの導入など新たな取り組みを推進したことで増収増益となった。さらに、サイアム高島屋は、ツーリストを含む入店客数の増加に伴い売上高が回復し、赤字幅が縮小した。一方、上海高島屋は、前年度のコロナ影響による休業(67日間)の反動もあり大きく増収となったが、コスト増も同じく大きく、減益となった。
商業開発業は、営業収益519億4800万円(9.3%増)、営業利益120億4200万円(30.0%増)。東神開発(株)の国内事業においては、商業施設の売上高増大や賃料収入の回復もあり、堅調に推移した。昨2023年10月には京都店の隣接地に専門店ゾーン「T8」が新たにオープンし「京都高島屋S.C.」を開業した。地下1階から7階までの各フロアが、現代アートや日本が世界に誇るサブカルチャー、エンターテインメント、フードなど特徴的な8つの異なる空間で成り立っている。同年11月には「立川高島屋S.C.」がリニューアルオープンした。デイリー性の強いテナントや体験型のコンテンツを導入するなど、地域のニーズに応じた商品、サービスを提供している。
海外(2023年1月〜12月)については、トーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD. は賃料収入が回復したことにより堅調に推移した。ベトナムでは、教育施設を対象とした賃貸事業や住宅・オフィス・商業の複合開発事業など、現地での事業基盤の拡大を進めている。
金融業は、営業収益174億3700万円(1.3%増)、営業利益46億0900万円(2.1%増)。高島屋ファイナンシャル・パートナーズ(株)においては、収益の柱であるカード事業の取扱高伸長やライフパートナー事業における顧客基盤の拡大による効果もあり、増収増益となった。
カード事業においては、百貨店・専門店への入店客数が増加するなか、新規会員の獲得強化を継続して進めるとともに、外部加盟店を含め利用促進を図ったことにより取扱高が伸長した。さらに、昨年8月からビジネスオーナー・個人事業主を対象とするビジネスカード「タカシマヤカード《ビジネスプラチナ》アメリカン・エキスプレス®」の発行を開始した。順調に会員を獲得しており、百貨店とのシナジー発揮による顧客満足度の向上につながっている。
ライフパートナー事業においては、本年からスタートした新しいNISA制度や人生100年時代のライフプランなどをテーマとしたセミナーを開催した。また、NISAと保険を組み合わせて相談ができるコーナーを設置した。相談数・申込数が着実に増加している。さらに、ソーシャルレンディング事業においては、昨年10月に貸付型クラウドファンディングに関する豊富な実績とノウハウを有する(株)バンカーズと業務提携し、本年1月に第1号、2月に第2号ファンドを組成した。この提携を機に新たに「高島屋ファンディング」として取り扱いの幅を広げ、金融事業の収益とグループとしての顧客接点拡大を図る。「高島屋ネオバンク」の「スゴ積み」においては、昨年7月より積立の満期を迎えた顧客の決済利用が始まった。若い世代や男性の顧客が多く、平均積立額も高いといった特性に合わせたアプローチを推進し、会員数の拡大、継続率アップと決済の利用促進につなげた。
建装業は、営業収益279億4500万円(前年同期比23.2%増)、営業損失7億3100万円(前年は営業利益1600万円)。高島屋スペースクリエイツ(株)においては、ホテルなどの大型物件やラグジュアリーブランドを中心とした商業施設の受注が増加し、増収となったが、大型物件における一過性の原価増大の影響もあり、赤字となった。
2025年2月期は、営業収益4970億円(6.6%増)、営業利益500億円(8.8%増)、経常利益530億円(7.7%増)、当期純利益340億円(7.5%増)を見込む。