9月訪日外客数統計|台風・地震の影響で前年比5.3%減216万人

日本政府観光局(JNTO)が、9月の訪日外客数を発表した。

訪日外客数は216万人で5.3% (前年同月比)減少した。昨2017年9月の228万人を約12万人も及ばなかった。2013年1月以来、5年8カ月ぶりに前年同月を下回った。

台風第21号の被害による関西空港の閉鎖や北海道胆振東部地震の影響による新千歳空港の閉鎖によって、航空便の欠航や旅行のキャンセルが発生した。訪日外客数の約7割を占める東アジア市場では、関西、北海道への訪問者も多く、この2つの空港閉鎖が、訪日外客数を下げる一因となった。

一方で、東南アジア市場やイギリスを除く欧米豪市場では、両空港への航空便に欠航はあったものの、訪日者数は増加傾向を維持した。

国別の状況を見ておこう。

[東アジア]
中国65万3700人(3.8%減)、韓国47万9700人(13.9%減)、台湾32万9100人(5.4%減)、香港12万6200人(23.8%減)。

中国は、2空港の閉鎖で団体旅行のキャンセルや延期が発生した。また、台風の影響で、クルーズ船も欠航や寄港中止を余儀なくされた。

大阪が人気の旅行先である韓国は、関空閉鎖の影響を受けて、訪日客数は大幅にダウンした。一方で、昨年は10月だった秋夕(チュソク・旧盆)の休暇が9月下旬となったことで、9月末には訪日客も増加した。

台湾は、昨年は10月であった中秋節休暇が9月に3連休となったことで一定の旅行需要の増加につながったものの、北海道胆振東部地震、台風24号の影響によって、航空便の欠航が相次いだため、前年同月を下回った。

香港は、関空閉鎖や北海道胆振東部地震だけでなく、香港を直撃した台風22号の影響を受けて、航空便の欠航と旅行のキャンセルが多数発生して、前年同月を下回った。

[東南アジア]
東南アジアの7カ国すべてが9月として過去最高を記録した。タイ5万4400人(9.8%増)、ベトナム2万9300人(15.4%増)、マレーシア2万6700人(0.8%増)、フィリピン2万4800人(10.4%増)、インドネシア2万4400人(10.7%増)、シンガポール2万3400人(5.4%増)、インド1万3300人(15.5%増)。

タイは、新規就航や増便もあって航空座席供給量が大きく増加したため、訪日者数は増加を維持した。

ベトナムは、9月2日が祝日となり、振替休日を含めて3連休となったことで旅行需要が高まった。空港閉鎖による一部ツアーのキャンセルが発生したものの、訪日者数は堅調な伸びを維持した。

マレーシアは、祝日の振替休日によって9月中に4連休が1回、3連休が1回あったため、旅行需要が高った。ただし関空閉鎖の影響を受けて、訪日者数は微増に留まった。

フィリピンは、マニラ・セブ・クラーク発-関西線の欠航があったものの、フィリピン航空のセブ-中部線の増便により訪日者数は2 桁台の伸びを維持した。

インドネシアは、インドネシア・エアアジアX のジャカルタ-成田線の就航が5月に開始したことが、訪日者数2桁台の伸びを支えた。

シンガポールは、9月初旬がスクールホリデーであったことや訪日需要拡大のためのプロモーションが奏功して訪日者数は増加を維持した。

インドは、昨年は9月にあった休暇が今年は10月になったことで旅行需要の減少があったが、旅館や航空会社と連携した旅行会社対象セミナーなどの取り組みが訪日者数の増加につながった。

[豪州・北米]
アメリカ10万4600人(4.4%増)、オーストラリア4万8600人(10.2%増)、カナダ2万3100人(3.5%増)。

各国とも9月として過去最高を記録した。
アメリカは、外国旅行需要自体が引き続き増加傾向にあることや、クルーズ船需要が好調であったことに加え、メディアでの日本関連記事が増加していることが訪日需要を下支えした。

オーストラリアは、旅行博への出展、航空会社との共同広告などの訪日旅行プロモーションに加え、クルーズ船需要の増加もあり、訪日者数は堅調に推移した。

カナダは、6月からエアカナダのモントリオール-成田線の新規就航による直行便の座席供給量の増加があったものの、関西空港の閉鎖によるバンクーバー-関西線の欠航やツアーのキャンセルなどもあり、伸び率は1桁台に留まった。

[欧州]
イギリス2万6900人(0.8%減) 、フランス2万0100人(9.9%増)、ドイツ2万人(9.2%増)、イタリア1万2300人(20.6%増)、スペイン1万0600人(13.1%増)、ロシア7600人(17.1%増)。

イギリス以外は、9月として過去最高を記録した。
イギリスは、旅行会社を利用した訪日旅行は好調であったものの、個人手配やクルーズ船を利用した訪日旅行が鈍化したことなどにより、前年同月を下回った。フランスは、旅行博への出展、航空会社との共同広告、メディア招請などのプロモーションが訪日需要の増加に寄与したと考えられる。ドイツは、関西空港の閉鎖や北海道胆振東部地震の影響で、一部訪日旅行のキャンセルが発生したものの、ルフトハンザドイツ航空のフランクフルト-中部線の増便による航空座席供給量の増加や訪日旅行プロモーションの効果もあり、訪日者数は堅調に推移した。イタリアは、経由便の座席供給量の増加に加え、雑誌や「JNTO イタリア語Facebook」での情報発信によって、旅行先としての日本の認知度が高まり、訪日者数は引き続き好調に推移した。スペインは、外国旅行需要自体が増加傾向にあることに加え、継続的に展開している訪日旅行プロモーションが功を奏して訪日者数は引き続き2桁台の伸びとなった。ロシアは、北海道胆振東部地震の影響で、新千歳線が欠航となり、9月の訪日者数に影響を及ぼした。しかし、航空路線の新規就航や増便に加え、訪日旅行プロモーションの効果もあって大きく伸長した。

関連カテゴリー

統計 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧