11月SC統計|既存SC売上高は前年同月比1.3%増、前月から2.7ポイント改善

(一社)日本ショッピングセンター協会(東京都文京区、清野智会長)が12月23日(木)に発表した「SC販売統計調査」によれば、11月の既存SC売上高は前年同月比伸長率プラス1.3%となり、7月以来4カ月振りに前年を上回った。

前年同月よりも日曜日が1日少なかったものの、緊急事態宣言等の解除によって客足の戻りが見られた10月からさらに回復傾向が見られ、前月を2.7ポイント上回った。

立地別では中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率プラス5.8%となった。飲食店の営業時間短縮要請等が解除されたことにより、繁華街に立地する SC の来館者数が増加し、売上増につながった。一方、未だ20時以降の集客や売上げが伸び悩んでいるという声も聞かれ、2019年比ではマイナス16.9%と厳しい状況は続いている。

中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率プラス2.3%となった。キーテナントは同プラス6.9%となり、2019年比でも0.5%とコロナ下前の水準まで回復した。婦人服・服飾雑貨が好調な百貨店が全体を押し上げた。

周辺地域は総合で前年同月比伸長率±0.0%となった。手近なレジャー需要に対応した広域商圏型SC は10月に引き続き堅調であった一方、コロナ下で地元客を集めていた地域密着型SC では中心地域のSC への流出が見られた。

地域別では、北陸と四国を除く7地域で前年を上回った。
北海道は、前年に大きく落ち込んだ反動もあり、総合では前年同月比伸長率プラス23.6%と前年を大幅に上回ったが、2019年比でみると、マイナス17.6%と全9地域で最もマイナス幅が大きい。

東北は、総合で前年同月比伸長率はプラス2.9%となった。新型コロナウイルス感染者数の減に伴い、主に中心地域のSCで、平日のビジネス客や休日の観光客の利用が目立った。

関東は、総合では前年同月比伸長率プラス1.0%と僅かに前年を上回った。中心地域がプラス3.5%、周辺地域がマイナス0.2%となった。特に東京区部の繁華街やオフィス立地のSCで来館者に増加傾向が見られ、中心地域のプラスに寄与した。一方、周辺地域は徐々に中心地域へ人の流れが戻ってきたことが影響し、わずかに前年を下回った。特に、横浜市のキーテナントは郊外SC の食品スーパーマーケットが苦戦し、マイナス10.0%と前年を大きく下回った。

近畿は、総合で前年同月比伸長率プラス0.5%となった。中心地域がプラス4.8%、周辺地域がマイナス0.7%で、関東と同様の傾向が見られた。大都市では、大阪市(前年同月比伸長率プラス2.7%)と神戸市(プラス5.0%)の繁華街やオフィス立地のSC に回復が顕著だったが、京都市は総合でマイナス2.3%となった。これは、紅葉シーズンにGoToキャンペーンで売上げを伸ばした前年の反動によるものだ。

北陸は総合で前年同月比伸長率マイナス1.2%、四国は総合でマイナス2.5%と前年を下回った。両地域とも、テナント退店による空床が見られたことが売上高減の一因となった。また、四国では、外出自粛要請を続けた自治体もあり、前年の売上高を大きく下回ったことも要因となった。

業種別では、「ファッション」は外出機会の増加に月後半からの気温低下が重なって、冬物商品への需要が高まり、衣料、靴、バッグなどが好調だった。また、出張や観光に戻りが見られ、地方都市のSC では「土産物」に動きが見られた。
「飲食」は 10月以降、緊急事態宣言等の解除で酒類の提供が再開されたことに加え、コロナ感染者数の減少とワクチン接種率の上昇によって、ディナータイムの客足に戻りが見られ始めた。

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