帝国データバンクnews|2023年の値上げは30年間で類を見ない3万2396品目

(株)帝国データバンク(東京都港区、後藤信夫社長)によると、主要食品メーカー195社における家庭用中心の飲食料品の値上げ品目が2023年で累計3万2396品目となった。当初想定の3万5000品目を下回ったものの、22年累計の2万5768品目を6628品目、25.7%上回った。

2年連続で全食品分野において値上げが行われていて、年間3万品目を超える規模はバブル崩壊以後の過去30年間で例を見ない「記録的な値上げラッシュの1年」となった。

月別では2月が最多となっていて、冷凍食品やかまぼこなど練り製品、つゆ・だし製品、菓子類など計5639品目で値上げとなった。22 年1月以降でも2番目に多い水準だった。

22年の「急激な円安進行」による原材料高に加え、電気・ガスなどのエネルギーコスト、包装資材や物流費の上昇分を製品価格に反映した動きが続いたことで、月当たり2000~3000品目前後の値上げが常態化した。

8月以降は前年同月を下回る水準が続き、ハム・ソーセージやアイスなど幅広い食品が値上げした10月(4758 品目)は前年同月比で 4割減、11月は過去 2年間で最少となる139品目となった。23年の値上げラッシュは10月でピークアウトした。

2024年は、1月から 5月までに値上げが決定している飲食料品は、オリーブオイルやゴマ製品、ケチャップや冷凍食品、輸入ウイスキーなど累計で3891品目。22年12月末時点で判明した23年の値上げ予定品目数が9781品目であったのに対し、約4割(39.8%)の水準にとどまる見込み。

単月では2月が最多で1609品目と、23年10月以来4カ月ぶりに1000品目を超える見込み。4月(1352品目)とあわせ、24年春まで小~中規模な値上げラッシュが断続的に発生する見通しとなる。

ただし、1回当たりの値上げ率平均は17%となり、22年(14%)、23年(15%)を上回る見込み。オリーブオイルなど輸入製品を中心に、最大 50%以上と大幅な価格引き上げを行う食品が多いことも要因となっている。

また、2024年の値上げは、23年初旬に値上げして以降1年ぶりに価格改定を行う食品も多い。値上げ要因としては食材価格の上昇に加え、プラ製トレーや紙パックなどの包装資材、物流費の上昇が引き続き多くを占めている。また、「円安」の占める割合は 39%を占め、23年通年の水準から倍増したほか、「人件費」(16%)も23年を大きく上回って推移している。サービス価格では既に人件費増を反映した上昇傾向が顕著にみられることから、今後は食品分野でも賃上げ原資の確保に向けた値上げが進むことも想定される。

一方、「電気代」は激変緩和措置が 5月に縮小する見通しとなっていて、エネルギーコストの増加が値上げ要因となる可能性が残る。通年の値上げ品目数は最大で1万~1万5000品目の水準と予想している。

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