スーパーマーケットは既存店プラス5.2%で5月も好調を継続中だが…
百貨店、総合スーパー、コンビニエンスストアに続き、今日はスーパーマーケットの5月の数値を報告しよう。日本スーパーマーケット協会(JSA)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)の3団体合同の統計調査。
毎月、3協会が交代で発表するが、今月はJSA事務局長の江口法生さんが担当。
まず5月の速報数値は次の通り。
総売上高は8759億6465万円で、既存店は前年同月比プラス5.2%。
内訳は、
食品合計 7711億0370万円 プラス5.2%
生鮮3部門合計 2932億8308万円 プラス6.4%
青果 1227億2780万円 プラス9.7%
水産 764億1052万円 プラス3.0%
畜産 941億4476万円 プラス5.0%
惣菜 847億0923万円 プラス6.0%
日配 1659億5996万円 プラス4.2%
一般食品 2271億5143万円 プラス4.1%
非食品 724億3393万円 プラス6.0%
その他 324億2702万年 プラス3.3%
「昨年は消費税増税があり、3月は売上げが伸びて、その反動で4月は落ちた。今年はその反動で4月は大きく伸びるだろうという予想はできていたが、5月も既存店昨対プラス5.2%と、非常に大きな伸びとなった。これには驚いた。生鮮品の相場高があることは確かだが、食品スーパーマーケットの核となる青果、水産、畜産がここ1年ずっと好調に推移している。それが貢献している」
「5月の気温は全国的に例年より高かったため、各社、涼味商材を中心によく売れた。また加工食品は昨年4月以降伸び悩んでいたが、一年経って回復し、大幅プラスとなっている。5月は曜日まわりで見ると日曜日が一回多い。また、ゴールデンウィークの休みも例年より一日多かった。昨年は4連休が一般的だったが、今年は5連休だったことも昨対大幅伸長の要因だろう」
「平成25年から徐々に回復してきた景気は、26年には増税により乱高下があったものの、27年は堅調に推移している。5月もなお、これだけの伸びを示しているのは、食品スーパーマーケットの核となる生鮮が好調であることが大きい。一方で、加工食品、日配も伸びている。これらの部門は食品スーパーマーケットにとって『儲け』の部門。好調であることは利益貢献につながる。売上げを見ても、悪い部分が見当たらない。業界としては非常にうれしい状況だ」
「生鮮の相場高の影響はあるものの、各社からは『価格だけではなく、良いものも売れている』という声が聞かれる。もちろん売上構成比としては決して大きくはないが、定番商品や低価格商品と共に、価格の高い商品が売れていることは、売上げを引き上げる要因になっている」
「『生鮮を磨く』ことに一生懸命取り組んできた成果が食品スーパーマーケット全体の売上げを大きく伸ばしている。5月はコンビニエンスストアが1.6%増、チェーンストア協会(総合スーパー)と百貨店は5~6%の昨対増ということが発表されている。比較的ノンフードの構成が高いチェーン協や百貨店と、ほぼ食品で構成されているスーパーマーケットが同等の伸びということは、スーパーマーケットにとって、底堅い良い状況といえる」
5月は既存店昨対の数値を大きい順に並べていくと、
百貨店がプラス6.3%、
総合スーパーがプラス5.7%、
スーパーマーケットがプラス5.2%、
そしてコンビニエンスストアがプラス1.6%。
全業態、2カ月連続プラスという結果になった。
しかし、同じプラス成長でも、増税反動効果の大きかった非食品を売る百貨店と、反動効果の少ない食品スーパーマーケットとでは、プラスの中身が大きく異なる。それが5月の重要なポイントである。
好不況に左右されないことが、食品スーパーマーケットの強みであり特徴である。つまり不況の中でも一定程度売れる代わりに、好況のときにもそうは伸びない。しかし現在のアベノミクス景気には、百貨店、総合スーパーとほぼ肩を並べて伸びている。それに対してコンビニが1.6%の前年比。もしかしたら好不況に左右されない代表業態はコンビニになりつつあるのかもしれない。そうだとすると、これは逆に日本の消費社会の主役の座をコンビニに奪われつつあるということを示していて、スーパーマーケットにとっては面白くはない結果である。
もちろんコンビニ産業全体では、チェーン別に明暗がはっきりしていて、セブン-イレブン一人勝ちの様相。それはコンビニ全体の失速を示してもいるから、消費社会の主役の座がどの業態にあるのかは早計に判断できるものではないけれど・・・・。
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