外食産業売上高12月は2.7%増、2015年間結果は0.1%増
外食産業は、食品小売業の水先案内人の役目を果たしている。小売業に先駆けて、フードサービス業に起こるトレンドをつかむことは、「すでに起こった未来」を見ることにもなる。その12月の外食産業市場動向調査を一般社団法人日本フードサービス協会(JF)が発表した。新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計した結果である。
全体概況
12月は暖冬により客足が良く、忘年会、クリスマス、帰省など年末需要が好調で、前年を上回り2.7%のプラスとなった。その一方で冬メニューはあまり伸びず、ファーストフードの和風メニューがマイナスとなり、また、店舗数削減が続いている居酒屋も前年を下回った。
下記参考資料をみると、本当に2015年12月が暖冬だったことがわかる。平均気温が東京都は2.6℃、大阪府は3.3℃も2014年12月より高い。数字で見ると、より実感がわく。
(表はすべて(社)日本フードサービス協会・外食産業市場動向調査より)
業態別概況
<ファストフード業態>
店舗数、客数がマイナスだったものの、客単価が7.0%の伸びとなり、全体売上高は4.2%プラスとなり、前年同月を上回った。
洋風――期間限定メニューやクリスマス需要が堅調。売上高は4.8%のプラス。
和風――売上高マイナス0.6%。気温高が原因で冬の季節メニューが振るわなかった。
麺類――新商品と新店の健闘で6.6%プラスと好調。
持ち帰り米飯・回転寿司――新商品が好調で2.5%のプラス。
その他――売上高8.2%のプラス。暖冬を追い風に「アイスクリーム」が好調で、「カレー」も期間限定メニューが堅調に推移した。
<ファミリーレストラン業態>
全体売上高はプラス2.2%。店舗数、客数、客単価全てプラスとなった。
洋風――売上高プラス0.9%。客単価はマイナスだったが、店舗数、客数はプラスを計上。
和風――年末の帰省需要をうけ、売上高は3.9%プラス。店舗数、客数、客単価も全てプラスだった。
中華――店舗削減に伴い客数が減ったが、高付加価値メニューの投入で客単価がアップし、売上高は0.1%とわずかなからもプラスとなった。
焼き肉――相変わらず人気の焼肉は、売上高7.6%と12月も好調。
<パブ・居酒屋業態>
パブ・ビアホール――忘年会シーズンを受け売上高4.1%プラスとなった。
居酒屋――年末需要はあったものの、店舗数がマイナス10.9%と大幅に削減され、売上高もマイナスとなり厳しい状況である。
<ディナーレストラン業態>
売上高7.5%、店舗数5.0%、客数5.4%、客単価2.0%全てプラス。暖冬効果及びクリスマス、年末需要が大きかった。
<喫茶業態>
客数はマイナス0.4%だったものの、客単価が3.0%を計上し、売上高は2.5%のプラスとなった。
外食産業も2015年1年の報告があった。
全体では2年ぶりに0.1%の増加。店舗数は0.1%増で、それがそのまま外食産業の売上げ増になった。ちなみに客数はマイナス3.1%、客単価はプラス3.3%で、単価のアップが昨年のトレンドだった。
業態別売上げでプラスだったのは、
ファミリーレストラン 3.8%
ディナーレストラン 6.0%
喫茶 2.5%
その他 6.1%
4業態とも4年連続して前年を上回った。
ファミリーレストランに関しては、特に焼肉が8.7%プラスと好調で全体売上げを押し上げた。
一方マイナスだったのは、
ファストフード ▲2.6% 3年連続マイナス
パブ・居酒屋 ▲5.7% 7年連続マイナス
2015年は、異物混入問題が外食需要に影響を及ぼして、ファストフード洋風の売上げを大きく減らした。食は安全が一番。消費者は敏感で、失った信用を取り戻すには時間がかかる。そんな中、2016年も早々に廃棄食品横流し事件が発覚した。小売業にも外食産業にも食の安全を考える年明けとなった。
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