【12月家計調査】1世帯あたり消費支出31.8万円・内食料8.8万円

1月29日に総務省統計局より12月の家計調査(二人以上の世帯)速報が発表された。

総務省統計局は、世帯を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査している。全国約4,700万世帯の中から、約9,000世帯を抽出。調査結果は、景気動向の把握、生活保護基準の検討、消費者物価指数の品目選定及びウエイト作成などの基礎資料として利用されているほか、地方公共団体、民間の会社、研究所あるいは労働組合などでも幅広く利用されている。特に小売業のマーケティングには有益だ。
二人以上の世帯には、「勤労者世帯」「無職世帯」のほか世帯主が個人経営者、法人経営者、自由業者などの世帯が含まれる。

12月の二人以上の世帯結果は

20160129_daily_03

   ・12月の消費支出は,1世帯当たり  31万8254円だった。
     前年同月比  実質4.4%の減少      前月比(季節調整値)  実質1.0%の増加
                            名目4.2%の減少
 
  ・消費支出(除く住居等※)は、1世帯当たり  27万7126円
         前年同月比  実質4.3%の減少      前月比(季節調整値)  実質1.0%の増加
                            名目4.1%の減少

   ・勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり  90万0,229円
        前年同月比  実質2.9%の減少

   ・無職世帯の実収入は、1世帯当たり  38万9,310円
        前年同月比  実質1.9%の増加

勤労者世帯の実収入は、11月が1世帯当たり42万5,692円だったのに比べ、12月はボーナス月のため通常月の2倍近くなっている。また12月は年末年始の影響で消費支出も多く、1世帯当たりの消費金額も11月の27万3,268円に比べ、4万4,986円多く31万8,254円となった。

下記の表は、消費支出の推移と実収入の推移を示しているが、これは3カ月後方移動平均による。移動平均法とは、一定の区間(期間)を定め、範囲をずらしながら平均をとっていくことで、規則的な変動要素、たとえば季節変動や不規則な変動要素(無作為変動)の影響を除いて、推移を「平滑」にすることができる手法である。この移動平均法を使うと、その変動が季節の影響によるものか、実際に成長しているかが見えてくるので、経済の状況を正しく判断できる材料となる。

20160129_daily_01

20160129_daily_02

12月の消費支出の対前年同月実質増減率に寄与した主な品目等も報告された。
対前年同月実質増減率(寄与度)である。

〈減少品目〉
住 居

設備修繕・維持
 ・外壁・塀等工事費  ▲41.1% (▲0.55)
光熱・水道  
電気代  ▲7.4% (▲0.24)   
他の光熱  ・灯油 ▲ 24.4%(▲0.26)
家具・家事用品
家庭用耐久財
  冷暖房用器具
  ・エアコンディショナ ▲39.8% (▲0.10)
  ・ストーブ・温風ヒーター▲46.5% (▲0.09)
被服及び履物
洋服
 ・男子用洋服-背広服 ▲16.6% (▲0.02)
 ・婦人用洋服-婦人用コート ▲28.0% (▲0.07)
 ・子供用洋服-子供服 ▲12.0% (▲0.03)
 ・シャツ・セーター類
   男子用セーター▲19.6% (▲0.02)、
   婦人用セーター▲17.2% (▲0.06)
 ・他の被服
   マフラー・スカーフ ▲27.4% (▲0.02)
   手袋 ▲36.6% (▲0.02)
交通・通信
自動車等関係費
 ・自動車購入 ▲18.8% (▲0.26)
 ・自動車等部品 ▲37.2% (▲0.27)
通信
 ・固定電話通信料 ▲14.5% (▲0.11)
 ・移動電話通信料 ▲3.9% (▲0.11)
教養娯楽
 教養娯楽サービス
 ・外国パック旅行費 ▲65.5% (▲0.32)

〈増加品目〉
食料
菓子類
 ・アイスクリーム・シャーベット 24.6% ( 0.03)
調理食品 1.3% ( 0.05)
飲料 5.1% ( 0.06)
外食
 ・一般外食 1.6% ( 0.06)
保健医療
保健医療サービス 
 ・他の入院料 73.3% ( 0.23)  *「他の入院料」とは、「出産入院料」以外のもの

住居、家具・家事用品、教養娯楽が大幅に減少し、保健医療の入院料が73.3%とは高齢者の増加を数字が表している。それにしてもインバウンドが騒がれている日本なのに、年末休暇のある12月でさえ外国パック旅行費 が65.5%も減少しているというのも残念な結果だ。先日JNTO(日本政府観光協会)から12月の訪日外客数の発表があり、1970年以来45年ぶりに訪日外客数が出国日本人数を上回ったと報告された。この家計調査からもその傾向が見えてくる。

この中で食料の項目が増加となっている。食品小売業にとって嬉しい結果だが、詳細をみてみよう。
消費支出額 31万8,254円のうち、食料の支出額は8万8,327円だった。約28%を食費に使ったことになり、これが「エンゲル係数」と呼ばれる。

内訳は、穀類7,672円、魚介類10,239円、肉類8,904円、乳卵類3,829円、野菜・海藻9,365円
果物3,155円、油脂・調味料4,277円、菓子類6,750円、調理食品12,526円、飲料4,130円
酒類4,167円、外食13,314円。

鮮魚と生鮮肉の数字を詳しくみてると下記のとおり。
鮮魚はまぐろ、しゃけ、ぶり、かに、えびが購入数量を伸ばしている。
正月に向けての準備が見えてくる。

20160129_daily_05

生鮮肉は豚肉の購入数量が多い。鶏肉もそれに迫る数字となっているのは、
やはり正月料理の雑煮などによる使用頻度が多かったためである。

20160129_daily_04

12月は食品項目からも年末年始の影響が多く寄与したことがわかる。また外食が増加項目となっているのも同じ要因だと思われる。詳細は(「家計調査結果(総務省統計局)」)出典のこちらのエクセル表をご覧いただきたい。細かくみていると日本人の1カ月の生活が浮かんでくる。

⇒第1-1表 都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり1か月間の収入と支出(二人以上の世帯)           
⇒第4-1表 都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たりの支出金額,購入数量及び平均価格 (二人以上の世帯)                   
                                
*上記の総務省の表は商人舎magazineのDATABASEにも掲載中。

検索ワード : 総務省統計局  12月  家計調査  移動平均法  消費支出

関連カテゴリー

統計 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧