【1月百貨店】高気温で冬物商材が伸びず昨対1.9%減

日本百貨店協会から発表された2016年1月の百貨店の業績。
売上高は5309億8127万円、前年同月比▲1.9%となり2カ月ぶりのマイナスで、2016年の始まりは厳しい数字となった。調査対象百貨店は82社238店と変わらず。

マイナスの大きな要因として挙げられたは3つ。
1.正月休暇が1日少なかったこと。
2.月の前半気温が高く、防寒商品の動きが鈍かったこと。
3.一部地域で大雪の影響を受けたこと。

主要10都市を、売上前年比の伸長率が高かった順に見ると
京都が、218億8177万円、プラス3.8%(6カ月連続)。
札幌は、137億9297万円、プラス1.4%(2カ月連続)。
仙台は、78億3939万円、プラス1.9%(2カ月連続)。
東京は、1392億0230万円 プラス0.2%(10カ月連続)
となり、この4都市だけが昨対プラスだった。
一方、マイナスだった地区は、福岡▲0.7、横浜▲1.3%、広島▲1.7%、名古屋▲1.8%
神戸▲2.7%、大阪▲3.9%の6都市。

10都市以外の地域では、東北▲0.8%、中国▲1.7%、近畿▲2.1%、四国▲2.1%、
九州▲3.7%、中部▲4.4%、関東▲5.0%、北海道▲7.3%とすべてマイナス。
1月は都市部も苦戦したが、地方はとくに厳しい結果となった。

主要5品目を見てみよう。
まず主力の衣料品は、1996億9992万円、▲6.6%(3カ月連続)。
紳士服▲7.7%、婦人服▲6.8%、子供服▲3.8%、その他衣料▲3.1%とすべてマイナス。
月の前半、高気温で冬物衣料が苦戦したことが大きく影響している。

身のまわり品は、760億9587万円、プラス0.5%(2カ月連続)。

雑貨は、804億2731万円 、プラス5.4%(10カ月連続)。
とくに、化粧品が18.4%と好調で、10カ月連続のプラスとなった。
しかし美術・宝飾・貴金属が3.3%のマイナスを計上。
昨年4月からずっと好調だったが10カ月ぶりにマイナスとなった。
協会の分析によると、昨年同時期に高い伸びを示した輸入時計の反動減や、
人気モデル品薄感などが主な要因とみられる。
その他雑貨は▲1.1%だった。

家庭用品は、237億1266万円、マイナス0.2%(2カ月ぶり)。
家電は12.1%増と好調で2カ月ぶりのプラスを計上。その他家庭用品1.3%増。
家具は▲7.2%となり5カ月ぶりのマイナス。

食料品は、1228億9301万円、プラス0.3%(2カ月連続)。
菓子1.6%、その他食料品は2.6%とプラス。
一方、惣菜は▲1.4%、生鮮食品▲2.9%だった。

その他の結果は、食堂喫茶▲2.9%、サービス▲9.3%、その他0.0%、商品券▲5.1%。

訪日外国人客の消費は変わらず好調で、36.2%プラスで売上額は約173億円。
購買客数は59.1%プラスの約25万人。
36カ月連続のプラスとなり、百貨店の業績を支えている。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、1月の訪日外国人客数は、
前年同月比52.0%プラスの185万2000人。
2015年1月の121万8000人を63万人以上も上回り、1月としての最高を記録した。
主な要因としては
1.アジア地域での学校休暇
2.欧米豪地域における航空路線の拡大
3.燃油サーチャージの値下がりを受けた訪日需要の拡大
4.継続的な訪日旅行プロモーションの効果
5.円高による割安感の定着
6.ビザの大幅緩和
7.消費税免税制度の拡充
などが挙げられている。

大手百貨店グループの1月の業績はどうだったか。

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計) 対前年比▲1.8%
三越伊勢丹計 対前年比▲2.4%
三越伊勢丹計を項目別でみると、衣料品計は、▲5.0%。
暖冬の影響をうけ、冬物の主力であるコートやセーターが引き続き苦戦。
春物のブラウス、カットソー、パンツなどに動きがみられたもののカバーするまでには至らなかった。
家庭用品は2.0%のプラスで、家具インテリアは20.7%の増加と好調だった。
また、インバウンド売上げは、首都圏、国内百貨店事業計ともに前年より30%プラスとなり、好調だった。
そして、三越銀座店8階の免税店がオープンしたことも売上げ増加に大きく影響した。

J.フロント リテイリング㈱  
対前年比▲3.5%。
気温高めの影響をうけ、コート、マフラなどの冬物衣料が苦戦。
ラグジュアリーブランド、化粧品、美術品は好調。
心斎橋店本館の建替えによる売場面積減の影響は大きく、マイナス要因となった。

㈱髙島屋(単体13店舗) 
対前年比プラス0.7%。
雑貨10.4%、家庭用品5.5%、身のまわり品は5.3%とプラスとなり、売上げを伸ばした。
J.フロントリテイリング同様、インバウンド需要により、ラグジュアリーブランドや化粧品等が好調に推移。
また食料品も1.7%プラスと売上げを伸ばした。
一方、衣料品は暖冬の影響で季節商品の苦戦がひびき、▲7.9%となった。

エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  
対前年比▲3.6%
雑貨が好調で、20.7%のプラス。食料品もなんとか0.3%のプラスを維持。
その他は、衣料品の▲6.9%、身のまわり品▲13.1%、家庭用品▲2.1%、
食堂・喫茶▲13.1%、サービス▲25.4%とマイナスが並んだ。
 
新しい年の幕開けとなった1月の百貨店の結果は、昨年末から続く暖冬の影響をうけ、冬物衣料の売上げ不振により前年同月比でマイナスとなった。しかし、インバウンド需要は大きく伸びてマイナスは1.9%で抑えられた。

最後に、日本百貨店協会のアンケート調査だが、1月の初売り、クリアランスの売上げ状況を105店舗が回答している。
そのうち「増加した」と答えた店舗が15店、「変化なし」が52店、「減少した」は38店。
8割以上の店舗が横バイか減少で、好調なのはわずか15%。
好調なのは都市部の一握りの店舗という状況。

2014年の消費増税以降、消費は低迷している。

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