【2月家計調査】総支出は前年同月比実質1.2%増・閏年調整後1.5%減
総務省統計局から2月の家計調査(二人以上の世帯)速報が発表された。
家計調査は、国民生活における家計収支の実態を把握し、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供することを目的として行われている。
流通小売業のマーケットリサーチでも頻繁に活用される統計だ。
全国の世帯を調査対象としているが、下記に掲げる7つの世帯等は、世帯としての収入と支出を正確に計ることが難しいことなどの理由から、調査を行っていない。
(1) 学生の単身世帯
(2) 病院・療養所の入院者、矯正施設の入所者等の世帯
(3) 料理飲食店,旅館又は下宿屋(寄宿舎を含む)を営む併用住宅の世帯
(4) 賄い付きの同居人がいる世帯
(5) 住み込みの営業上の使用人が4人以上いる世帯
(6) 世帯主が長期間(3カ月以上)不在の世帯
(7) 外国人世帯
2月の二人以上の世帯の消費支出は26万9774円。前年同月比 実質1.2%の増加となった。前月比(季節調整値) は 実質1.7%、名目は1.6%の増加だった。名目とは、そのままの値であり、実質とは、物価変動の影響を除いた値のことである。
また住居等を除いた数字をみると、1世帯当たり23万4404円。前年同月比実質1.9%の増加となり、前月比は(季節調整値)実質1.2%、名目は2.3%の増加だった。
しかし、今年は4年に一度のうるう年だったため2月の日数は29日で、通常の年より1日多くなっている。そのため消費支出やその内訳を見る際には留意が必要であることから、消費支出における「うるう年」の影響に関する試算として下記の参考資料が発表されている。
家計調査では、月極めで支払う場合が多い品目(*注1)を除いた日別支出の結果表(*注2)を公表している。この結果を利用して、うるう年である平成28年(2016年)2月29日の消費支出分を除き、前年と日数を合わせて消費支出を試算してみると、公表値は1.2%増だったが、うるう年調整後の対前年同月実質増減率は1.5%の減少となり、公表値の方が2.7ポイント高い結果となっている。
*注1) 学校給食、家賃・地代,火災・地震保険料、電気代、ガス代、上下水道料、家事代行料、清掃代、
定期代(鉄道、バス)、有料道路料、年極・月極駐車場借料、保険料(自動車、自動車以外の輸送機器)、
電話通信料(固定、移動)、授業料等、補習教育、新聞、月謝類、放送受信料、インターネット接続料、
保育費用。
*注2) 用途分類は第6-15表,品目分類は第6-16表。ここでは,用途分類第6-15表を利用。
*注3) 月末である29日の支出を除くこととした。
消費支出の実質増減率に寄与した主な中分類項目及び品目
増加項目は以下の8項目となった。
授業料等――私立大学、国公立大学
通信――移動電話通信料
保健医療サービス――医科診療代、歯科診療代
自動車等関係費――自動車等関連用品、自動車購入
諸雑費――たばこ、寄付金
調理食品――弁当、すし(弁当)
教養娯楽用品――他の愛玩動物・同用品、動物病院代
*「他の愛玩動物・同用品」とは「ペットフード」に分類されない愛玩動物及びそれらに関する用具をいう。
教養娯楽サービス――外国パック旅行費、インターネット接続料
食品の中で調理食品の弁当・寿司が増加項目に入っているのが注目される。
一方、減少項目は以下の2項目だ。
交際費――贈与金、つきあい費
*交際費の実質化には消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いた。
ガス代――プロパンガス、都市ガス
消費支出とその内訳は下記表1の通りだ。
最後に食料費の内訳を紹介しておこう。
消費支出額26万9774円のうち、食料の支出額は6万9018円。
総消費支出に占める食費の割合、いわゆるエンゲル係数は25.58%となる。
その内訳は、穀類5897円、魚介類6070円、肉類7109円、乳卵類3677円、野菜・海藻8224円、
果物2666円、油脂・調味料3421円、菓子類5609円、調理食品8916円、飲料3642円、
酒類2853円、外食1万0933円だった。
そしてこのうち伸びているのが、調理食品と外食だ。即食や簡便食といった中食と、外食が伸びて、内食が減る。いまや当たり前のトレンドといえば身も蓋もないが、それが現れた2月の家計調査である。
*出典 家計調査結果(総務省統計局)
⇒第2表 1世帯当たり1か月間の収入と支出 -二人以上の世帯
*上記の総務省の表は商人舎magazineのDATABASEにも掲載中。
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