【10月総合スーパー・食品スーパー】既存店売上高0.6%、1.7%と3カ月ぶりに増収
日本チェーンストア協会が「チェーンストア販売統計10月度速報」を発表した。チェーンストア協会加盟企業の多くが総合スーパー業態を運営する企業が占めているため、この統計から総合スーパーの販売動向を読み取ることができる。
10月の調査対象企業は57社、9424店(前年同月より118店増、対前月より2店増)。売場1㎡当りの売上高は4万2935円(前年同月比プラス0.8%)。総販売額は1兆0828億2238万円、既存店前年比0.6%増。8月・9月とマイナスが続いていたが、3カ月ぶりにプラスとなった。
10月実績は下記のとおり。
1)食料品 7048億5748万円(構成比65.1%)プラス1.5%
a)農産品 1077億9805万円(10.0%)プラス5.1%
b)畜産品 828億6550万円(7.7%)プラス0.5%
c)水産品 617億1512万円(5.7%)マイナス1.8%
d)惣菜 843億8404万円(7.8%)プラス2.4%
e)その他食品 3680億9477万円(34.0%)プラス1.0%
2)衣料品 929億1869万円(8.6%)マイナス6.3%
a)紳士衣料 189億1883万円(1.7%)マイナス5.5%
b)婦人衣料 267億8526万円(2.5%)マイナス9.8%
c)その他の衣料・洋品 472億1460万円(4.4%)マイナス4.5%
3)住関品 2177億8333万円(20.1%)プラス1.0%
a)日用雑貨品 913億8001万円(8.4%)プラス1.5%
b)医薬・化粧品 310億6505万円(2.9%)プラス0.5%
c)家具・インテリア 520億3588万円(4.8%)プラス0.3%
d)家電製品 127憶9607万円(1.2%)プラス1.7%
e)その他商品 305億0632万円(2.8%)プラス1.0%
4)サービス 26億6566万円(0.2%)マイナス19.0%
5)その他 645億9722万円(6.0%)プラス1.7%
10月は、気温が高かったため秋冬衣料が伸び悩み、衣料品はマイナス6.3%と苦戦したが、相場高の影響を受けて食料品が好調に推移、とくに農産品が5.1%増、住関連品も1.0%増と、全体売上高を押し上げた。
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一方、11月22日に発表されたのが「スーパーマーケット販売統計調査 10月実績速報版」。
日本スーパーマーケット協会(JSA)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)の3団体の合同調査の結果は以下のとおり。
10月のスーパーマーケットの総売上高は8856億0750万円で、既存店前年同月比はプラス1.7%。3カ月ぶりにプラスとなった。
部門別に見てみよう。
1)食品合計 7926億5718万円(構成比89.5%) プラス2.2%
①生鮮3部門合計 3049億6564万円(34.4%) プラス2.5%
a)青果 1302億4339万円(14.7%)プラス6.1%
b)水産 753億1006万円(8.5%)マイナス0.4%
c)畜産 994億1219万円(11.2%)プラス0.2%
②惣菜 873億6211万円(9.9%)プラス2.7%
③日配 1725億3598万円(19.5%) プラス2.3%
④一般食品 2277億9346万円(25.7%)プラス1.6%
2)非食品 674億8811万円(7.6%)±0.0%
3)その他 254億6264万円(2.9%)マイナス2.9%
水産とその他がマイナスだったが、他はプラス。スーパーマーケットは不況に強い。とくに青果は、チェーンストア協会調査同様に、相場高の影響で6.1%増だった。
今月の発表担当の新日本スーパーマーケット協会増井徳太郎副会長の見解。
「10月は、前年に比べて、日曜日が1日多かった。台風や日照不足の影響で野菜の品不足、品質の低下が起き、その影響から相場高となっている」
「相場高で売上げは伸びているものの、バラエティ感のある売場づくりができていない、利益が確保しづらいとの声が多い。野菜では価格が安定しているカット野菜やきのこ類、果物ではみかん、柿が好調だったが、旬のぶどう、りんごは不調に終わった」
野菜の高騰を受けて、好調部門が変わる。
「消費者は冷凍野菜や漬物、惣菜のサラダなどにシフトしており、惣菜、日配部門が好調に推移している」
「ただし、上旬から中旬にかけて気温が高い日が多かったため、秋冬商材の動きが鈍かった。一方で、飲料などが好調に推移した」
下旬からは気温が低下した。
「鍋物などのホットメニューが伸びてきた。秋の行楽需要に関しては、東日本は比較的好調だったものの、西日本では降水量が多く伸び悩んだ」
10月のイベントはハロウィンが定着しつつある。
「今年はハロウィンの31日が月曜日ということもあり、各社で29日(土)・30日(日)の週末に展開を強化した。今年も昨年以上に売上げが伸びたとの報告が多かった」
「子供が参加できるイベントの実施、あるいは関連商品の展開により、今後もまだまだ売上げを伸ばすチャンスはあるようだ」
水産部門。
「主力のサンマ、秋鮭、イカなどが不漁で、入荷不足。その分、価格が高騰した。近海魚、大衆魚が売れない、品物が揃わないといった声が多かった。平年より高い気温が続き、まぐろ、サーモン、かつおなどの刺身類が良かった反面、おでん、鍋物商材の動きが悪かった。全体ではやや不調」
畜産部門。
「和牛の相場高が続いている。高気温から鍋物商材は不調。焼肉、しょうが焼き用の商品でカバーした。相場が落ち着いている豚肉や鶏肉は、数量を確保できた店舗は好調、そうでない店は不調と明暗が分かれた。加工肉は昨年のWHOによる発がん性報道による影響が薄れてきて回復傾向だ。また日本ハムファイターズの日本一記念セールが30日から行われたことから、好調に転じた。ちなみに広島地区ではクライマックスシリーズから日本シリーズまで大変な盛り上がりとなり、全体的に好調が続いている」
惣菜部門。
「サラダや煮物などの売上げが伸びた。10月は、行楽需要、運動会、ハロウィン、秋祭りなどチャンスとなるイベントが多かった。対応できた店舗は、売上げを着実に伸ばしている。ただし、人手不足による人員シフトが大変だという声は多い」
「日配は健康志向アイテムやハロウィン用のスイーツが好調だった。豆腐、こんにゃく、麺、練物などの鍋物関連商材は後半になって盛り返した」
一般食品部門。
「野菜の高騰を受け、野菜ジュース、農産乾物、乾燥野菜(味噌汁の具)などが伸長した。ハロウィン関連の菓子、低アルコールの飲料は堅調だった。高品質ブランド米への需要が伸び、単価アップにつながっている」
非食品部門。
「後半からカセットコンロ、マスク、入浴剤、料用洗剤などの季節商品に動きがでた。降水量の多かった西日本では、雨具が好調だった。ハロウィン・グッズは店舗の取り組みよって好不調が分かれる結果となった」
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最後に、小売り主要4業態の10月の既存店の販売動向のまとめ。
スーパーマーケットがプラス1.7%、
総合スーパーがプラス0.6%、
コンビニがプラス0.2%
一方、百貨店はマイナス3.9%となった。
10月は、気温が高かったため秋冬衣料が伸び悩み、衣料品を主力とする百貨店が唯一マイナスとなった。その一方で、食料品を主とするスーパーマーケット、総合スーパーは好調だった。行楽やハロウィンに対応した店舗が好業績を上げている。年末商戦に向けて、どれだけ魅力ある売場の仕掛けができるか。それが業態以上に、店舗の明暗を分けそうだ。
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