【10月外食産業】雨天続きでもキャンペーン効果で売上高プラス5.3%!!

一般社団法人日本フードサービス協会(JF)が10月の外食産業市場動向調査を発表した。この調査は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計したものである。食品産業の水先案内人ともいえる外食産業の10月の結果を見てみよう。

有効回収の事業社数は193社で店舗数は3万3460店。事業者数は前月から1社減少したが、店舗数は236店舗増加した。その中でファストフードは1万7095店と全体の51%。ファミリーレストランの9786店とあわせると2万6881店となり、約8割以上を占める。したがって、この2業態の動向は、外食産業調査の売上げ全体に大きく影響を及ぼす。

  詳細は以下表のとおり。
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(社)日本フードサービス協会資料をもとに商人舎にて作成:以下同じ

 また参考資料として10月の曜日まわりと天候を見てみよう。
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  *雨天日数は1ミリ以上の雨の降った日数である

昨年より休日が1日多く、平均気温は東京都、大阪府ともに昨年より高かった。また、雨天日数をみると東京都は4日、大阪府は6日も多かったが、これが客足にどう影響したのだろうか。

全体概況
10月の売上げは前年同月比5.3%プラスとなり、2カ月連続で前年を上回った。客単価は0.6%増で、客数は4.6%増だった。前年より休日が1日多い曜日まわりが、週末に客足を確保できるファストフードやファミリーレストランの売上げを伸ばした。またハロウィン効果も堅調に推移した。

業態別概況
 
<ファストフード業態>
全体売上高は前年同月比プラス9.4%となり、二けたに届きそうなくらい好調だ。
洋風――過去好評だった商品の復刻キャンペーンが好調で、12.9%と二桁増。
復刻キャンペーンを仕掛けたのは、日本マクドナルド。45周年記念キャンペーンとして、これまで人気の高かった4商品を期間限定で復活。10月5日から「テキサスバーガー」「ベーコンポテトパイ」「チーズカツバーガー」「かるびマック」と順次販売させており、人気を博している。

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(日本マクドナルド ニュースリリースより)

和風――キャンペーンが好調で、客数がプラス14.5%。売上高も12.6%と二桁増。
麺類――売上高4.4%。店舗数1.0%、客数4.1%、客単価0.3%とすべてプラス。
携帯アプリでの販促や新商品が好調。
持ち帰り米飯・回転寿司――前月はファストフードの中で唯一苦戦していたが、季節限定の高単価メニューが好調で、売上高4.1%増となり回復。
その他――アイスクリームのハロウィンキャンペーンの成功により、売上高5.1プラスとなった。

<ファミリーレストラン業態>
休日が昨年より1日多い曜日まわりで、客数がプラス2.9%増となり、売上高もプラス3.0%。
洋風――売上高は3.1%増。価格訴求力のある店が好調。
和風――メニュー改定で客単価が上昇した店があり、売上高2.3%プラス。
中華――売上高2.3%増。食材の国産化などの取り組みも成功。
焼肉――客単価は▲2.5%だが客数が7.5%と大幅に増加し、売上高は4.8%。

<パブ・居酒屋業態>
合計では、売上高▲7.4%となり唯一不調だった。
パブ・ビアホール――売上高4.0%プラス。ハロウィン需要及び店舗数の増加により好調。
居酒屋――店舗数、客数、客単価もマイナスで、売上高▲10.1%と二桁減。
10月もパブ・ビアホールは好調で、居酒屋はマイナス。この傾向がずっと続いている。

<ディナーレストラン業態>
客単価は▲1.8%と節約傾向だったが、店舗数が5.5%、また休祝日の集客増で客数6.4%となり、売上高は5.3%プラス。

<喫茶業態>
この業態において、休日が多い曜日まわりはマイナス要素。平日が少なかったことで、客数は▲1.4%。しかし、客単価1.8%、店舗数0.6%となり、売上高もわずかながら0.4%のプラスとなった。

10月の外食産業業態別の結果を、売上高伸長率順にまとめると以下のとおり。
ファストフード9.4%、ディナーレストラン5.3%、ファミリーレストラン3.0%、喫茶0.4%。
一方マイナスは、パブ・居酒屋業態▲7.4%。その中でもパブ・ビアホール業態は4.0%プラスだったので、居酒屋の実質マイナスは▲10.1%と、二桁ダウンとなった。

10月の外食産業の好調の要因のひとつは、休日が昨年より1日多い曜日回り。店舗数で8割以上を占めるファストフードとファミリーレストランは、週末の集客数が伸びる業態であるため、それが数字となってあらわれた。また、ハロウィンキャンペーン、マクドナルドの復刻キャンペーンなど各企業が工夫をこらしたこともプラス効果となった。10月は雨天日数が多いというマイナス要因はあったものの、それにも負けないキャンペーン効果で外食産業の10月は、プラス5.3%と大きく前年を上回った。

内食を担当するスーパーマーケットが既存店ではあるがプラス1.7%、中食を担うコンビニがプラス0.2%だった10月を見通すと、外食産業はまさしく食消費活性化の水先案内人であった。31アイスクリームのハロウィン・キャンペーン、マクドナルドの復刻キャンペーンなどなど、「店が動かねば消費は動かない」ことをフードサービス業が教えてくれた。

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