【12月百貨店】全地域で▲1.7%、2016年通期は6兆円割れの▲2.9%

日本百貨店協会から12月の百貨店売上高概況が発表された。81社234店舗の集計。

売上高は6942億円。前年同月比は既存店ベースで▲1.7%と10カ月連続でマイナスとなった。顧客内訳をみると、97.2%を占める国内顧客は▲2.0%。2.8%のインバウンドは、為替の影響もあり、8.3%増と9カ月ぶりにプラスとなった。

主要10都市は対前年同月比▲1.3%。先月に続いて、すべての都市でマイナス。
仙台▲5.1%、横浜▲2.4%、広島▲2.2%、札幌▲1.5%、神戸▲1.4%、
名古屋▲1.3%、、大阪▲1.3%、東京▲1.0%、京都▲0.8%、福岡▲0.4%。

10都市以外の地域は、▲2.5%。こちらも全地域でマイナスとなった。
北海道▲8.9%、、四国▲5.0%、中部▲3.6%、東北▲3.2%、中国▲2.9%、
関東▲2.6%、近畿▲1.3%、九州▲1.1%。

主要5品目の12月の動向は以下のとおり。

主力の衣料品は、1828億2528万円の▲3.3%で、14カ月連続でマイナスという結果。1年以上減退している。詳細をみても紳士服▲3.8%、子供服▲3.6%、婦人服▲2.4%と、全カテゴリーが不調に終わった。

身のまわり品は、889億7120万円、▲1.4%と、これも5カ月連続減少。

雑貨は、1127億6091万円の2.0%増と、5カ月ぶりのプラス。一方、化粧品は9.3%とプラス幅も大きく、21カ月連続で好調を維持している。美術・宝飾・貴金属は10カ月連続のマイナスとなり、高額品は厳しい状況が続く。

家庭用品は、282億2501万円の▲5.2%、12カ月連続のマイナス。家電は▲16.2%の二桁減。

食料品は、2475億4802万円で▲1.8%、10カ月連続マイナス。生鮮、菓子、惣菜とすべてのカテゴリーでマイナスだった。

9月から11月まで、主要5カテゴリーすべてがマイナスだったものの、12月はクリスマスシーズンもあり、雑貨が2.0%増。しかし、12月といえば、歳暮、クリスマス、年末年始とプロモーションが続き、百貨店にとっては年間最大の需要期である。暖冬のため衣料品や生鮮食品の売上げが伸びなかったとはいえ、この時期のマイナスは大きな痛手だ。

大手百貨店グループの12月の業績を個別に見てみよう(%はすべて対前年同月比)。

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)▲2.0%。
三越伊勢丹合計は▲2.2%。
三越伊勢丹単体では、主力の衣料品は、婦人服が唯一0.1%の微増。全体では▲2.2%。家庭用品は▲6.0%。その中でも雑貨だけは4.6%と好調。食料品は▲4.9%、サービスは▲17.4%とお歳暮の時期にもかかわらず低迷だった。顧客別にみると、自社カード顧客の購買は前年プラス。また、インバウンドは客数が二桁の伸びとなったが、売上高は前年に及ばなかった。

J.フロント リテイリング㈱  ▲2.3%
ラグジュアリーブランドが好調で化粧品も二桁の伸び。名古屋店のメンズ売場改装の効果が続く紳士服売上げに貢献している。心斎橋店本館建替えのための面積減の影響と暖冬による婦人コートの売上げダウンが響き、全体ではマイナスとなった。心斎橋本館の新たな開業は2019年秋を予定する。その後、本館と北館とを道路上空でつなぐ一体化工事が行われる。最終的には2021年春の完成を予定する。しばらくは面積減の影響が続きそうだ。

㈱髙島屋および国内百貨店子会社17店舗 0.3%プラス
雑貨が8.2%と大幅にプラス。その中でも化粧品は19.7%と二桁増。身のまわり品もプラスとなり0.5%。また家庭用品は▲1.9だったものの、家具3.3%、家電2.6%は好調だった。食料品は▲0.3%。
円安や株高の影響で免税売上げや高額品が好調。免税販売額に関していえば29.8%のプラスを計上し、大きく貢献した。

エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  百貨店は1.2%。
阪急阪神百貨店・阪急オアシスのスーパーマーケット事業・イズミヤ事業の数字だが、雑貨5.1%、身の回り品2.9%、家庭用品2.6%、サービス0.2%とプラスが並ぶ。食料品は横ばい。大手百貨店の中では、一番好成績を上げた。

 

エイチ・ツー・オー リテイリング、髙島屋はプラスで、三越伊勢丹ホールディングス、J.フロント リテイリングはマイナス。明暗が分かれた。

最後に、日本百貨店協会から発表された2016年通期の売上高速報を見てみよう。

2016年の総売上高は5兆9780億円、対前年比2.9%のマイナス。10都市はすべての地域で前年割れ。10都市以外の地区をみると、北海道だけが0.8%とわずかにプラス。百貨店の2016年は惨敗といえる。訪日外国人の爆買い効果も薄れている。

 地区別売上高
20160120_daily_01

商品別では雑貨が唯一プラスで0.9%。その中でインバウンド需要が高い化粧品は、9.6%と二桁に届く数字となった。

 商品別売上高
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 (平成28年12月・年間 全国百貨店売上高概況より)

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