【12月総合スーパー・食品スーパー】クリスマスと天候要因背景に既存店▲2%、プラス0.6%と明暗
日本チェーンストア協会が1月23日、「チェーンストア販売統計12月度速報」を発表した。チェーンストア協会加盟企業の売上高の多くが総合スーパー業態を運営する企業によって占められている。商人舎では、この統計から総合スーパーの販売トレンドを読み取ることにしている。
12月の調査対象企業は57社、9489店で前年同月より105店、前月より27店増加している。その結果、協会加盟企業の総売場面積は2535万㎡となり、これは対前年同月比100.1%。店舗は105店も増えているのに、総面積はプラスの0.1%。1店当たり平均売場面積が減っていることになる。
そして12月の総販売額は1兆2721億7262万円。この販売額は前年同月比マイナス1.7%。既存店前年同月比はマイナス2.0%。11月は3カ月ぶりにプラスに転じたが、再びマイナスに転落してしまった。
結果としてこの1カ月間の売場1㎡当りの平均売上高は5万0183円で、これも前年同月比マイナス1.9%。
部門別の売上高、売上構成比、対前年比(店舗調整後)の数値は下記のとおり。
1)食料品 8263億3166万円(65.0%) プラス0.3%
a)農産品 1112億5767万円(8.7%) プラス7.6%
b)畜産品 986億14711万円(7.8%) マイナス0.2%
c)水産品 811億6766万円(6.4%) マイナス4.4%
d)惣菜 994億6873万円(7.8% )プラスマイナス0%
e)その他食品 4357億9049万円(34.3%) マイナス0.4%
2)衣料品 1010億4369万円(7.9%) マイナス10.4%
a)紳士衣料 211億3593万円(1.7%) マイナス12.6%
b)婦人衣料 256億5340万円(2.0%) マイナス11.6%
c)その他の衣料・洋品 542億5436万円(4.3%) マイナス8.8%
3)住関品 2587億6714万円(20.3%) マイナス5.5%
a)日用雑貨品 1057億7671万円(8.3%) マイナス4%
b)医薬・化粧品 356億4972万円(2.8%) マイナス5.1%
c)家具・インテリア 650億2293万円(5.1%) マイナス4.2%
d)家電製品 156億1513万円(1.2%) マイナス10%
e)その他商品 367億0265万円(2.9%) マイナス9.9%
4)サービス 36億1926万円(0.3%) マイナス15.8%
5)その他 824億1087万円(6.5%) マイナス0.4%
12月は、食料品では農産品が相場高もあって好調だった。一方、衣料品は天候要因で苦戦した。やはり12月もウェザーマーチャンダイジングは不振の理由とされた(?)。
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一方、1月21日に発表されたのが「スーパーマーケット販売統計調査 12月実績速報版」。日本スーパーマーケット協会(JSA)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)の3団体の合同調査。
12月のスーパーマーケットの総売上高は1兆0296億6247万円で、既存店前年同月比はプラス0.6%。わずかながらプラスに転じた。
部門別は以下の通り。
1)食品合計 9162億6035万円(構成比89.0%) プラス1.2%
①生鮮3部門合計 3532億7025万円(34.3%)プラス2.1%
a)青果 1359億8831万円(13.2%)プラス7.9%
b)水産 1003億1535万円(9.7%)マイナス2.8%
c)畜産 1169億6658万円(11.4%)プラス0.4%
②惣菜 1002億6771万円(9.7%)プラス0.7%
③日配 1907億5611万円(18.5%) プラス1.3%
④一般食品 2719億6628万円(26.4%)プラス0.1%
2)非食品 817億0189万円(7.9%)マイナス3.4%
3)その他 317億0071万円(3.1%)マイナス4.7%
青果は年末需要もあり、11月に引き続いて増加。水産は前年割れとなったが、生鮮3部門ではプラスを計上した。一般食品・惣菜・日配も前年同月比を上回った。
「不安定な収穫量、相場高、消費者ニーズの変化などもあり、水産は相変わらず前年を下回っている。地方分類別集計では、中部・近畿・中四国がわずかに前年を割った。逆に、雪や天候不順で苦しんだ北海道・東北地方は前年をクリアした。店舗数規模での状況は、相変わらず1~3店舗、4~10店舗は既存店で前年割れ。とりわけ1~3店舗の、中小の苦戦状況が半年以上続いている」
「速報値の2016年実績数値では、全店総売上高が前年度比で103.0%、既存店で100.8%。14年、15年、16年と3年連続で前年を上回った。天候は、年末1週間は安定していて、売上げにも貢献した。12カ月の中で、前年を割った月は5月、8月、9月。前年クリアの要因として相場高、天候、曜日まわりなど外的要因を挙げる企業が多かったが、おそらく新たな仕掛けを、それぞれの月で練って売上げ確保に努めたということだろう」
「年末3日間は総じて売上げが取れた。ただ、消費者の購買変化は顕著で、たとえばクリスマスケーキはホールからピースに、おせち料理も正月になくてはならないものではなくなってきた。そのため新しい提案、たとえばローストビーフなどの肉料理、単品寿司、刺身などの強化をすることで、好調を維持したという報告も受けている。消費者のニーズの変化にいかに対応するか、さらに求められてきている」
次に、スーパーマーケット中核店舗における景況感調査と経営動向調査の報告。
景気判断DI 47.7(前月からプラス0.5ポイント)
見通し判断DI 44.3(前月からプラス0.7ポイント)
現状・見通し判断ともにわずかながら前月を上回る結果に。DI数値は「50」に近づくほど良い数値。
売上高DI マイナス4.0(前月比マイナス4.1)
収益DI マイナス4.0(前月比プラス1.0)
来客数DI マイナス10.2(前月比マイナス4.9)
客単価DI 5.6(前月比マイナス0.7)
景気動向調査を見ると、経営動向調査では売上高、カテゴリー別の動向など、決していい数字ではないが、景況感調査では、現状判断も、見通し判断もわずかながら向上している。数字的には景気動向調査では、来店客DIが前月比でマイナス4.9と悪化。これを客単価が若干カバーしているものの、やはり売上げ、収益に大きな影響をきたしている。カテゴリーの動向でも水産DIが前月比マイナス2.7で、深刻な状況が続く。
12月は平均気温が高めに推移し、曜日まわり(24、25日が土日)も含めて、クリスマス商戦における客足増加に寄与した。青果相場の高騰で、生鮮部門は好調だったが、水産カテゴリーは不漁が原因で品不足・不振だった。また、バーゲンセールなどによる競合の影響(価格競争)も見逃せない。
新年を迎えて早1カ月。天候不順や消費動向の変化といった外的要因は大きいが、提案力の強化や商品・コーナーの改廃など、柔軟な店舗運営で臨みたい。
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