イオン 大型セレクトショップ「F.T」オープン
イオンがついに単独の衣料・雑貨セレクトショップの運営に乗り出す。
大型専門店「F.T(エフティ)」を、30日に開業するショッピングセンター(SC)「イオンタウン吉川美南」(埼玉県吉川市)の核店舗としてオープンする。イオンが今日12日、発表した。
2012年3月に開業したJR武蔵野線「吉川美南駅」徒歩3分に立地。周辺一帯では「武蔵野操車場」跡地の区画整理事業が行われており、戸建て住宅や分譲マンションが約1300世帯、賃貸住宅9棟、医療・介護施設が新設される計画。
また、東京駅までは電車で約1時間の距離にあり、都心のベッドタウンとしてニューファミリー世帯の人口増が見込まれる有望エリア。イオンモールの旗艦店「イオンレイクタウン」からも約5kmの距離で、車で10分程度の場所にある。
エフティは40代の団塊ジュニア・ファミリー層をメインターゲットとするSCの核店舗。団塊ジュニア・ファミリー層は子育て世代であり、最も消費意欲が旺盛な世代だ。エフティは「自分らしさ」と「家族とのつながり」を共に大切にするお客を対象とし、カフェやネイルサロン、児童書約1000冊をそろえる「こどもラウンジ」なども設ける。
売場は約3500㎡(約1050坪)のワンフロア。ユニクロの1店当たり売場面積は845㎡(約260坪、2013年8月期末)、しまむらは1015㎡(約310坪、2013年2月期末)だから、その3~4倍の規模ということになる。イオンは2015年度から首都圏の郊外でエフティの多店舗展開を開始し、年間10店程度を出店する考えだ。
「トレンド、親しみ、心地よさ。ようこそエフティへ。」
これがエフティのコンセプト。
店舗空間を「家族の団欒と絆を育む場所」と定義。手軽さや便利さが優先され、温度が感じられる交流が少なくなる現代社会の中で、便利さはそのままに家族が「団欒」ができる居心地のよい空間を提案する。
F.T(エフティ)という名称は、「家族」を表す「FAMILY」と、「つながり」を表現する「TREE」の2つの英単語を中心に、合計4つのTREEの頭文字をとって名づけられた。TREEには緑あふれる地球を未来の子どもたちに伝えるために木を植えるイオンの想いも込められている。
FAMILY(家族)+ TREE(木・つながり)
FOURTH TREE(フォース・ツリー): 4本目の「木」
FROM/FOR TREE(フロム/フォー・ツリー): 「木」からの、「木」のための
FASHION TREE(ファッション・ツリー): トレンドの配信
さて、衣料、服飾雑貨、生活雑貨で合計90ブランドをそろえるエフティの売場は、ブランドごとではなくスタイル別に編成する。“トラッド”、“フェミニン”、“ユーロ” などテイストやライフスタイル別の展開。これはファッションストアNo.1の伊勢丹新宿本店の特長である「自主編集売場」と基本的に同じ考え方。
エフティでは、「高感度」なデザインで、「品質」も納得がいくアイテムを、気軽に手に取れる「価格」で提供する。
今日12日の日本経済新聞朝刊によれば、商品は百貨店やSC向けを主力としているワールドやレナウンといったアパレルメーカーから調達する。総合スーパーで販売するアイテムは原則、取り扱わない。
イトーヨーカ堂もSC「アリオ」で、グループ企業「そごう・西武」のショップを入居させているが、イオンのエフティはそれを徹底させてセレクトショップにしてしまった。
流通先進国アメリカでは「小売業の分化」という現象が指摘されている。これは、マス・マーチャンダイジングのディスカウント小売業と専門化したニッチな小売業が支持され、その「中間の小売業」が衰退することを意味する。シアーズの不振はその典型例だ。
日本の総合スーパーも「中間の小売業」として成長してきたが、消費社会が成熟し、いま転換期を迎えている。今回、イオンが総合スーパーとしてではなく、あえてセレクトショップとしてエフティを展開する意図は、そうした「小売業の分化」への対応にある。
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