フランス発「ピカール&ビオセボン」日本進出の目的と意義

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イオンは、12月9日、東京都港区麻布十番にフランス人気№1の冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」とオーガニックスーパーマーケット「Bio c’Bon(ビオ セ ボン)」がコンバインされた店舗をオープンさせた。(住所:東京都港区麻布十番2-9-2)2階にはドラッグストア「ウエルシア」、そしてメガスポーツが運営する空中ヨガスタジオ「avity style」が入っている。

ピカールはフランス発の冷凍食品専門店チェーン。フランスを中心に、イタリア、ベルギー、スウェーデン、そしてスイスとヨーロッパ5カ国に、現在1000店舗以上をネットワークする。日本進出は2014年11月。イオン多摩平店の冷凍食品売場にコーナー化され、その後、イオンスタイルの新店・改装店に順次導入されてきた。路面店1号店は11月23日にオープンした東京・青山骨董通り店。今回の麻布十番店は、2店舗目となる。

一方のビオセボンはオーガニックスーパーマーケットで、日本へは初出店となる。創業8年だが、すでにヨーロッパ5カ国で140店舗(出店予定を含む)を有する。近年は1年に40店舗を出店する急成長企業だ。

両者ともにイオンとのライセンス契約で、日本市場での本格展開を期する。

オープンに先立ち、8日にはイオン、ピカール、ビオセボン3社による会見が行われた。
登壇したのは、Picard Surgeles SASフィリップ・ダイエ社長、Bio C’ Bon社創業者のディエリー・ブリソー氏、ビオセボン・ジャポン㈱土谷美津子代表取締役社長、イオンサヴール㈱小野倫子代表取締役社長、そしてイオン㈱岡田元也代表執行役社長の5名。

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会見は、岡田元也代表執行役社長の挨拶からはじまった

イオングループとしては、この麻布十番のエリアのお客さまに、どのような市場を提供するのがベストかを考えた。イオンはローカルとインターナショナルに重きを置き、地球環境を考え、次世代を見据えているが、そんなイオンにとって、ピカールとビオセボン2社とともに日本の新たな市場を開発していくことに、大きな意義を感じている。

ピカール社のフィリップ・ダイエ社長

2年前からイオンの売場でコーナーを展開してきた。消費者の食生活の傾向に、このプレミアム冷凍食品専門店がこたえられると思う。そのタイミングであると判断し、2週間前に青山骨董通り店、そして2店舗目の麻布十番店のオープンとなった。

ピカールの冷凍食品は品揃えがバラエティに富んでおり、健康にも良く、利便性も高い。調理時間はほとんどの商品が1分から5分と短い。ひとり暮らしからファミリーまで、さまざまなライフスタイルに対応できる。

ピカールの冷凍商品は、4つのノウハウが柱になっている。

1つは、イノベーション。
多様な選択肢をお客さまに提供できる。どんなお客さまの好みにもこたえることができるラインナップを用意している。
2つ目は、最新の瞬間冷凍テクノロジー。
瞬間冷凍の技術により、保存料、着色料を一切使わずナチュラルな状態で高品質のまま届けることができる。

3つ目は、食品の安全性。
最終的な加工品だけでなく、素材はすべて、商品ロットごとにチェックをしている。
4つ目はサービス。
お客さまが来店されたときに、どんな商品を探しているのか、それが今あるのか。調理の仕方などのアドバイスを直接行っている。

ピカールは現在フランス全土で960店舗がある。フランス人にとって利便性の高い身近なブランドの一つ。一番好きなブランドとして№1に選ばれている。今後われわれが目指すところは、日本人のお客さまに満足いただける商品を提供することだ。イオンにとって、始まったばかりのすばらしい冒険が成功するように、われわれは全面的にサポートしていく。

最後にビオセボン創業者のディエリー・ブリソー氏が語った。

ビオセボンの出店を決めた理由のひとつは、日本人が非常に健康志向が強いこと。それは長寿国世界一でもあることからも証明されている。ただし、今のところ日本のお客さまが購入できる店舗が少ない。

ビオセボンはさまざまなオーガニック商品を揃えるチェーン。家庭で日常的に消費される食品と、健康志向型の商品がある。ひとつの店舗でいろいろな食品が揃うということが店舗メリットだ。
品揃えのこだわりは、有機食品であって、かつおいしいこと。
社名のビオセボンの「セボン」とは、おいしいという意味でもある。

お客さまは、健康志向に取りつかれている特別な人ではない。殺虫剤、防虫剤、着色料の添加物を使わない商品を求めている一般の人たちだ。自分の体だけではなく、環境にも優しいものを選択しようと考える人。有機食品は割高となるので、購買能力のある人たちともいえる。
しかし、今後、有機食品の販売ボリュームが増え、広告宣伝費がかからないことなどを考えれば、徐々に一般食品との値段の差は縮まっていくはずだ。

ビオセボンの商品のメインは、生鮮食品。野菜と果物が主となる。外国に出店する際には、現地の農家や生産者と手を組むことで、商品を調達し、加工を行ってもらう。これが重要になる。

ビオセボンは8年の歴史しかない若い会社だ。オープン予定の店を含めて、現在、ヨーロッパ5カ国で140店舗を有する。消費者は国が違っても、出費が少し増えても、安全安心な食品を求めていることは同じ。日本のオーガニックマーケットは大きくなっていくだろう。

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専門店チェーンであるピカールもビオセボンも、価格帯はアッパーだ。その価格の壁をどう超えるか。とくにオーガニック市場は、ブリソー氏が語るように生産者との連携が必須になる。さらに農業行政の壁もある。しかし消費者のオーガニック商品への傾斜は、欧米の動向を見れば明らかだ。イオンが取り組んだことで、日本市場の歯車はぐるりと回るかもしれない。

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