老舗SMのA&P、高級百貨店Saks、身売り

昨年、倒産の危機から脱却したA&P
正式名称はGreat Atlantic & Pacific Tea Company。
1859年創業の世界最初のグロサリーストア。
その後、スーパーマーケットに業態転換し、
1930年には店数1万5737店の巨大チェーンへと大成長。

1970年代には全米最大のスーパーマーケットチェーンとなり、
シアーズ・ローバックに次いで第2位の小売業だった。

現在はどうか。
一言でいえば、
150年以上の歴史を持つ老舗スーパーマーケット。

food-emporium-facade
A&Pの高質スーパーマーケット「Food Emporium」。

そのA&Pが売却を検討している
Wall Street Journalが伝える。

売却先候補として、名前が上がっているのは、
米国スーパーマーケット最大手のクローガー、
オランダのアホールド、そして、サーベラス。

サーベラスはスーパーマーケットのM&Aに強い投資会社。
M&Aの話題があがると、必ずと言っていいほど、顔を出す。
今年3月に、
スーパーバリュからアルバートソンを買収した案件は

記憶に新しい。

さて、A&Pの身売りは事業拡大、資本力強化のためで、
業績の悪化が理由ではないと報道されている。

そうはいっても、A&Pは
2010年にChapter11(倒産法)を申請し、
経営破綻をした過去を持つ。
その後、一部店舗を閉店するなど再建に努め、
昨年、非上場企業として復活したばかり。

倒産前400店あった店舗は現在、320店ほどに縮小。
「The Food Emporium」、「Path mark」、「Super Fresh」、
そしてもちろん「A&P」などの店舗バナーを、
東部6州で展開している。

a&p

アメリカでもっとも歴史のある
スーパーマーケットチェーンの迷走は

まだまだ続きそうだ。

そんな報道がある中、もう一つ、
身売り情報が飛び込んできた。
こちらはほぼ確定情報。

ニューヨーク5番街の一等地に店を構える、
超高級百貨店Saks Fifth Avenue、サックス。
saks

1670年創業のカナダの老舗百貨店、
Hudson’s Bay Company ハドソンズ・ベイによって
買収されることが明らかとなった。
買収総額は29億ドル。

これにより、ハドソンズ・ベイは320店舗、
年間売上高約70億ドルとなる。
そしてこの買収によって、
3年間のうちに年間約1億ドルのコスト削減効果を見込んでいる。

双方の経営陣は合意に達しているが、
今後はサックスの株主からの承認が必要になる。

合併後はサックスのバナー名も五番街の本店も存続する。
またサックスのブランド力や商品調達力を生かし、
カナダへも出店することも考えられている。

しかしこれでアメリカ合衆国の百貨店は、また一つ減って、
小売業ランキング100位までに、5社となってしまった。

断トツの規模のメイシーズ
ジュニアデパートのコールズ
伝説のサービスのノードストローム
ローコスト百貨店のディラード
そして超超高級店のニーマンマーカス

いずれもキャッチフレーズをつけられるほど際だった特徴を持つ、
つまりアウトスタンディングなポジショニングを確立した百貨店。

何ともさびしいかぎりだが、
これが現実

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