アマゾンnews|「従業員」を「人的資本」に呼称変更

アマゾン・コム(ワシントン州シアトル市、ジェフ・ベゾスCEO)は、「地球上でもっともお客様を大切にする企業」をミッションとしている。

アマゾンには14項目の「Our Leadership Principles(OLP)」があり、その一番初めに Customer Obsession(顧客満足をつかむことへの執着)が置かれている。日本の子会社では「お客様を起点に考え行動し、何よりもお客様を中心に考えることに拘ります」と説明している。

同社の年次レポートでは、CEOのジェフ・ベゾス氏が1997年に初めて作成したレポートを引用し、「デイ1」の精神は爆発的な成長を遂げた今でも変わっていないと述べている。

レポートの骨子となる証券取引委員会(Securities and Exchange Commission:SEC)に提出する年次報告書も、数字以外はこれまであまり変更されることはなかったが、2020年度の報告書には変更された部分がある。

「Employees : 従業員」の部分が「Human Capital:人的資本」に変更され、投資と革新、包含とダイバーシティ(多様性)、安全性、そして最高の人材を採用して育成するための取り組みに重点を置くと謳われている。

そのために業界をリードする給与と特典、「アマゾン・キャリア・チョイス(Amazon Career Choice)」による奨学金、アマゾン・テクニカル・アカデミー(Amazon Technical Academy)、メンター・シップなどさまざまなサポートシステムを用意している。

キャリア・チョイスは時給ベースで働く従業員を対象とする学費援助プログラムで、需要のある分野の学位取得をアマゾンが経済的に支援する。

アマゾン・テクニカル・アカデミーはコーディングを学ぶブートキャンプで、社内の非技術職の従業員をソフトウェア開発のポジションにつかせるために行う。

また、2020年にはCOVID-19関連の安全対策に115億ドル以上を費やしたとも書かれている。

社員総数が129.8万人となったアマゾンは、顧客はもちろん社員も同様に大切であると宣言しているのだ。

米国ではCOVID-19パンデミック禍で、小売業で働く現場社員に対する特別給与の支払いを求める地方自治体が増えており、アマゾン本社のあるシアトル市もその一つである。また、フルフィルメント・センターでは労働組合結成の動きが活発化しており、「デイ1」の信条だけでは不十分となったのだろう。今年度ベゾス氏は経営の現場から退くと表明しており、環境問題、人権問題、慈善活動などにもフォーカスし始めている。「デイ2」への移行は企業の衰退の一歩と考えているベゾス氏だが、「デイ1+α」が必要になったのかもしれない。

関連カテゴリー

海外 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧