メイシーズ、コールズ、JCペニー、年末商戦前年割れで店舗閉鎖、「リミテッド」も全店閉鎖
アメリカ最大にして、世界最大のデパートメントストアMacy’s(メイシーズ)は、全米の地方百貨店を経営統合して870店に及ぶ大チェーンストアとなっているが、昨年8月に約100店舗の閉鎖を発表していた。そのうちの68店の閉鎖予定店舗を発表。さらにその従業員1万人以上を解雇する。
メイシーズの2016年1月期決算。
売上高は270億7900万ドル(2兆7079億円)で前年比マイナス3.6%。
純利益10億7000万ドル(1070億円)、マイナス29.9%。
総店舗数870。
もともと百貨店業態の衰退が根本理由だが、現実的には昨年末のサンクスギビングデーからクリスマスまでのホリデー商戦で既存店が2.1%マイナスのだったことが、その引き金を引いた形となった。新店開設はほとんどない百貨店業界で、既存店の落ち込みは致命傷。伸びているのはオフプライスストア・フォーマットの「バックステージ」のみ。
同社CEOテリー・ラングレンはすでに引退予定。「オムニチャネル宣言」を初めて掲げた当の本人が、そのメリットを享受できなかった。今春、メイシーズのレギュラー百貨店50店舗に「バックステージ」を導入して、来店客数を伸ばす予定。
ジュニアデパートのコールズもホリデー商戦が不調だったし、日本では「GMS」と言われているディスカウントデパートメントストアのJCペニーも、ホリデー商戦の既存店売上高は前年度比0.8%の減少だった。
ペニーの2016年1月期売上高は126億2500万ドル、1兆2625億円、伸び率3.0%。しかし純損失は5億1300万ドルの赤字。店数1021。
同社CEOのマービン・エリソンの発言。「11月の最初の3週間が厳しい状況だった。しかしサンクスギビングデーの後の週末から12月末までの6週間は既存店売上も増加しました」
しかしペニーでもEコマースは2桁台で成長。
アメリカの百貨店も日本同様、業態そのものの衰退現象が顕著だ。
それだけではない。
かつて、故渥美俊一氏も絶賛していたアパレルチェーンの「リミテッド」が、現在の250店全店を閉鎖する。こちらもオンライン販売は継続されるが、リアル店舗をスクラップして、約4000人が解雇される。
会社はLブランド。2016年1月期決算で売上高は121億5400万ドル(1兆2154億円)、前年比6.1%。純利益12億5300万ドル(1253億円)、20.2%の伸び。総店舗数は3005。
まだまだ米国ではギャップに次ぐすごい会社だが、リミテッドのバナーは廃止ということ。
日本と同じように、アパレルリテーラーの構造変革は激しい。その影響で百貨店やアパレルチェーンがリアル店舗を次々に閉鎖し、従業員を解雇している。
検索ワード;メイシーズ コールズ JCペニー リミテッド
【追伸】ドナルド・トランプ一派の偽ニュースではないが、日本の流通業のブログなどで、無知蒙昧の情報が蔓延している。「メイシーズがシアーズ傘下にある」など、常識を疑う報道がある。信頼できないニュースソースにご用心!!(念のため)