イトーヨーカ堂news|家庭での食品ロス削減に関する実証実験を実施
(株)イトーヨーカ堂(東京都千代田区、三枝富博社長)はSFC構想研究会の活動として、伊藤忠インタラクティブ(株)、凸版印刷(株)、(株)日本総合研究所、三井化学(株)と共同でネットスーパーおよび消費者の家庭における食品ロス削減に関する実証実験を実施する。
この実証実験は、経済産業省委託事業「令和2年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したスーパーマーケットにおける食品ロス削減事業)」に採択された。
SFC構想研究会は、日本総研が2019年に設立した民間事業者による研究会だ。一般家庭における食品消費の最適化を実現するためのサービスのあり方やビジネスモデル、技術的な実現可能性など、フードチェーン全体の効率化の方策を検討する。
近年、食品流通業界では食品ロスが大きな課題となっている。食品ロスの削減は、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの一つとして掲げられており、国内でも食品ロス削減推進法が2019年10月1日に施行されるなど、関連する取り組みは国内外で活発化している。
この実証実験では、RFIDタグやセンシングデバイスなどのIoTを活用することでeコマースを活用したフードチェーン上の食品情報を個体別に追跡管理する。食品の鮮度情報は指標化されることで可視化される。食品流通業から消費者の家庭内までの各過程で可視化された食品情報を確認することによって食品ロス削減に対する効果を測定する。
実証実験の概要は以下の通り。
食品が産地から出荷され、卸やネットスーパーの配送拠点などを経ながら流通し、消費者によって消費・廃棄されるまでの一連のフードチェーンを、食品情報追跡管理システム「foodinfo」が管理する。とくに青果物については、foodinfoと連携する「鮮度予測・可視化システム」によって鮮度が常に可視化されているため、小売業者は、鮮度を基にしたダイナミックプライシングを実現することができる。
消費者は、新たな判断材料として「鮮度」を指標化して表示するeコマースサービス「eatmate store」を通じて食品を購入する。eatmate storeで購入する食品は、食品在庫管理アプリ「eatmate」に連携しており、消費者は外出先でも家庭内の在庫状況と個体別の鮮度を確認することができる。
foodinfoはRFIDタグを活用し、産地から消費者の家庭に至るまでの食品の流通過程を追跡管理するプラットフォームである。これまで管理が難しかった青果物の鮮度情報や入出荷・在庫情報を管理する機能に加え、青果物が流通過程で商品形態を変化(段ボール箱→個別包装等)させることにも対応する。さらに、流通過程で記録した温度・湿度情報の履歴を、「鮮度予測・可視化システム」に連携する。
eatmate store は、小売業者および消費者が利用するeコマースサイトだ。販売されている食品の鮮度は「採れたて度」という新たな指標に変換して可視化されており、採れたて度に応じて価格が変動するダイナミックプライシング機能をもっている。消費者は採れたて度と価格を組み合わせて検討することで、「自分に最適な採れたて度」の商品を選ぶことができる。一方で小売業者は、ダイナミックプライシングを利用することで食品を効率的に販売することができ、食品ロス削減につながる。
eatmateは、消費者が利用する家庭の食生活全体を管理することができるスマホ用アプリである。eatmate storeと連動して「食品在庫の可視化」「採れたて度の可視化」「消費/廃棄量の可視化」の3つの機能を備える。食品在庫を可視化することによって食品ロス削減効果が期待できる。また、採れたて度の低い食品の消費をプッシュ通知で促す機能があり、採れたて度に応じた最適なレシピを提供することで、家庭における食品ロスの削減を目指す。
この実証実験には全国約20の産地が協力する。青果・肉・魚などの生鮮品とその他日配品の約60品目、約3000点にRFIDタグを付与して食品情報を追跡する。食品の購入頻度・調理頻度の高い20~40代の約10名を対象に1月20日(水)~2月9日(火)の期間、SFC構想研究会が東京都内で実施する。