ヤオコーnews|第1Q営業収益5.2%増・営業利益0.5%減/消耗戦開始!?
(株)ヤオコー(埼玉県川越市、川野澄人社長)の2020年3月期の第1四半期は、営業収益1107億2900万円(前年同期比5.2%増)、営業利益52億円(0.5%減)、経常利益52億2600万円(1.6%増)、四半期純利益34億6300万円(2.9%増)だ。
前年同期の営業収益は前年同期比4.5%増とほぼ同水準の伸び率だが、営業利益は4.9%増、経常利益も4.9%増、四半期純利益も3.8%増だった。とくに営業利益の前年比に関しては、今年が0.5%減で前年が4.9%増だったから、大幅に下がったことになる。しかしヤオコーの収益性を云々するよりも、同社がネットワークを築く首都圏の消費トレンドがややダウン傾向を示した、あるいは消費増税を見越した買い控え傾向が早くも第1四半期に現出した、そして競争がさらに激化した、と見たほうがいいだろう。
営業利益率、経常利益率ともに4.7%。前年同期の営業利益率は5.0%、経常利益率は4.9%であったから、こちらも若干のダウンを示した。
ヤオコーは「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」を基本方針としている。これは業界で知らぬ者がいないほどの鉄板のポリシーである。そのうえで第9次中期経営計画では「『ヤオコーウェイ』の確立」をメインテーマに掲げ、「『チェーン』を強くする構造改革」と「商圏内シェアアップ(1km商圏シェアアップ)」を優先課題に挙げて取り組んでいる。これまた、多くの企業が追随する営業政策である。
商品面では、独自商品の開発と育成を軸にしてミールソリューションの充実に注力した。とくに、プライベートブランドの「Yes!YAOKO」、ライフコーポレーションとの共同開発ブランド「star select」をはじめ、国内外における新たな産地・供給元の開拓、原料調達から入り込んだ商品開発、直輸入商品の導入を進める。この面ではヤオコーの進化は群を抜いている。
一方で、価格コンシャス強化の一環ではEDLP(常時低価格販売)商品を拡充させている。意外かもしれないが、ヤオコーの価格政策は徹底されているし、傘下に収めたエイヴイはその意味で日本有数のローコストオペレーターで、そのM&Aのメリットはヤオコー本体に活かされている。
また「ヤオコーカード」によるFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を活用したマーケティングやクラスター分析によるアソートメントも実現されている。
店舗作業工程の見直しも進んでいる。生産性向上モデル(カイゼン)の深化とその水平展開、新基幹システムをはじめとするIT・機器の活用による自動化、業務効率化が重点的に進められている。
ただしレイバースケジューリングが徐々に定着すると、マーケティングの側面の革新性が薄れる。これは日米欧に共通する現象である。それをいかに克服するかがヤオコーに求められる。
それでも今年10月からの消費増税とここ数年の人手不足によって、体力消耗戦が続くことは確かであるから、ヤオコーの「カイゼン」はそのことに耐える組織体質を準備することになる。
第1四半期は6月に川越今福店を新規開設し、2店舗の大型改装を行った。6月末の店舗数は、ヤオコー162店舗、エイヴイ11店舗の計173店舗だ。