丸井news|20年3月期売上高2476億円(1.5%減)ながら経常利益1.8%増

(株)丸井グループ(東京都中野区、青井浩社長)が2020年3月期の本決算を発表した。

売上収益2475億8200万円(前年同期比1.5%減)、営業利益419億4400万円(1.8%増)、経常利益404億1500万円(1.6%増)、当期純利益253億9600万円(0.2%増)と減収増益だ。

営業利益率は16.9%、経常利益率は16.3%。さらに同社が重視する自己資本利益率(ROE)の8.8%は2期連続で株主資本コストの6.9%を上回って、財務体質の良さを示した。

小売セグメントにおける売上収益は1254億1000万円、営業利益は100億円(12.0%減)。前年を14億円下回った。これは新型コロナウィルス感染症による休業が主たる原因だ。全店の休業時間は通常の月間営業時間の約10%となった。しかし、この5年間にわたる箱型店舗からショッピングセンター型店舗への転換によって、収益改善と利益の安定化が進んだ。

当期から新たな店舗戦略「デジタル・ネイティブ・ストア」の実現に向けて、D2C(ダイレクトトゥーコンシューマー)やシェアリングサービスなどのブランドの導入を進めた。ネットでは提供できない体験やコミュニケーションの場を提供する店舗を目指した。

フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)セグメントは、売上収益1260億0500万円、営業利益384億円(10.0%増)で34億円の増加だ。エポスカードの利用客数増加に向け、様々の施策を行った。その結果、カード会員数は前年比5%増の720万人となった。とくにプラチナ・ゴールド会員は前年比16%増の250万人と大きく伸長し、カード会員全体の35%まで拡大した。

取扱高については、新型コロナウィルス感染拡大防止のための外出自粛などによって第4四半期の伸びは鈍化したものの、ショッピングクレジットが引き続き伸長して、2兆1710億円(前年比16%増)となった。さらに家賃保証などのサービス取扱高が3539億円(前年比26%増)と順調に拡大した。

【結城義晴の述懐】
丸井グループの売上高は小売業とフィンテック事業がほぼ同等となっている。1254億円と1260億円だ。フィンテック(fintech)はFinance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、金融商品・サービス技術のことだが、かつての「クレジットの丸井」はそのカードやクレジットの技術そのものを「売り」にして、フィンテック企業という側面を強めてきた。そのフィンテックの収益性の高さによって、営業利益が担保される構造になっている。丸井は小売業の範疇を逸脱している。これはアマゾンが、eコマースの商品販売とAmazon Web Service(AWS)のテクノロジー提供サービスとによって構成され、AWSの伸びと収益率の高さによって、収益が支えられていることと同じだ。

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