ファーストリテイリングnews|’21年8月期増収増益/海外ユニクロ事業が牽引
(株)ファーストリテイリング(山口県山口市、柳井正会長兼社長)が2021年8月期の本決算を発表した。
2020年9月1日~2021年8月31日の業績は、売上収益2兆1329億9200万円 (前期比6.2%増)、営業利益2490億1100万円 (66.7%増)、税引前利益2658億7200万円(73.9%増)、当期利益1698億4700万円(88.0%増)だった。
営業利益率は11.7%。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、業績が大幅に低下した2020年8月期に対して、今期はユニクロ事業を中心に業績が回復し、増収・大幅増益となった。
海外ユニクロ事業を中心に減損損失を169億円、J Brand法人の清算益を87億円計上した結果、ネットで65億円のマイナスとなった。J Brand法人は2021年8月に清算したことに伴って、買収時の為替レートに対し、買収以降、為替レートが円安に進んだ。そこで、為替変動による清算益を計上した。
国内ユニクロ事業の売上収益は8426億円(4.4%増)、営業利益は1232億円(17.7%増)と、増収増益。既存店売上高(eコマースを含む)は、前期比3.6%の増収だった。
上期は、在宅需要にマッチした商品や秋冬コア商品の販売が好調で、前年同期比5.6%増だった。下期は、緊急事態宣言の発出や天候不順の影響を受けて、0.9%増にとどまった。通期のeコマース売上高は1269億円で、前期比17.9%増、売上構成比は15.1%と、順調に拡大している。
海外ユニクロ事業の売上収益は9301億円(10.2%増)、営業利益は1112億円(121.4%増)と、大幅な増収増益だ。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、引き続き業績に対して大きな影響を与えたが、感染が抑えられた地域や期間に関しては、業績が大幅に回復した。
地域別では、コロナの影響が少なかったグレーターチャイナは売上収益が5322億円(16.7%増)、営業利益が1002億円(52.7%増)と、過去最高の業績を達成した。韓国は通期で若干の減収だったが、黒字化した。一方で、その他アジア・オセアニア地区(東南アジア・オーストラリア・インド)は期を通してコロナの影響を大きく受けたことで、営業利益は約15%の減益となった。国別では、コロナの影響が最も大きかったマレーシア、タイ、フィリピンは減収減益だった。シンガポール、インドネシア、インド、オーストラリアは増収増益、ベトナムは通期で大幅な増収で黒字を達成した。
北米は、5月以降に規制が緩和されたことで売上げが急回復した。そのため下期は黒字化し、通期では赤字幅が半減した。
欧州は、eコマース事業とロシアの業績が好調だったことで、大幅な増収、黒字を達成した。北米と欧州は、コロナ禍で、売上総利益率の改善、不採算店舗の閉店、固定費の削減、在庫水準の適正化など収益構造の改革を進めたことで、売上げの回復に伴って収益性を大きく改善させることができた。
ジーユー事業の売上収益は2494億円(1.4%増)、営業利益は201億円(7.6%減)と、増収減益だ。上期はシェフパンツ、スウェットライクセーターなどの販売が好調だった。一方で、下期は緊急事態宣言発出の影響を受けたことに加えて、売れ筋商品の欠品による機会ロスが生じたこと、一部の商品がトレンドを捉え切れず想定したほどの売上げにならなかったため、通期の既存店売上高は若干の減収となった。
eコマース売上高は、情報発信の強化によって2019年前比で約5割増収、売上構成比は約11%だった。
グローバルブランド事業の売上収益は1082億円(1.3%減)、営業利益は16億円の赤字(前期は127億円の赤字)となった。J Brand法人の清算益に加えて、セオリー事業の業績が改善したことにより大幅に赤字が縮小した。セオリー事業は、増収、黒字に転換した。米国の赤字幅が縮小したうえに、アジア(中国大陸、香港)が大幅な増収増益となったためだ。
プラステ事業は減収、前年並みの赤字となった。コントワー・デ・コトニエ事業は、減収、赤字幅は拡大した。これは、5月までフランスを中心にコロナの影響で断続的に店舗を臨時休業したため。なお、J Brand法人は清算したが、J Brandのブランドは引き続きファーストリテイリンググループで所有し、グループブランドを通して、商品を提供していく。
次期は、売上収益2兆2000億円(3.1%増)、営業利益2700億円(8.4%増)、税引前利益2700億円(1.6%増)、当期利益1750億円(3.0%増)を見込む。