イオンnews|第1Q営業収益2.3兆円/収益・利益とも過去最高更新

イオン(株)(千葉県千葉市、吉田昭夫社長)が2024年2月期第1四半期の決算を発表した。

2023年3月1日~5月31日の業績は、営業収益2兆3247億9800万円(前年同期比5.5%増)、営業利益514億6900万円(前年同期より75億7200万円の増益)、経常利益481億2100万円(前年同期より37億2400万円の増益)、四半期純利益177億2800万円(前年同期より16億4300万円の減益)だった。これは営業収益から経常利益までの段階利益は第1四半期としては過去最高だ。

GMS事業
GMS事業は、営業収益8216億6500万円(前年同期比104.1%)、営業利益10億6300万円(前年同期より9億5500万円の増益)となった。

イオンリテール(株)は、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上拡大」を実行しながら、さまざまなコスト上昇に耐えうる経営基盤を構築すべく「収益構造改革」を加速している。

衣料では、ゴールデンウィークの観光や学校行事再開に伴う需要を取り込みながら、販売時期と価格を個別に見極めた在庫コントロールによる商品回転率の改善を進めている。大型店では、売場の改善に加え、生産性向上による接客へのシフトなど働き方も含めた新しいモデルを導入した。

食品では、デリカや冷凍食品などの成長カテゴリーの商品構成の大幅な見直しや売場面積の拡大に取り組み、10 月以降ナショナルブランドの値上げが相次ぐ環境下、防衛意識の高まりが加わったことで、トップバリュが前年同期比 106.7%と伸長した。

H&BC(ヘルス&ビューティーケア)では、インバウンドや脱マスクでの需要回復により医薬品や化粧品が売上げを牽引した結果、既存店売上高は対前年同期比105.1%と伸長し、荒利益率も改善した。

デジタル事業では、ネットスーパーの売上高が前年同期比で2けたの増収を継続している。

デジタル売上拡大においては、ネットスーパーの規模拡大に向けての新規展開、ピックアップ拠点の拡大や、GMSの強みを活かした品揃えの拡充に取り組んだ。また、イオンスタイルオンラインの規模拡大、広告収入ビジネスの強化を図った。

イオン北海道(株)では、同社ならではのオリジナル商品を約220品目開発・リニューアルし、トップバリュの売上高は対前年同期比116.1%に増加した。

衣料・住居余暇では、外出意欲の高まりに応える売場を構築した結果、キャリーケースや化粧品の売上高が増加した。また、健康志向の高まりにより、プロテインや機能性表示食品などヘルスケア用品が堅調に推移した。特に睡眠改善関連食品の売上高は対前年同期比155.4%と大幅に伸長した。

デジタルの活用においては、ネットスーパーの売上高は対前年同期比106 .0%と伸長が続き、5店舗への電子棚札や累計116店舗へのセルフレジの導入による業務効率化の結果、総労働時間が対前年同期比98.6%に減少した。加えて、高効率の空調や照明機器への積極的な入れ替えにより、電気使用量は対前年同期比93.3%となり、収益性の改善につながった。

イオン九州(株)では、5月に「私たちの『たからもの』九州をもっと―」をパーパスとして制定し、特定した6つのマテリアリティ(重要課題)とともに同社のWebサイトで公表した。

中期経営計画に掲げた「食の強化」「非食品分野の専門化」「DX推進」「環境・地域社会への貢献」の取り組みを推進し、単体における第1四半期累計期間の業績は営業収益、各段階利益とも過去最高を更新した。

今年度から同社連結子会社のイオンウエルシア九州(株)が展開する、調剤併設型ドラッグストアと生鮮食品・弁当・惣菜まで揃えたスーパーマーケットを融合した「ウエルシアプラス」の出店を加速する。地産地消・地産域消の継続的な取り組みに加え、地域のより便利な暮らしを目指して開始した「イオンの移動販売」では、販売車に積載できない大型商品やまとめ買いのニーズに応えるべく「イオンネットスーパー」との連携を進めている。

SM事業・DS事業
SM事業は営業収益6649億1300万円(対前年同期比103.3%)、営業利益62億7900万円(前年同期より29億5000万円の増益)。

DS事業は営業収益996億1500万円(対前年同期比104.4%)、営業利益16億8000万円(前年同期より15億9200万円の増益)。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(株)は、商品と店舗変革による店舗収益の拡大、OMO(Online Merges with Offline)による店舗外収益の拡大、保有する知的財産を活用したビジネス領域の拡大を柱とする3カ年の中期経営計画を策定した。オープンイノベーションプラットフォーム「AKIBA Runway」や都市部の工場における持続的な野菜の製造小売を推進する「SEED コンソーシアム」といった独自の取り組みにより、「Beyond Supermarket(スーパーマーケットを超える事業構造)」の実現を図る。

同社連結子会社の(株)マルエツと(株)カスミでは、配達エリア内に注文後最短1時間以内で届ける即時配達を開始した。同じくマックスバリュ関東(株)でもオンラインデリバリーの品揃えの見直しやサービス機能を拡張している。さらに、スマートフォン決済アプリ「Scan&Go ignica(スキャンアンドゴーイグニカ)」を利用したカスミの無人店舗「オフィススマートショップ」は100カ所に拡大した。

(株)フジの連結子会社の(株)フジ・リテイリングでは、愛媛県と広島県を重点エリアとして出店計画を進め、大型店を中心にコロナ下で中止していたイベントを再開するなど、売場活性化にも取り組んでいる。さらなる事業の拡大に取り組む移動スーパーは、合計43店舗を拠点に76台228ルートでサービスを提供している。同じく連結子会社のマックスバリュ西日本(株)は、「地域密着」「生鮮強化」を軸にサプライチェーン改革を行い、兵庫県西部、岡山市、広島市、山口県、香川県、山陰エリアを中心とする出店と既存店を活性化し、9県25店舗を拠点に35台の専用車両で展開する移動スーパーやECをはじめとするノンストア事業の確立に向けた取り組みを進めている。

マックスバリュ東海(株)では、生産者を応援し地域に親しまれる「じもの」商品の品揃えの拡充や、食事バランスを考慮した商品の開発を行って健康的な食生活の提案に努めた。また、累計176店舗でキャッシュレスセルフレジの導入が完了し、レジ精算における利便性の向上やレジ関連業務の削減に努めた。顧客接点の創出として、「Uber Eats」を利用した商品配達サービスの拠点を合計36拠点まで拡大し、無人店舗「Maxマート」を名古屋エリアで初出店した。

ヘルス&ウエルネス事業
ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益2996億4000万円(111.4%)、営業利益71億6000万円(前年同期より3億1800万円の減益)。

ウエルシアホールディングス(株)と同社連結子会社においては、マスクや抗原検査キットなどのコロナ対策関連商品やPCR等検査事業に対する需要が減少したが、外出機会の増加を受けた化粧品や、各国の行動規制緩和を受けたインバウンド需要には回復の兆しも見られる。物販部門においては既存店売上高は堅調に推移し、調剤部門においては、調剤併設店舗数の増加(5月末時点で2044店舗)により、処方箋受付枚数が増加した。

2023年3月にWAON POINTサービスを全国の店舗に導入開始し、集客施策を強化した。販売費及び一般管理費については、燃料価格の高騰を受けて水道光熱費が大幅に増加したが、店舗のエネルギー消費低減に向けた取り組みや、自動発注の推進による店舗業務の効率化により、経費適正化に努めた。

総合金融事業
総合金融事業は、営業収益1158億9000万円(107.2%)、営業利益94億7300万円(前年同期より60億3800万円の減益)。

ディベロッパー事業
ディベロッパー事業は、営業収益1168億5800万円(108.6%)、営業利益140億1400万円(前年同期より9億1500万円の増益)。

サービス・専門店事業
サービス・専門店事業は、営業収益2003億8400万円(107.5%)、営業利益55億8100万円(前年同期より26億8300万円の増益)。

国際事業(連結対象期間は主として1月から9月)
国際事業は、営業収益1322億6900万円(108.9%)、営業利益32億2700円(前年同期より3億6100万円の増益)。

イオンマレーシア(AEON CO.(M)BHD.)は、コロナに関する行動規制緩和後初となる旧正月を迎え各地への帰省や旅行などの需要を取り込み、小売だけでなく各ショッピングモールの集客も大幅に増加、祝祭や学校休暇・新学期準備の需要により増収増益となった。

一方、ECでは、行動規制の状況に合わせて変化する顧客の購買動向を受けて品揃えを常に改善し、指定時間内の配送率を向上させた結果、ネットスーパー「myAEON2go」の売上高は対前年同期比で約3割増加した。

イオンベトナム(AEON VIETNAM CO.,LTD.)でも、コロナに関する行動規制緩和後初となるテトを迎え各地のモールや店舗が大盛況となった。商品ではトップバリュや住居余暇のPB「HOMECOORDY」の展開強化後に売上高が対前年同期比で2桁以上伸長したほか、衣料品における独自商品の開発が奏功し、増収となった。新しい取り組みへの先行投資から営業利益は減益となったが、特に衣料品の影響で荒利益率は改善しており、販売費及び一般管理費も抑制できた。

中国においては、3年ぶりの行動規制のない春節に対前年同期比4倍超の延べ21億人が移動した結果、春節関連の商品が好調に推移し、特に人口流入エリアである湖北にて売上高が大幅に増加した。ECでは、実店舗への人流の回復とコロナ規制下のまとめ買い需要の減退で一時的に市場全体が縮小するなか、自社が運営する永旺APP(イオンアプリ)を強化している。

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