高島屋news|’25年度営業収益4924億円1.2%減・経常利益5.8%減/赤字転落
(株)高島屋(大阪市中央区、村田善郎社長)が2026年2月期の連結決算を発表した。
2025年3月1日~2026年2月28日の連結業績は、営業収益4923億7000万円(前年比1.2%減)、営業利益535億1600万円(6.9%減)、経常利益568億7900万円(5.8%減)、当期純損失81億9400万円(前年は395億2500万円の純利益)で、赤字に転落した。
中長期的な株主価値向上を図ることを目的とした「2028年満期ユーロ円建て転換社債型新株予約権付社債(CB)」の買い入れ消却に伴う特別損失を計上したことが影響した。

同社は2031年の創業200周年を見据え、現中期経営計画 (2024〜26年度) で「自立と共創のうねりによる成長加速」を掲げる。当期は百貨店と専門店、リアルとEC、国内と海外を横断するグループのシームレス化を本格的に始動した。
国内百貨店業は、営業収益3038億5600万円(4.%減)、営業利益248億6300万円(12.9%減)と減収減益。前年度に円安を背景に拡大したインバウンド需要の反動減が大きく、売上げ全体を押し下げた。
一方、国内顧客の売上げは堅調で、既存店ベースでは前年を上回った。ただし、商品利益率はわずかに低下している。国内顧客売上げの中で、利益率の低いラグジュアリーブランドの伸長が大きく、売上構成比の変化が利益率を押し下げた。
販売管理費は、ベースアップなど人的資本投資を継続しつつ、新規催事の開発など営業強化に向けた費用は効果を見極めて投下した。一方で、コスト削減策を同時に進めたことで費用増を最小限に抑えた。
また、堺店は1月7日で営業を終了し、61年の歴史に幕を下ろした。
海外百貨店業は、営業収益343億1000万円(0.1%増)、営業利益85億2400万円(1.9%増)と、小幅な増収増益。しかし、各国の景気動向や物価、地政学リスクの影響を受け、店舗ごとに業績は分かれた。
シンガポール高島屋では、長引くインフレによる消費停滞とコスト増が重なり、小幅な減収減益となった。 上海高島屋は、新規テナント誘致など収益基盤の強化を進めたものの、景気低迷による消費減速が響き、減収・赤字に転じた。
ホーチミン高島屋は、成長分野の子ども用品や人気の高い化粧品の品揃えを強化し、コスト増も抑制したことで、増収増益を確保した。 サイアム高島屋 (バンコク) は、ミャンマー地震や地政学リスクの高まりに加え、タイ・バーツ高が逆風となり、国内客・ツーリストともに売上が低迷し、減収・赤字となった。
国内商業開発業は、営業収益417億6700万円(2.3%増)、営業利益65億6800万円(4.1%減)。東神開発(株)では「玉川高島屋S.C.」の改装工事の影響があったが、その他の施設も含め営業施策を強化したことで、入店客数、売上高の増大につながり、増収となった。しかし、人件費の上昇による外部委託費など施設運営に関わる費用の増加もあり、減益となった。
海外商業開発業は、営業収益157億3800万円(2.0%増)、営業利益58億4500万円(1.1%減)。トーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.では改装工事に伴う空室増で賃料収入が減少したものの、為替効果が寄与し小幅な増収を確保した。一方で、人的資本投資の強化や外部委託費の増加が利益を圧迫した。
成長の柱と位置付けるベトナム事業は順調に進んでいる。ハノイで開発中の「ウエストレイクスクエアハノイ」は、2025年8月に起工式を実施。第I期では、ハノイ初出店となる高島屋百貨店を核とした商業施設に加え、上層階にオフィスを備える複合ビルを建設する。建物は米国の環境評価制度「LEED認証」で最高位のプラチナ取得を目指した設計とし、環境配慮型開発を推進する。
金融業は、営業収益206億9900万円(9.8%増)、営業利益55億7500万円(15.4%増)。中核のカード事業では、高島屋各店や専門店、オンラインストアなどグループの顧客接点を活用した新規会員獲得が奏功した。新規会員数はコロナ前の2019年度比で2割以上増加し、取扱高や年会費収入が伸びた。また、昨年6月に「あとから分割払い」サービスの対象拡大と手続き簡素化を実施したことで、利用件数・金額ともに増加した。
ライフパートナー事業では、住信SBIネット銀行を所属銀行とする銀行代理業の許可を取得し、店頭での口座開設や銀行商品の案内を開始した。カード・証券・保険・相続・信託に加え銀行商品を扱う体制を整え、総合的な金融相談の強化につなげた。これにより、口座数や預かり資産残高は着実に増加している。
投融資事業では、ソーシャルレンディングで培ったノウハウを活かし法人融資を開始した。案件拡大により収益は順調に伸びた。IFA市場に強みを持つヴァスト・キュルチュールの子会社化に続き、昨年9月には法人向け金融事業を手掛けるクレイリッシュ(現・高島屋クレイキャピタル)の株式過半を取得し、事業基盤を広げた。
2027年2月期は、営業収益5030億円(2.1%増)、営業利益575億円(7.4%増)、経常利益570億円(0.3%増)、当期利益380億円を見込む。
