イオン増収減益・セブン&アイ減収経常増益の第1四半期決算
イオンの2017年2月期第1四半期決算は、売上高2兆461億4200万円(前年同期比1.3%増)、営業利益328億7300万円(5.8%減)、経常利益346億7900万円(3.1%減)、その結果、当期損失62億5400万円の赤字となった。前期は50億2000万円の当期利益だったから、その差は約110億円。
GMS事業は、売上高7451億5900万円(12.4%増)、営業損失93億2200万円(45億3200万円の減益)となった。
主力のイオンリテールは、第1四半期において4店の新規出店と21店の既存店活性化を実施した。前期から推進している商品改革・売場改革の浸透によって、粗利益率は1.3ポイント改善された。販管費は、店舗運営の効率化等の経費コントロールに努めて、0.9%減となった。
国際事業は、売上高1113億2900万円(5.2%減)、営業損失13億4800万円(20億9200万円の減益)となった。イオンマレーシア(AEON CO.(M)BHD.)とイオンビッグマレーシア(AEON BIG(M)SDN.BHD.)は、昨2015年4月1日にマレーシアで物品・サービス税(GST)が導入されたことに伴う導入前の駆け込み需要の反動が影響した。
一方で、3月に、マレーシア・セランゴール州の州都シャーアラムに、同国内最大級の「イオンモールシャーアラム」を開設する等、同国における事業基盤の強化に努めた。香港では、収益性改善の一環として、イオンストアーズ香港(AEON STORES(HONG KONG)CO.,LTD.)の旗艦店である「イオンコーンヒル店」の全面活性化に着手し、7月8日に「イオンスタイルコーンヒル店」としてリニューアルオープンさせた。
イオンスタイルコーンヒル店(イオンコーポレートコミュニケーション部のホームページより)
従来の総合スーパーの概念を超える新たな業態として「イオンスタイル」の展開を進めているが、その一環として開発した海外におけるイオンスタイルの1号店。お客のさまざまなライフスタイルに応じて、新しい価値ある商品を中心に、専門性の高い商品やサービスを提供する。
子ども・ベビー用品、玩具売場と室内遊戯施設を併設したキッズリパブリックを導入。薬や健康食品、化粧品など美と健康にまつわる商品を一堂に集めて、Glam Beautiqueを展開する。そのほか、高級万年筆や滑らかな書き心地のノートなど、こだわりの文具をそろえた「大人の書斎」を導入する。
<店舗概要>
店舗面積:約2万4000m2
営業時間:食品8時30分~23時、その他10時~22時30分
中国各社でも、春節や記録的な寒波に対応する品揃えを行い売上の拡大に努めた。イオンベトナム(AEON VIETNAMCO.,LTD)は、旧正月に関連した品揃えや地域のニーズに対応した商品展開を推進し、業績が好調に推移した。
通期は、売上高8兆4000億円、営業利益1900億円、経常利益1850億円、当期利益100億円の見通し。
一方、セブン&アイ・ホールディングスの2017年2月期第1四半期決算は、売上高1兆3947億4900万円(前年同期比3.2%減)、営業利益814億 8300万円(0.5%減)、経常利益823億8500万円(1.5%増)、当期利益431億5000万円(2.2%増)となった。
売上高は、主に原油安に伴うガソリン価格の下落により、北米コンビニエンスストア事業でのガソリン売上げが235億円減少したことに加え、百貨店事業や通信販売事業などの苦戦により減収となった。
営業利益はコンビニエンスストア事業や金融関連事業などが増益したものの、主に百貨店事業等の減益に加え、オムニチャネル戦略に係る費用の増加が影響して、減益となった。
セブン‐イレブン・ジャパンと7-Elevenにおける加盟店売上を含めたグループ売上は、2 兆5609億2400万円(0.6%増)となった。第1四半期における為替レート変動に伴う影響により、売上高を150億円、営業利益を3億円押し下げたという。
業績予想は、連結子会社であるニッセンホールディングスが将来に向けた経営再建プランを検討中で、現時点において業績予想が未発表であるため、未定とした。セブン-イレブン・ジャパンの2017年2月期第1四半期決算は、売上高2032億2600万円(前年同期比5.8%増)、営業利益583億3900万円(0.4%増)となった。
チェーン全店売上高は1兆1003億7500万円(5.4%増)だった。北米の7-Eleven,Inc.は、2016年3月末時点で8502店舗(前期末2店舗増)を展開している。
店舗では、ドミナント強化を目的とした既存エリアでの新規出店に加え、既存店舗の活性化を推進すべく積極的な立地移転を実施した。期末店舗数は1万8768店(前期末比196店増)となった。
おにぎりやチルド弁当、パン・ペストリーなどの基本商品の更なる品質向上を推進するとともに、地域のお客の嗜好に合わせた開発を強化した。
通期は、売上高8455億円、営業利益2450億円の見通しだ。
イオンは増収減益、セブン&アイは減収経常増益。反対の結果になったが、中核業態の差異が、小売業トップ2社の決算の内容の違いを生んでいる。つまり、二把一絡げに論じられなくなったということだ。
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