セゾングループ創始者・堤清二氏86歳で逝去
堤清二氏、死去。
86歳。
セゾングループ創始者。
辻井喬のペンネームで、小説家・詩人でもある。
父・堤康次郎西武グループ創業者の後を受け、
西武流通グル―プを牽引。
売上高4兆円超の巨大流通グループに育て上げた。
傘下企業は、西武百貨店や西友をはじめ、
ファミリーマート、良品計画、ロフト、パルコなど。
さらに金融、ホテル、不動産開発など、
多角化拡大路線を進め、100社以上。
康次郎氏は衆議院議長を務め、
清二氏はその秘書を務めた後、
1954年、西武百貨店入社。
1966年、西武百貨店社長に就任。
その後、西友が飛躍的に成長。
「西のダイエー、東の西友」と称された。
バブル最盛期には、
世界のインター・コンチネンタル・ホテルズを買収。
しかし1989年、そのバブルが崩壊し、
まず百貨店事業が経営不振に陥った。
91年、セゾングループ代表辞任、
92年、西武百貨店の代表権も失い、
2000年には経営そのものから身を引いた。
西友はウォルマートに売却され、
西武百貨店はそごうと統合し、
セブン&アイ・ホールディングス傘下。
ファミリーマートは現在、伊藤忠の資本のもとにあるし、
パルコはJフロントリテイルングに買収された。
いわば四散したも同然。
無印良品の良品計画だけが、
インディペンデントな存在。
経営を退いて後は、精力的に作家活動を行う。
詩集「群青、わが黙示」で高見順賞、
小説「虹の岬」で谷崎潤一郎賞、
「父の肖像」で 野間文芸賞。
日本文芸家協会、日本ペンクラブの役員を歴任。
その堤清二さんの流通関連書籍では、
『変革の透視図』がある。
1979年発行。
第7章では、
「マーケティング論の再検討」が議論される。
第8章は「経済現代化の課題」。
重要なコメントを引用しよう。
「市場体質の変化は、
小売形態における『専門化の時代』を
出現させる方向に強くはたらくことが予想される」
「専門化とは、
量販店は量販店らしく、
専門店は専門店らしく、
ということである」
最終章の最終項は、「流通産業の本質」。
「流通産業は、まだ
大きく変化する可能性を内蔵した産業である。
そしてその変化は、
『近代化』を内に含んだ『現代化』へと
すすめられなければならない」
名著には、時代を越えたテーゼが記されている。