12月SC統計|既存SC売上高は前年同月比6.0%増、前月から4.7ポイント改善

(一社)日本ショッピングセンター協会(東京都文京区、清野智会長)が1月25日(火)に発表した「SC販売統計調査」によれば、2021年12月の既存SC売上高は前年同月比伸長率プラス6.0%で2カ月連続で前年実績を上回った。11月のプラス1.3%から4.7ポイントの改善となった。

新型コロナウイルス感染者数の減少傾向が、クリスマスや年末といった年間の大きなモチベーション期に重なったことに加え、各SCとも積極的に販促施策を行なったことが奏功し、全ての地域で前年実績を上回った。

苦戦が続いていたテナントは、前年同月比伸長率プラス7.3%となった。特にコロナの影響を大きく受けた「飲食」では、制限緩和によって外食需要に回復が見られた。

キーテナントは、前年同月比伸長率プラス1.2%。美術品や宝飾・貴金属、ラグジュアリーファッションといった高額商品が好調な百貨店が主である中心地域・大都市が実績を伸ばした。一方で、コロナ下の巣ごもり需要で食品の買い溜め傾向が落ち着いたGMSや食品SMが主である周辺地域は、わずかに前年実績を下回る結果となった。

立地別では中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率プラス14.9%となった。コロナ下で広域移動が制限された前年は苦戦を強いられたが、感染者が減少した今年は商業集積エリアへの外出が回復したこともあり、この立地の殆どのSCで前年を上回った。

中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率プラス6.3%となった。東北地域や中国地域などの各都市では、「年末年始の帰省客が2年ぶりに戻ってきた」と回答するSCが散見され、家族での利用が見られた飲食や帰省の手土産品を中心に売上げが回復した。

周辺地域は総合で前年同月比伸長率プラス3.5%となった。10月の緊急事態宣言解除以降、身近なお出かけ先としてレジャー需要対応の広域商圏型SCへの集客が続いている一方、GMSやSMでの日用品の買い溜め特需が落ち着いたこともあり、中心地域(プラス12%)と比べて伸長率が低い結果となった。

地域別では、緊急事態宣言の反動増となった2021年4月から9カ月ぶりに全ての地域で前年を上回ったが、2019年比で見ると全ての地域でマイナス実績となっており、コロナ下前の水準までには回復していない。

北海道は、総合で前年同月比伸長率プラス18.4%と前年を大幅に上回った。しかしこれは前年に大きく落ち込んだ(マイナス31.9%)反動によるものであり、2019年比ではマイナス19.0%と依然として2桁台のマイナス実績で、全9地域で最も厳しい状況が続いている。

関東は、総合で前年同月比伸長率プラス5.4%となった。特に、東京区部はプラス8.4%と関東エリアの売上げを牽引した。繁華街立地や駅前立地といった周辺県からの集客に強みのあるSCで、ディナータイムの飲食店利用の回復や、各種催事やポイントアップキャンペーンといったモチベーション期の販促施策に効果が見られたことが要因と言える。

近畿は、総合で前年同月比伸長率プラス6.4%となった。特に、大阪市が総合でプラス16.5%と大きく売上げを牽引している。これは東京区部と同様、繁華街や駅前立地の飲食やファッションに回復が見られたことが影響している。しかし、2020年12月はコロナ第3波による営業時間短縮要請とそれに伴う消費者の購買モチベーションの低下が、特に大阪市の中心部で強かったことの反動増も要因として挙げられる。

業種別では、「ファッション」は、クリスマスや年末年始といったハレの日需要によるラグジュアリー商材や、月下旬の全国的な気温低下による実需としてのコート、ニット、ブーツといったオンタイムで着られる冬物商品が好調であった。

「飲食」は、営業時間や人数制限などの規制緩和により、前年と比べて忘年会利用に回復傾向が見られたこと、また、年末年始の帰省客の回復に伴い、昼夜を問わずファミリー客が訪れたこともあり、前年を大きく上回るテナントが多く見られた。また、コロナ下で定着しつつある、テイクアウトも引き続き好調であった。

「食物販」は、観光や帰省の動きが回復したこともあり、地元の銘菓や乾物といった土産物となる商材が好調に推移した。また、前年に巣ごもり需要で売り切れとなるほど好調だったおせち料理は、前年満足した人や購入できなかった人が早めに予約購入するなどの動きも見られ、前年を上回る伸びとなった。12月の大きなモチベーションであるクリスマスは、前年と比べて曜日配列に恵まれた(24日金曜日、25日土曜日)こともあり、クリスマスケーキの販売も好調だった。

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