帝国データバンクnews|イトーヨーカ堂との取引高は19年比8.4%減

(株)帝国データバンク(東京都港区、後藤信夫社長)が「イトーヨーカ堂」との取引を行っている企業についての調査を行った。

 

調査結果によると生鮮品を供給する企業や、テナント出店などで取引があるサプライチェーン企業の総数は、2024年7月時点で国内に1万0485社。これによって派生する売上高(=取引高)は1兆7706億円。

これはイトーヨーカ堂の2024年2月期売上高8149億円の約2.2倍の規模。5年前の2019年と比較すると社数は1万0559社、取引高は1兆9333億円。社数では74社・0.7%の微減であるが、取引高は1627億円・8.4%の減少となった。地方を中心にイトーヨーカドー店舗の閉鎖が続くなかで供給網は維持されたものの、売上げ規模は大きく縮小している。

供給網を構成する企業を業種別に見ると、配送業務を担う「一般貨物自動車運送」が872社を占めた。店舗間配送のほか、イトーヨーカドー向けに物品を供給する企業間輸送などの業務が多いことを背景に、「他の食料・飲料卸(バター、水産練り製品など)」の377社に比べて2倍以上の水準だった。

このうち、イトーヨーカ堂と直接取引を行う企業をみると、「野菜卸」(65社)が最多。次いで「他の食料・飲料卸」(64社)、「生鮮魚介卸」(48社)など、生鮮食品を中心とした商社が多くみられた。また、イトーヨーカ堂が衣料品に強みがあったことも背景に、「婦人・子供服卸」(54社)などアパレル産業も上位となった。

社数で最も多いのは「東京都」の 2526 社、取引高は 1 兆 1314 億円に上った。埼玉県・千葉県・神奈川県を含めた首都圏エリアで、社数ベースで約 4 割、取引高では約 7割を占め、イトーヨーカ堂の供給網は首都圏に本社を置く企業を中心に構成されている。2019年と比較すると、都道府県別に社数で「減少」が 28、「増加」が 16 となった。

なかでも社数の減少が最も大きいのは「北海道」で、取引社数は 650 社から583 社と 67 社・10.3%減少した。北海道では、既に札幌都市圏を含め全店舗の閉鎖が決定しており、閉鎖対象の店舗などへ商品配送を行っていた企業の供給網で影響が及ぶ可能性がある。

店舗網が東日本に比べて少ない近畿以西では、取引企業数が 100 社未満のエリアが多い。

セブン&アイ・ホールディングスは、イトーヨーカ堂、ヨークベニマルや外食、専門店事業などコンビニ以外の事業を中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」傘下に再編する。既に、運営する総合スーパー店舗について首都圏を中心に集約し、2026年までに国内33店舗を閉鎖する構造改革を進めている。

多くの店舗が閉鎖された北海道ではヨーカドーへの供給網を構成していた企業数が5年前から1割減少した地域もみられた。イトーヨーカドーの再編が、同社向けに生鮮魚介や青果の供給を担っている中小企業に広く影響を及ぼす可能性がある。

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