8月外食産業の全店売上げプラス3.2%、ファストフード和風10.3%二ケタの伸び!

一般社団法人日本フードサービス協会(JF)から発表された8月の外食産業。新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、前年同月比を算出した集計結果である。夏休みのある8月の動きをみてみよう。

全体概況
8月は中旬以降、前線や台風の影響で客足が減ったものの、上旬は多くの地域で猛暑に見舞われ、夏休み需要が堅調に推移した。全体の売上げは3.2%プラスとなり、2カ月連続で前年を上回った。

業態別概況

ファストフード業態
全体売上高は4.1%。先月はプラス0.1%の微増だったが盛り返してきた。
洋風――夏休みのファミリー層の需要が多く、鶏肉問題の影響も薄らぎ、プラス5.7%と回復。
和風――新メニューの投入やテレビCMが奏功し、プラス10.3%と二ケタの伸び。
麺類――夏メニューやメディア露出が成功し、4.6%増。
持ち帰り米飯・回転寿司――0.8%マイナス。店舗数の減少と中期以降の天候不順が影響。
その他――カレーは販促が奏功し、好調。一方、後半の気温低下によりアイスクリームが不調。

 

ファミリーレストラン業態
全体売上高はプラス3.6%と、28カ月連続して前年を上回った。
洋風2.9%・和風5.9%・中華0.7%・焼肉7.2%とすべての業種でプラスとなった。特に焼肉は夏休みのファミリー層に人気があり、売上げを伸ばした。

 

パブ・居酒屋業態
パブ・ビアホール――0.7%プラス。後半の天候不順がビヤガーデン等に影響をもたらしたが、上旬の好天や販促イベントによりなんとか前年を上回った。この業態は天候に大きく左右される。前線・台風は痛手だ。
居酒屋――9.5%マイナス。店舗減少が続き、売上高及び客数も前年を下回った。

 

ディナーレストラン業態
大型店の出店効果及び訪日外国人等のインバウンド効果で堅調に推移。売上高4.9%、店舗数4.9%、客数1.2%、客単価3.6%と全てプラスとなった。

 

喫茶業態
後半の天候不順が多少影響したが、キャンペーンの実施等により売上高2.1%、店舗数0.9%、客数0.5%、客単価1.6%とわずかながらも全てプラスとなった。

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(表はすべて(社)日本フードサービス協会・外食産業市場動向調査 平成27年8月度結果報告より)

昨日まで報告していた小売業も、この8月は後半の前線・台風の影響を大きく受けながら、前半の猛暑に助けられ、なんとか前年同月比プラスを計上している。外食産業も同じ傾向で、やはり天候不順に苦しみながらも全体売上げはプラスとなった。夏休みの影響でファミリー層が、ファストフードやファミリーレストランの売上げを押し上げた。そしてインバウンド効果により毎月堅調に推移しているディナーレストラン。小売業、外食産業共に訪日外国人の売上げが大きい。

気になったのは、全体は好調であったファストフード業態の中で、マイナス計上だった持ち帰り米飯・回転寿司。不調の理由として、店舗数の減少と中期以降の天候不順が影響とされているが、それだけだろうか。小売業の総合スーパーでは、刺身の盛り合わせや寿司がプラスを計上している。お盆休みの帰省先で、刺身や寿司を買ってきて、子供や孫にもてなすという家族の形がみえる。

またファストフードの和風10.3%プラス、ファミリーレストランの和風5.9%プラスの数字をみると、和食人気が高まっていることがわかる。小売業界にとっては、水先案内人の外食動向。大いにヒントになる。ちなみにまだ少し先だが、11月24日はユネスコ無形文化遺産に登録された「和食の日」である。外食産業も小売業もキャンペーンの準備を始めておくべきだろう。

さて、ここ数日のニュースで吉野家、すき家、松屋の牛丼大手3社がそろって期間限定で牛丼を値下げすると発表した。昨年の値上げで客数の減少を招いたが、最近、牛肉の仕入れ原価が安くなったこともあって、300円の絶対価格に挑戦して、値下げに踏み切った。期間限定とはいえ牛丼ファンにとっては嬉しいニュース。減少した客足が戻ってくるか。

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