コンビニ・総合スーパー・スーパーマーケットすべて既存店昨対プラス、小売4業態の好調続く

9月の小売業の営業実績の総括を、業態別に整理しておこう。

 コンビニ 

10 月20日、日本フランチャイズチェーン協会より、9月度の「コンビニエンスストア統計調査月報」が発表された。調査対象は会員企業である主要コンビニ10 社。ココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、センコーマート。セブン‐イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、デイリーヤマ ザキ、そしてローソン。これら10社の総店舗数は5万3108店舗で前年同月比プラス3.4%。

9月の来客数は新店も含む全店ベースでは13億9724万人で、昨年と比較すると2.2%の増加。しかし、既存店ベースでは1.2%の減少が見られた。ただし、平均客単価は昨年よりも上がり、いずれも2.6%の伸びを示した。

既存店ベースでは来店数は減っても顧客が使う金額は伸びている。売上高にはそれが反映している。既存店売上高は7794億0200万円で昨対プラス1.3%と6カ月連続でプラス。全店ベースはもちろん好調で、8511億3800万円でプラス4.9%。

商品構成比は以下のとおり。
日配食品 36.5%(既存店売上高前年同月比 プラス3.1%)
加工食品 26.7%(プラス0.9%)
非食品 31.0%(マイナス2.3%)
サービス 5.8%(プラス13.6%)

日配品のプラス3.1%は理解できるが、サービスのプラス13.6%は劇的な上昇だ。

台風で客足に影響があったものの、逆に、一気に寒くなったことが、淹れたてコーヒーや肉まん、おでんなどのカウンター商材やシルバーウィークの行楽需要で米飯類の好調に寄与した。

 総合スーパー 

つ づいて、10月21日には日本チェーンストア協会より「チェーンストア販売統計(9月度速報)」が発表された。調査対象は会員企業58社の9330店。総合スー パー以外の企業も集計されているが、イオン、イトーヨーカ堂、ユニーといった、大手総合スーパー企業が多く名を連ねるし、この協会の半分くらいが総合スーパーを主力とする企業の売上げのため、この統計結果で総合スーパーの 動向を見ることができる。

9月の総販売額は1兆0380億9647万円で、既存店前年同月比はプラス2.9%。コンビニ同様、既存店で6カ月連続プラスとなった。

販売額の65.8%を占めている食料品は6832億8080万円でプラス3.7%。
う ち、農産品は1046億4930万円でプラス5.8%。白菜やキノコ類など、秋冬の素材が早くも好調な動きを示した。
畜産品が788億1015万円でプラ ス4.3%、水産品が621億9373万円でプラス2.4%。
シルバーウィークで需要の高まった惣菜は、寿司や弁当がよく売れた。806億2049万円で なんとプラス6.8%の大幅伸長。
その他の食品が3570億0713万円でプラス2.6%と、食料品は各部門とも非常に好調な伸びを示した。

衣料品の構成比は8.3。販売額は858億1321万円で昨対2.1%のプラス。
うち、紳士衣料が144億1557万円でプラス1.5%、婦人衣料が267億3089万円でプラス0.8%、その他の衣料・洋品が446億6675万円、プラス3.0%。ジャケットやカーディガンなどの秋物衣料が好調。

住関品は構成比19.7%で2040億0105万円。昨対プラス1.5%。
日用雑貨品は865億3339万円でプラス1.9%、医薬・化粧品が299億5593万円のマイナス0.9%。
一方で家具・インテリアが416億9060万 円でプラス4.4%、家電製品が100億3991万円プラス5.8%と良かった。羽毛布団や敷きパッドなど、早くも冬への準備に入っている。
その他住関品 は357億8122万円でマイナス1.4%だった。

衣食住、各部門とも前年プラスだが、食品にけん引された衣料品・住関連品の伸びであることが重要な点だ。この時期、食品が下がっていたら、目も当てられない惨状ということになる。そんな会社もある。
 スーパーマーケット 

同じく10月21日、スーパーマーケットの9月度速報値が発表された。日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会、三団体からの合同発表。毎月同じ275のパネル企業を集計する。店舗数は7434店。

今月の発表はオール日本スーパーマーケット協会専務理事の松本光雄さん。
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総売上高 8412億4224万円、既存店前年同月比プラス2.3%
食品合計 7541億1693万円 プラス2.5%
生鮮3部門合計 2912億0196万円 プラス3.1%
青果 1235億7809万円 プラス3.9%
水産 742億8032万円 プラス1.6%
畜産 933億4355万円 プラス3.3%
惣菜 825桶7834万円 プラス3.6%
日配 1618億6489万円 プラス2.0%
一般食品 2184億7174万円 プラス1.8%
非食品 625億0597万円 プラス0.5%
その他 246億1980万円 プラス0.1%

「9 月は全部門で前年をクリアした。8月は非食品のみ前年割れだったが、今月は非食品もプラスに転じた。とりわけ、青果、惣菜、日配が牽引している。水産のプ ラス1.6%は8月を上回る好調さ。またシルバーウィークも連日天候に恵まれ、各社好調だった。行楽需要、自家需要ともに拡大が見られた」

「地域別は全地区で前年を軽く超えたし、保有店舗別でもすべての規模でクリアした。特に1~3店舗の企業は閉店が数字に大きく影響するため、全店ベースでは前年割れとなる傾向が強いが、今月は前年を維持した」

「9 月の外因要素として大きかったのは気温。9月上旬~中旬は例年のような厳しい残暑がなく、急激に秋の訪れを感じた。日照時間も前年を大幅に下回り、降水量 は一部の地区で記録的な豪雨となり、平年の4~5倍の降水量を記録。その影響として一部から、秋物への意向が間に合わなかったという声が聞かれた。商品に よって売れ方が前年と比べ、大きく変化した。鍋物や焼肉商材、そしてホットデリカが好調に推移し、飲料は低迷した」

「天候不順によって相場高が生じたことで、売上げにはプラスに作用したものの、青果物の不足や水揚げ量の不足ということも見られた。ただし、相場高や値上げの影響で客数減が 続いていることもまた事実である。現況では客単価や販売単価で売上高をカバーしているものの、客数減は当面のスーパーマーケットの課題といえよう」

スーパーマーケットにとって、「客数減」こそ、最大で深刻な問題だ。総合スーパーの食品の前年比がプラス3.7%、食品スーパーのそれがプラス2.5%。客数対策こそ、スーパーマーケットの真のテーマである。


小売り4業態の9月既存店実績をまとめると、
総合スーパーがプラス2.9%、
スーパーマーケットがプラス2.3%、
百貨店がプラス1.8%、
コンビニエンスストアがプラス1.3%。
2カ月連続で4業態とも、既存店昨対プラスで、好調が続いている。

9月は珍しく、総合スーパーが最も大きな前年伸び率で、健闘を見せた。世間で言われている「総合スーパーのトレンド」に反発するごとき実績は珍しい。さらに耳慣れたはずの「残暑」というキーワードは聞かれず、近年まれに見る早さで秋が到来した。珍しいことずくめだ。

10月は早くも「インフルエンザ」が流行し始めている一方で、まだまだ台風発生の知らせも入ってきている。日本にも浸透しつつあるハロウィン関連の動向にも注目される。

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