3月既存店は総合スーパー99.7%、食品スーパー101.1%と明暗
日本チェーンストア協会から「チェーンストア販売統計(月報)平成28年3月度速報」が発表された。調査対象企業は57社、9362店。
3月の総販売額は1兆0729億9265万円で既存店前年同月比はマイナス0.3%。
各部門別の販売額と構成比、既存店昨対は以下のとおり。
1.食料品 6960億8891万円(構成比64.9%、プラス1.6%)
a)農産品 989億5473万円(9.2%、プラス2.4%)
b)畜産品 791億3668万円(7.4%、プラス0.3%)
c)水産品 654億5496万円(6.1%、プラス0.5%)
d)惣菜 819億2621万円(7.6%、プラス2.3%)
e)その他食品 3706億1633万円(34.5%、プラス1.7%)
2.衣料品 954億9844万円(8.9%、マイナス8.3%)
a)紳士衣料 173億8436万円(1.6%、マイナス8.1%)
b)婦人衣料 300億1848万円(2.8%、マイナス9.9%)
c)その他の衣料・洋品 480億9560万円(4.5%、マイナス7.2%)
3.住関品 2132億3169万円(19.9%、マイナス1.7%)
a)日用雑貨品 868億1351万円(8.1%、マイナス0.5%)
b)医薬・化粧品 357億4231万円(3.3%、マイナス4.7%)
c)家具・インテリア 474億0081万円(4.4%、プラス5.7%)
d)家電製品 109億2506万円(1.0%、マイナス9.9%)
e)その他商品 323億5000万円(3.0%、マイナス7.5%)
4.サービス 31億1748万円(0.3%、マイナス7.7%)
5.その他 650億5613万円(6.1%、マイナス3.2%)
3月は食料品は農産物の相場高の影響もあって好調だったが、中旬以降の気温低下の影響で、春物商品、特に衣料品が苦戦した。住関品も家具・インテリアはプラスだったものの、それ以外はマイナスとなり動きが鈍かった。また、サービス、その他も振るわず、既存店の総販売額前年同月比は、マイナス0.3%という結果だった。
食品スーパーマーケットの3 月度速報結果も発表されている。「スーパーマーケット販売統計調査」は、一般社団法人日本スーパーマーケット協会(JSA)、一般社団法人新日本スーパー マーケット協会(NSAJ)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)の3団体の合同。集計企業数はパネル方式をとっており、現在275社を集計している。3月の店舗数は7530店舗。
総売上高は8713億9206万円で、既存店前年同月比はプラス1.1%。
各部門別の売上高と構成比、既存店昨対は以下のとおり。
1.食品合計 7804億7762万円(89.6%、プラス1.5%)
a)生鮮3部門合計 2983億3239万円(34.2%、プラス0.7%)
・青果 1214億6433万円(13.9%、プラス1.7%)
・水産 818億7424万円(9.4%、プラス0.6%)
・畜産 949億9381万円(10.9%、マイナス0.6%)
b)惣菜 841億8155万円(9.7%、プラス2.6%)
c)日配 1673億4847万円(19.2%、プラス2.8%)
d)一般食品 2306億1522万円(26.5%、プラス1.2%)
2.非食品 645億3826万円(7.4%、マイナス1.3%)
3.その他 263億7668万円(3.0%、マイナス2.4%)
今月の発表担当はオール日本スーパーマーケット協会の松本光雄専務理事。
3月の総売上高は12カ月連続のプラス。部門別では畜産がわずかにマイナス。非食品、その他もマイナスとなったが、他は比較的前年実績をクリアした。地域別にみても、ほぼ平均して前年実績を超え、店舗別格差もなく、全体的に平穏な3月という総括だった。イベントもひな祭り、彼岸、ホワイトデーなどがあり、安定的に推移した。
3月のキーワードは3つ
①気温
全国的に上旬の気温が高かった。その影響で鍋商材の最後の月だったが、これがサラダや飲料やアイスクリームなどに変わった。
②日曜日の営業日が昨年より1日少ない
週末シフトの企業には痛手となった。
③来店客数の減少
来店客数の減少は客単価の増加でカバーした
部門別の説明では
「生鮮品の青果は、気温の上昇により、鍋商材よりもむしろトマトやサラダ野菜への需要が多く、またイチゴや柑橘類の国産果実は不調だったものの、バナナなどの輸入果物は好調だった」
「水産は、ひな祭りや彼岸などの催事に合わせて、刺身の盛り合わせなどが好調で、かつおやホタルイカ、サーモンなども安定的に供給された」
「畜産は、ここ数年スーパーマーケットの売上げを牽引してきたが、伸びが止まった。とりわけ国産牛が不振と回答する企業が多かった。ただ、輸入牛肉に変わったことで単価が下がり、それが売上低下につながったという現象も一部、あった。豚肉、鶏肉は好調に推移している。また、WHOの癌報道による加工肉の売上低迷がしばらく続いてきたが、それはほぼ終息した」
「惣菜はひな祭りなどの歳時記で、ちらし寿司や握り寿司が好調に売上げを伸ばした。また日配は気温の影響を受け、鍋商材である練り製品や豆腐の売上げは悪かったが、ヨーグルトやアイスクリーム、麺類が好調」
「一般食品は、飲料がよく売れたが、酒類が不調と回答する企業が多かった」
「非食品は、たばこの値上げ前の駆け込み需要、花粉症対策用のマスクや行楽関連が好調。しかし、ドラッグストアやホームセンターとの競合による苦戦を指摘する企業もあった」
日本生活協同組合連合会渉外広報本部の伊藤治郎本部長からも同時に3月の業績発表がなされた。
3月の総供給高は2108億9500万円、前年比は4.0%増。
そのうち店舗は、737億9000万円で4.5%増、宅配は1323億1400万円で0.4%増。店舗・宅配ともに前年を上回り好調であった。
ひな祭りの週についても客単価、客数ともに前年超過となり、特に農産・惣菜・日配が好調であった。
宅配は12カ月連続で前年プラスとなった。これまでは宅配が牽引して、店舗が赤字続きという傾向があったが、店舗も好調さを維持している。
また、2015年度全体の生協の実績は、総供給高2.7%増だった。内訳は店舗が3.4%、宅配が2.6%、その他2.5%とすべて前年を上回った。
宅配と店舗、逆転現象が極めて重要な意味を持つ。
熊本地震については、厚生労働省社会・援護局地域福祉課からの要請を受け、全国の生協と連携して職員31名を20日~22日の3日間、熊本県菊池郡菊陽町役場と大津中学校体育館に派遣し、支援物資の積み下ろしや仕分け作業を行った。また20日には開新高等学校避難所にて水俣名物ちゃんぽんの炊き出しを行い430杯を提供した。今後も現地からの要請などについて情報収集を行い、支援活動を進めるという。
>>>生協くまもと新着情報はこちらから http://www.kumamoto.coop/
最後に熊本地震に関しての3団体の報告
4月14日に発生した熊本地震について協会では、熊本と大分を訪問し、状況確認をした。とくにAJSでは3チームを結成して、一部道路も分断されている中、18日の夜から現地に入った。その結果、3協会で13企業が該当。215店舗中、被災した店舗は39店舗だが、その被災店舗も徐々に回復。著しく被害を受けて長期間休業しなければならないのは6店舗。(4月20日時点)
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3月の業態別既存店営業実績のまとめ。
スーパーマーケットがプラス1.1%、
コンビニが▲0.06%、
総合スーパーが▲0.3%、
百貨店が▲2.9%
気温の変動に苦戦した各業態。プラスが続いていたコンビニも12カ月ぶりにマイナスとなった。その中でスーパーマーケットはプラス1.1%と、唯一健闘した。
日経新聞をはじめとして、一般に総合スーパーとスーパーマーケットをひとくくりにして「スーパー」とする。つまり業態の区分がない。だからチェーンストア協会の統計を使って、今月も「スーパー」はマイナスだったと発表される。しかし、食品スーパーマーケットは3協会の調査で、プラス1.1%だった。業態ごとの真のトレンドを知ることが重要である。
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