【3月商業動態統計】小売業季節調整値1.4%増と新旧業態の明暗

4月最終日のDailyニュースは、3月の商業動態統計速報。各協会からの業態別売上速報を毎日報告しているが、まとめとしてこの経済産業省からの発表をお届けする。

3月の「卸売業」と「小売業」を合わせた商業販売額は40兆1730億円となり、前年同月比▲5.1%だった。季節調整済では▲1.5%の低下となった。

季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために調整される数値である。業界ごとの協会の統計にはこの調整がない。したがって経済産業省統計の意味が重くなる。

1.卸売業の販売額動向

販売額は、27兆9050億円で▲6.8%。季節調整済みでは▲3.6となった。
業種別にみるとプラスは、食料・飲料7.2%、建築材料1.0%の2項目。
一方減少したのは、各種商品▲15.5%、鉱物・金属材料▲14.8%、機械器具▲10.0%、
繊維品▲9.4%、化学製品▲9.2%、その他▲4.8%、衣服・身の回り品▲4.3%、
家具・建具・じゅう器▲3.7%、医薬品・化粧品▲1.3%、農畜産物・水産物▲1.0%だった。

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(表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による)

大規模卸売店販売額は9兆7381億円となり、昨年同月比▲7.7%。
業種別にみるとプラスは、医薬品・化粧品20.3%、紙・紙製品13.1%、食料・飲料9.5%。
一方マイナスは、鉱物▲37.7%、非鉄金属▲20.8%、鉄鋼▲20.3%、石油・石炭▲16.2%、
自動車▲16.2%だった。

2.小売業の販売額動向

販売額は、12兆2680億円で▲1.1%。しかし、季節調整済みは1.4%のプラスとなった。
業種別でプラスは、医薬品・化粧品4.0%、織物・衣服・身の回り品3.6%、飲食料品2.9%、
その他1.0%。
一方、減少したのは、燃料▲15.0%、機械器具▲4.6%、自動車▲3.1%、
各種商品(百貨店など)▲1.0%だった。

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小売業の中での業態別の結果をみると、百貨店・スーパーの販売額の合計は1兆6460億円、▲0.2%。既存店でも▲1.2%。しかし、季節調整済は0.8%のプラスとなった。ではそれぞれの業態の結果を見てみよう。

【百貨店】
百貨店は5831億円で▲3.2%(既存店▲2.8%)。ただし季節調整済では0.5%プラスとなった。

主力の衣料品は、全体で▲6.6%(既存店▲6.2%)。
詳細をみると、婦人・子供服・洋品▲7.6%、紳士服・洋品▲6.4%、
身のまわり品▲5.1%、その他の衣料品▲3.0%、とすべて不調に終わった。

飲食料品は、▲0.9%(既存店▲0.4%)。

その他は、全体でプラス0.6%(既存店プラス1.0%)。
内訳をみると、プラスとなったのは家庭用電気機械器具2.8%、その他商品2.3%、
一方マイナスは、家具▲9.6%、食堂・喫茶▲5.3%、家庭用品▲0.3%。

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日本百貨店協会から発表された3月の百貨店売上高概況は、売上高 は5277億4693万円、前年同月比▲2.9%となり2カ月ぶりのマイナス。気温変動に左右され、春物衣料の販売に影響を及ぼし、また急激な円高、株価の低迷などが消費マインドにマイナス要因となったと報告された。

経済産業省統計の季節調整後が0.5%増とは対照的だ。

【スーパー】
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は1兆0630億円でプラス1.2%。既存店は▲0.3%であったが、季節調整済では1.1%のプラスとなった。

「スーパー」の主力商品である飲食料品はプラス2.6%で、既存店でも1.2%の増加と好調を維持。

しかし、衣料品の結果は、マイナスが並ぶ。全体では▲6.9%(既存店では▲6.8%)。
内訳をみると、その他の衣料品▲13.7%、身の回り品▲8.0%、紳士服・洋品▲6.4%、
婦人・子供服・洋品▲5.6%とすべてマイナスだった。

また、その他は全体ではプラス1.0%(既存店は▲2.7%)だった。
内訳でプラスだったのは、その他4.0%、食堂・喫茶1.9%。
減少したのは、家具▲15.1%、家庭用品▲10.7%、家庭用電気機械器具▲4.6%。

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日本チェーンストア協会から発表された「チェーンストア販売統計(月報)平成28年3月度速報」によると3月の総販売額は1兆0729億9265万円で既存店前年同月比はマイナス0.3%。

また、食品スーパーマーケットの一般社団法人日本スーパーマーケット協会、一般社団法人新日本スーパー マーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の3団体の合同の集計による「スーパーマーケット販売統計調査」では、総売上高は8713億9206万円で、既存店前年同月比はプラス1.1%。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高は9871億円で、プラス3.5%。
内訳は商品販売額が8846億円でプラス4.1%。
商品別にみると、
ファストフード及び日配食品は3467億円(プラス3.4%)、
加工食品は2482億円(プラス5.0%)、
非食品は2897億円(プラス4.2%)となった。

 サービス売上高は525億円となり▲6.8%だった。

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日本フランチャイズチェーン協会よりのコンビニエンスストアの3月「統計調査月報」では、3月の店舗売上高は、既存店は7929億4700万円(前年同期 比▲0.06%)となり、わずかながら12カ月ぶりのマイナスとなった。出店増から全店ベースでは、8685億2000万円(プラス2.9%)となり、 37カ月連続プラスとなっている。

【家電大型専門店】
販売額は、3818億円(▲6.3%)。
プラスだったのは、生活家電1482億(プラス2.4%)、その他395億(プラス1.2%)。
一方マイナスだったのは、カメラ類174億(▲18.0%)、通信家電331億(▲15.8%)、
AV家電566億(▲14.5%)、情報家電870億(▲10.4%)という結果だった。

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【ドラッグストア】
販売額は、4677億円(プラス6.3%)で、商品別でもすべてプラスとなった。
調剤医薬品352億(13.3%)、食品1186億(7.8%)、
ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー346億(7.3%)、
OTC医薬716億(6.2%)、その他106億(6.2%)、
ビューティケア(化粧品・小物)692億(4.7%)、家庭用品・日用消耗品・ペット用品671億(4.7%)、
トイレタリー452億(3.8%)、健康食品156億(0.3%)となり、すべてのカテゴリーでプラスとなり好調を維持し、昨年比の数字の伸びも大きい。

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【ホームセンター】
販売額は、2629億円(プラス0.9%)。
商品別でプラスとなったのは、
園芸・エクステリア396億(5.8%)、DIY用具・素材564億(2.9%)、
家庭用品・日用品563(2.2%)、ペット・ペット用品193億(2.2%)、
オフィス・カルチャー157億(プラス0.8%)。
一方マイナスだったのは、カー用品・アウトドア144億(▲0.9%)、
電気163億(▲1.8%)、インテリア202億(▲3.0%)、その他247億(▲7.9%)。

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2016年3月の結果をまとめると、
卸売業は▲6.8%、その中の大規模卸売店は▲7.7%。
小売業は▲1.1%となり、両者を合わせた商業計は▲5.1%。

小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
ドラッグストア6.3%、コンビニエンスストア3.5%、スーパー1.2%、ホームセンター0.9%。
マイナスとなったのは、百貨店▲3.2%と家電大型専門店▲6.3%。

この小売業の業態別の順番は2月の結果と全くおなじで、やはりドラッグストアが好調で家電大型専門店は3月も厳しい結果となった。百貨店、スーパーなど古い業態が低調で、その他の新しい業態が好調。とりわけドラッグストアはコンビニよりも好調な業態であることを忘れてはならない。

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