【4月総合スーパー・食品スーパー】それぞれ既存店▲0.7%と1.7%、2カ月連続で食品スーパーに軍配

日本チェーンストア協会が5月23日、「チェーンストア販売統計 4月度速報」を発表。調査対象企業は57社、9404店。チェーンストア協会加盟企業の過半は総合スーパー業態を運営する企業が占めていることから、この統計をもって、総合スーパーの販売トレンドを読み取ることができる。

さて、総合スーパーの4月実績を見ていこう。

総販売額は1兆0602億0960万円(構成比100%)で、
既存店前年同月比マイナス0.7%。

3月に引き続きマイナス成長となった。

1)食料品 6801億3029万円(64.2%)    プラス1.2%
 a)農産品 976億4627万円(9.2%)    プラス0.8%
 b)畜産品 783億9848万円(7.4%)    プラス0.3%
 c)水産品 627億1326万円(5.9%)   マイナス0.3%
 d)惣菜 801億7026万円(7.6%) プラス1.3%
 e)その他食品 3612億0202万円(34.1%) プラス1.7%
2)衣料品 925億7492万円(8.7%) マイナス4.5%
 a)紳士衣料 176億8549万円(1.7%) マイナス5.2%
 b)婦人衣料 271億7332万円(2.6%) マイナス6.3%
 c)その他の衣料・洋品 477億1611万円(4.5%) マイナス3.2%
3)住関品 2254億9064万円(21.3%) マイナス2.9%
 a)日用雑貨品 856億4371万円(8.1%) マイナス3.7%
 b)医薬・化粧品 322億3329万円(3.0%)    マイナス5.8%
 c)家具・インテリア 606億5041万円(5.7%) プラス1.1%
 d)家電製品 93億8375万円(0.9%) マイナス1.3%
 e)その他商品 375億7948万円(3.5%) マイナス4.9%
4)サービス 32億3053万円(0.3%) マイナス4.7%
5)その他 587億8322万円(5.5%) マイナス6.1%

今年は3月の桜の開花から満開までの期間が長く、4月中頃まで比較的長くお花見需要を享受できたシーズンだった。したがって食料品、特に惣菜部門は好調に推移した。スナック、揚げ物、焼き物、米飯、寿司などがよく動いた。

しかし、4月中旬~下旬にかけては気温が低下したことから、衣料品は不調気味。季節的にスクール関連洋品や肌着類に動きは見られたものの、婦人衣料・紳士衣料の大幅マイナスが響いた。新生活が始まるタイミングのため、家具・インテリア部門ではリビング家具、収納家具、寝装寝具類などは好調だった。ただし、家電は芳しくなかった。

総合スーパーの食料品部門が牽引したものの、全体的にマイナス基調となった4月のチェーンストア販売統計。GW、こどもの日、母の日とイベントの多い5月に期待がかかる。


そして先週5月20日には「スーパーマーケット販売統計調査 4月実績」が発表されている。一般社団法人日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、そして一般社団法人新日本スーパーマーケット協会の合同調査。

スーパーマーケット統計の調査はパネル方式を採用しており、4月からは新しく270社のパネル企業の実績を集計する。総店舗数は7693店、店舗平均月商は1億1102万円。総売場面積は1263万2771㎡で、売場1㎡あたりの売上高は6.8万円。

そして、4月の結果は以下の通りだった。

全店総売上高は8540億9003万円(構成比100%)。
既存店前年同月比はプラス1.7%だったため、
13カ月連続でプラスを記録した。

1)食品合計 7635億7390万円(89.4%) プラス2.1%
 ①生鮮3部門合計 2894億2105万円(33.9%) プラス0.8%
  a)青果 1190億5269万円(13.9%) プラス1.6%
  b)水産 758億9641万円(8.9%) プラス0.3%
  c)畜産 944億7195万円(11.1%) プラス0.3%
 ②惣菜 834億6785万円(9.8%) プラス2.4%
 ③日配 1646億2608万円(19.3%) プラス2.7%
 ④一般食品 2260億5892万円(26.5%) プラス3.1%
2)非食品 663億5100万円(7.8%) プラス0.5%
3)その他 241億6559万円(2.8%) マイナス3.6%

毎月持ち回りで3協会が発表しているが、今月の発表は新日本スーパーマーケット協会が担当。増井徳太郎副会長が4月の結果について語った。
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「4月は昨年に比べ土曜日が一日多く、前半の気温上昇や週末の好天などから、花見や行楽関連の需要が伸び、既存店プラス1.7%と好調だった。一方で、熊本・大分を中心とする地震の発生によって、営業や商品供給に大きな影響があった。現地のメーカーが操業を停止したり、交通網の寸断などにより農産品、海産物、日配品の一部などの商品供給に影響があった。また、水や缶詰、レトルト食品など支援物資・備蓄商材の需要が高まった」

「4月は日によって寒暖の差が激しく、品揃えが難しかった。また健康食品に関する話題がテレビで多く取り上げられ、なかでもヨーグルト、納豆、お酢、生姜、雑穀、甘酒、海藻類などが売上げを伸ばしたという報告が上がってきている」

「部門別に見ていくと青果相場は前半やや高く、後半は下落するなど、不安定だった。前半の気温は高めだったため、サラダ関係の野菜やフルーツなどが好調だった。熊本の地震発生後は、青果の一大産地である熊本からの供給が滞った。野菜が伸びを欠く一方で、果物は好調。特にオレンジ、バナナやキウイなどの輸入品がよく売れた」

「水産物は相場高や入荷不足で厳しい状況だった。前半の気温上昇により、春が旬のサワラは好調。しかし同じく季節物のアサリなどの貝類は、熊本地震の影響で入荷が減ってしまったという声が聞かれた」

「畜産は相変わらず国産牛の相場高騰が続いている。輸入牛、豚肉、鶏肉は落ち着きを見せている。気温上昇に伴い、焼肉やBBQなどの行楽商材の売れ行きは好調。しかし、行楽商材の代表であるはずのハム・ソーセージなどの加工肉は依然、WHO発表の影響からか、厳しい状況が続く」

「惣菜は花見シーズンが4月にずれ込んだこともあり、おおむね好調だった。週末に好天に恵まれたこともあり、弁当やオードブルが好調に推移した。ただ人手不足で完全に対応しきれていなかったと回答した企業も見られた。九州地区では地震の影響で、惣菜が店舗に届かないという事例も多かったようだ」

「日配はアイスクリーム、デザート、麺が良かった。中旬以降は九州で納豆やパンなどの供給不足が発生した。機能性ヨーグルトなども引き続き好調ではあるものの、ドラッグストアやディスカウントストアとの競合が激化しており、需要が流出している傾向が聞こえてくる」

「一般食品は行楽商材として、アルコール類、弁当商材が好調。米も久しぶりに好調で銘柄米、少量パック米ともに順調であった。少量パックのバラエティが増えてきたこと、そして防災意識の高まりから備蓄用としての需要が考えられる。水、カップ麺、缶詰、レトルトなども同様で、備蓄商品がよく売れた。繰り返しになるが、このカテゴリーでも競合、価格競争が厳しい状況にある」

「非食品は行楽需要として、使い捨ての食器や日焼け止め、制汗剤などがよく動いた。また天気が良く、季節の変わり目といったことから洗濯用洗剤も好調。地震発生以降はマスク、懐中電灯、乾電池など非常用品の需要が高まった。タバコは一部値上げをしたものもあり、不調だった」

会見中に急きょ、新日本スーパーマーケット協会の横山清会長が登場した。
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「昔は統計のリアルな数字を発表することは考えられなかった。『まぁまぁ』と言ったら普通、『そこそこ』だったら少し良い、といった会話が交わされていた。しかしこの統計が始まって以来、徹底した情報管理を元に調査をしている。天候や輸入情勢など外的要因があるとすぐにそれが結果に反映する。手前味噌だが、スーパーマーケット協会3団体から発表している数値は日本の流通業の中で一番正直でリアルな数字である。今後、熊本や東北の震災の問題がどんな数字になってくるか、加盟店の声を聞きつつ、統計・分析し、傾向を見極めていきたい」
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日々の必需品、食料品を提供するスーパーマーケットをはじめとする小売業にとって、震災が起こると、いつも以上に重要な役割を担うこととなる。人々が集まる場所となる。それを如実に示しているのが4月の地方分類別集計。エリア別に見ていくと、北海道・東北地方が既存店昨対プラス2.6%、関東地方がプラス1.4%、中部地方がプラス2.8%、近畿地方がプラス1.0%、中国・四国地方がプラス1.1%。そして最後に九州・沖縄地方がプラス3.8%ともっとも伸長。九州地方の震災特需がいつまでも続くわけではないが、小売業の出番はまだまだあるはずだ。

 

 検索ワード;総合スーパー 食品スーパー 熊本地震 震災特需 横山清

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