【6月商業動態統計】小売業季節調整済みで0.2%プラスも百貨店はマイナス

7月29日の今日、経済産業省から6月の商業動態統計速報が発表された。
6月の「卸売業」と「小売業」を合わせた商業販売額は36兆2960億円となり、前年同月比▲5.8%。季節調整済みではプラス1.3%という結果だった。

(季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために調整される数値である。業界ごとの協会の統計にはこの調整がない。実数値である。経済産業省統計の意義はここにある といってよい)

1.卸売業の販売額動向

販売額は、24兆9850億円で▲7.6%。季節調整済はプラス0.6%。
業種別にみるとプラスとなったのは、食料・飲料の1項目だけで0.2%増。
一方、減少したのは、建築材料▲1.0%、、医薬品・化粧品▲3.4%、農畜産物・水産物▲5.6%、機械器具▲6.5%、化学製品▲8.3%、家具・建具・じゅう器▲8.9%、各種商品▲11.8%、その他▲12.5%、鉱物・金属材料▲14.1%、衣服・身の回り品▲14.3%、繊維品▲17.1%。

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(表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による)

大規模卸売店
販売額は8兆1927億円となり、昨年同月比▲7.6%の減少。
商品別にみるとプラスは、その他の輸送用機械器具17.5%、紙・紙製品が5.5%、衣服・身の回り品4.7%。
マイナスは、化学製品▲16.6%、繊維品▲17.2%、非鉄金属▲21.0%、石油・石炭▲22.5%、鉱物▲52.1%という結果。

2.小売業の販売額動向

販売額は、11兆3110億円で▲1.4%。季節調整済みでは0.2%プラス。
業種別でプラスとなったのは、医薬品・化粧品1.3%、飲食料品0.6%、機械器具0.5%、織物・衣服・身の回り品0.2%、その他0.2%。
一方、減少したのは、自動車▲0.4%、各種商品(百貨店など)▲3.3%、燃料▲11.8%。

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小売業の中の業態別結果をみると、百貨店・スーパーの販売額の合計は1兆5675億円となり、▲0.7%の減少。既存店も▲1.5%。季節調整済みも▲1.1%の低下となった。
以下、それぞれの業態の結果をみてみよう。

【百貨店】
百貨店は5183億円で3.9%の減少。既存店は▲3.6%。季節調整済みでも▲0.6%の低下となった。

主力の衣料品は、全体で▲6.1%。既存店は▲5.8%。
詳細をみると、婦人・子供服・洋品▲5.7%、身の回り品▲6.1%、その他▲6.9%、紳士・洋品▲7.1%となりすべてのカテゴリーが不調に終わった。

飲食料品は、▲1.2%。既存店は▲0.9%だった。

その他は、全体で▲3.4%。既存店▲3.1%となった。
詳細は、その他▲1.7%、家具が▲2.5%、食堂・喫茶▲6.8%、家庭用品▲8.9%。
家庭用電気機械器具は▲20.0%と大幅にマイナス。

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日本百貨店協会から発表された6月の百貨店売上高概況によると、売上高は4699億9616万円。前年同月比▲3.5%で4カ月連続でマイナスとなった。主要5品目はすべて前年を割り、これは2014年10月以来20カ月ぶりと報告されている。

【スーパー】
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は1兆0492億円でプラス0.9%。既存店は▲0.4%。季節調整済みでも▲1.5%となった。

「スーパー」の主力商品である飲食料品は1.3%増、既存店でも0.2%のプラス。好調を維持した。

しかし、衣料品は、全体では▲2.2%となり既存店も▲1.8%。
内訳をみるとずらりとマイナスが並ぶ。紳士服・洋品▲0.9%、婦人・子供服・洋品▲1.8%、身の回り品▲3.0%、その他の衣料品▲7.9%。

また、その他は全体では±0.0%の横ばい。既存店は▲1.9%。
内訳でプラスだったのは、食堂・喫茶7.0%、その他が2.5%。
マイナスとなったのは、家庭用電気機械器具▲0.7%、家具▲5.8%、家庭用品▲12.2%。

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ちなみに、日本チェーンストア協会から発表されたチェーンストア販売統計6月度速報によると、総販売額は1兆5455億5202万円、既存店前年比はマイナス0.5%。2月から4カ月連続でのマイナスとなった。

また日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会3団体の発表よる6月の食品スーパーの販売実績は、総売上高8348億0347万円、 既存店前年同月比プラス0.5%。2カ月ぶりにわずかにプラスに転じている。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高の合計は9436億円で、プラス3.8%。
内訳は商品販売額が8892億円でプラス3.7%。
商品別にみると、ファストフード及び日配食品は3496億円(プラス3.9%)、加工食品は2526億円(プラス4.7%)、非食品は2871億円(プラス2.7%)、サービス売上高は544億円(プラス5.6%)となり、すべてのカテゴリーでプラスと好調だった。

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日本フランチャイズチェーン協会から発表されたコンビニエンスストアの「6月の統計調査月報」では、既存店は7975億2700万円で、前年同期比プラス0.8%。2カ月ぶりのプラス。全店ベースでは、8742億1300万円でプラス3.5%となり、こちらは40カ月連続で増加となった。

【家電大型専門店】
販売額は、3336億円でプラス2.6%。
内訳をみると、プラスだったのは生活家電1631億円(12.6%)、AV家電413億円(2.7%)の2項目。
一方、マイナスだったのは、その他354億円(▲3.4%)、通信家電216億円(▲4.8%)、情報家電591億円(▲7.9%)。

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【ドラッグストア】
販売額は4752億円で、プラス4.7%。
内訳をみると、プラスだったのは、食品1237億(9.0%)、その他113億(7.7%)、トイレタリー481億(5.9%)、家庭用品・日用消耗品・ペット用品741億(5.7%)、ビューティケア(化粧品・小物)717億(3.6%)、OTC医薬品670億(2.2%)、調剤医薬品305億(0.1%)。ドラッグストアはプラスが並び好調だ。

ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビーは323億円(0.0%)と横ばい。

マイナスは、健康食品の165億(▲2.0%)の1カテゴリーだけだった。

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【ホームセンター】
販売額は、2719億円でプラス0.7%。
商品別でプラスとなったのは、電気152億円(8.4%)、ペット・ペット用品210億円(3.9%)、家庭用品・日用品621億円(3.1%)、オフィス・カルチャー123億円(1.6%)、DIY用具・素材574億円(1.3%)、インテリア193億円(1.2%)。
一方マイナスは、その他239億円(▲2.1%)、カー用品・アウトドア133億円(▲4.0%)、園芸・エクステリア475億円(▲4.2%)。

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2016年6月の結果をまとめると、
卸売業は▲7.6%、その中の大規模卸売店も同じく▲7.6%。
小売業は▲1.4%となり、両者を合わせた商業合計は▲5.8%。

小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
ドラッグストア(4.7%)、コンビニエンスストア(3.8%)、家電大型専門店(2.6%)、スーパー(0.9%)、ホームセンター(0.7%)までがプラス。
マイナスは、▲3.9%の百貨店だけでという結果だった。

6月は小売業全体では▲1.4%だが、季節調整済みの数字はプラス0.2%を計上している。業態別にみても百貨店以外はすべてプラスとなっている。
中国観光客の爆買い減少の影響を受け、高額商品の売上げが伸び悩み厳しい結果となった百貨店。しかしドラッグストアのインバウンド消費はまだまだ健在と見て取れる。

統計では小売業販売額を、3カ月移動平均で前年比と比べた報告もされている。
(移動平均とは、時系列データを観察する時、データの変化が激しく、基本的な変化の傾向がつかみにくいことから、これを解決する一つの手段として使われ る方 法である。この移動平均とは、ある個数分のデータの平均値を連続的に求めそのデータ全体の変化の傾向を解析するもの)

それによると、6月の前月比は、0.0%と横ばいであった。
業種でみると、自動車4.3%、燃料1.6%がプラスとなり上昇。
一方、飲食料▲0.6%、織物・衣服・身の回り品▲1.1%、機械器具▲1.3%。この3分野は、天候に大きく左右される。梅雨明けが遅い今年。7月、8月でどれだけ回復できるか。予断を許さない。

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