西鉄ストアnews|インバウンド需要のデータ化と販促実践で成果
(株)西鉄ストア(福岡県筑紫野市、久保田等社長)はインバウンド需要のデータ化により、海外顧客向けの売場づくりの成果を発表した。
同社がメンバーとなっている(一社)リテールAI研究会(東京都千代田区、林拓人代表理事)の研究活動として、福岡大学と共同でおこなったもので、スーパーマーケットにおけるPOSデータのAI解析によるインバウンド需要の可視化とそれに対応した販売促進を進めた。
西鉄ストアが展開する福岡市は外国人観光客が多いことから、インバウンド購買が販売数と金額は急速に増加していて、地域経済への重要な役割を果たしている。スーパーマーケットにおいてもインバウンド購買の成長が売上増加に大きく影響する。
しかし、地域住民と異なり、旅行客はポイントカードを保有しないことから、顧客情報に紐づく購買情報(ID-POSデータ)が取得できず、外国人観光客の購買分析と購買傾向の把握が困難だった。その結果、インバウンド購買に対応した計画的な販売が進まず、欠品や機会ロスとなっていた。そこで、次の手順で実施した。
① 店舗スタッフにヒアリングした外国人観光客に人気の商品群の特徴をAIで解析
② 購買データ上の商品特徴を解析し、①との類似度を計算
③ ②の類似度を「インバウンドスコア」として各購買データに付与、また、免税カウンターにおける免税受付時のレシートデータを紐づけることで、購買データに国籍情報を付与
④ 「インバウンドスコア」の高い購買の類似性をAIで解析することで、海外旅行客に人気がある商品と国籍を特定
⑤ 2025年4月14日から、「ららぽーとレガネット福岡」で観光客向けの売場を英語と韓国語で展開
韓国旅行客は高額酒と一緒に手軽なデザート類、中国、台湾、タイの観光客は土産菓子、シンガポールの旅行客はいずれも購入していることが明らかになった。
また、施策の実施前後1カ月で比較したところ、英語と韓国語のPOPをつけた商品の購買数が380%伸びた。特に、ペットフードは800%と伸び率が高く、隠れた需要の掘り起こしに成功したことがデータで明らかになった。