Weekly Review|11/5、イオン、ファミマ、大創産業がマレーシアで躍動
商人舎流通スーパーニュース編集長 山本恭広
11月2日(月)から11月6日(金)に公開された流通スーパーニュースのなかで、11月5日(木)は日本を代表するチェーン3社がマレーシアの首都クアラルンプールで相次いで象徴的な動きを見せた。
ファミリーマートは開設10周年を記念としたポップアップストアをオープンした。
大創産業は世界進出の戦略的拠点としてのグローバルディストリビューションセンター(GDC)の竣工日となった。
また、イオンはイオンモールKLミッドタウンをオープンした。
偶然にもそれぞれ異なる業態の代表的企業が、エポックとなる日となった。
マレーシアは人口約3400万人を擁し、東南アジア有数の市場として成長を続けていて、日本の小売企業の存在感が一段と高まっている。
そして、各社でその位置付けは大きく異なる。消費市場の深耕を進めるイオン、都市生活圏のインフラを目指すファミリーマート、そしてアセアン全域を見据えた物流・供給拠点を整備する大創産業。それぞれの戦略から、日本小売業の海外展開の新たな潮流が見えてくる。
とくにマレーシアの首都クアラルンプール周辺は中間所得層の拡大が続き、小売市場の成長余地は大きい。一方で地理的にはアセアンの中心に位置し、シンガポール、タイ、インドネシアへのアクセスにも優れる。このため「有望な消費市場」と「物流ハブ」の両面を併せ持つ国となっている。
その代表格がイオングループだ。イオンは1984年、ジャヤ・ジャスコストアーズ(現イオンマレーシア)を設立、翌1985年にクアラルンプールに1号店をオープン。現在ではショッピングセンター事業、総合スーパー事業、金融事業などを展開する。2026年8月末時点でGMS33店舗含み62店舗を展開する。また金融サービス、エンターテイメント事業を展開していて、単なる店舗ではなく、都市生活そのものを取り込むイオン経済圏の構築を進めている。マレーシアは、ベトナムと並びアセアン事業のけん引役となっている。
「イオンモールKLミッドタウン」はマレーシア国内で28カ所目のモールとなる。
イオンの食品スーパー、ホームコーディ、キッズリパブリックなどイオンが開発したオリジナルカテゴリーをショップ展開する。
今回の目玉の一つが、エンターテイメントへの取り組みである。イオンファンタジーマレーシアが、「VS CHALLENGE」、アミューズメント施設「PALO」、ファミリー向け施設「モーリーファンタジー」の3つのフォーマットを同時出店した。
今回はイオンモールはソフトオープンで、2027年1月にグランドオープン、総売場面積1万坪を超える商業施設となる。高所得ファミリー層やオフィスワーカーが集積する都心立地で、子どもから若年層、大人まで幅広い集客を狙う。
都市型モールにおける滞在価値向上を目指した取り組みについて、イオン吉田昭夫社長は「デベロッパー&エンターテイメント事業は利益成長の基盤」と評している。これは日本だけでなく、アセアン事業でも実践されている。
一方、ファミリーマートは進出10周年を記念して開設したポップアップストア。クアラルンプール最大級の商業施設「サンウエイピラミッド」のイベントスペースに出店した。
同社はコンビニエンスストアを基盤としながら、「イートイン」「カフェ」「フードサービス」を強化し、日本型コンビニの価値を現地に浸透させてきた。日常生活のインフラとしての地位を固めつつある。
ポップアップストアは、今年7月に、港区の麻布台に開設した新ブランド「FAMIMA」初の旗艦店 「FAMIMA PARK AZABUDAI」をモデルにしている。
ファミリーマートは2016年にエリアフランチャイズ方式でマレーシア出店を開始して、約500店舗を展開している。日本の商品開発力を武器にしたオリジナル商品で若年層を取り込んでいる。
イオンモールが「週末消費」を担う存在だとすれば、ファミリーマートは「毎日の消費」を担う存在と言える。
そして、第3のエポックが大創産業の「GDC」だ。
同社はマレーシアに2026年2月時点で73店舗を展開する。しかし、消費市場としてだけではなく、東アジア、北米・南米への供給拠点と位置付ける。各地の生産拠点からコンテナ単位で集約して、国別、店舗別に仕分けて出荷する。
マレーシアは港湾・空港インフラが充実し、英語人材も豊富で物流・管理拠点を設置しやすい。
矢野靖二社長は「2030年度までに1兆円を達成」を掲げている。すでに日本国内では売場面積では国内最大の小売りチェーンとなっていて、海外に成長可能性を広げることが不可欠だ。マレーシアはサプライチェーンの最適化に重点を置いた戦略の地なのである。
日本の先端小売業は同じマレーシアに対して、イオンは「成長消費市場」、ファミリーマートは「日常生活インフラ市場」、大創産業は「アセアン物流拠点」としてとらえていることが明確だ。
