Amazon news|CEOのメッセージ/来年1月からマネジャー削減、週5日出社
アマゾン・コム(ワシントン州シアトル市)のアンディ・ジャシーCEOは9月16日(月)、従業員宛てに「Strengthening our culture and teams(企業文化とチームを強化する)」と題したメッセージ発信し、今後のマネジメント体制やオフィス勤務体制の変更点について言及した。以下、メッセージを翻訳し掲載する(中略・意訳あり)。
「チームの皆さん、こんにちは。私たちの企業文化とチームをさらに強化するためにいくつかの変更を行うのでお知らせしたいと思います。
私がアマゾンで働き始めた当初、この会社に27年も勤めることになるとは想像もしていませんでした。今でもこの会社にいる最大の理由はアマゾンの企業文化です。アマゾンは顧客を一番に考え、共に働く仲間たちと協力して新しい何かを創出し、長期的な見通しで動き、スピーディに意思決定を行い、行動します。その一方で、組織は官僚主義的でなく、社内政治がありません。
この企業文化はとてもユニークで、創業から29年間の成功の歴史のなかで最も重要な要素の一つです。しかしこの文化を強く保つには、努力し続ける必要があるのも事実です。
アマゾンの事業の幅広さ、成長率、事業のイノベーション、そしてこれらの取り組みを追求するために過去6~8年間で採用してきた人数を考えると、これはかなり異例なことです。アマゾンの最強の文化でさえ、限界に達します。企業文化の強さを保つことは、私とSチーム(30名の上級幹部チーム)にとって、最優先事項なのです。
私たちは、アマゾンを世界最大のスタートアップ企業のように運営したいと考えています。そこで私とSチームはここ数カ月、2つの領域の改善について考えてきました。一つ目は、スピーディな運営のための適切な組織構造が整っているか。二つ目は、顧客とビジネスにとって最高のものを提供するための勤務体制が整っているか。
一つ目のトピックについてですが、私たちはこれまで常に非常にスマートで、判断力があり、独創的で、成果に重点を置き、使命感にあふれた人材を採用しようと努めてきました。過去数年間、私たちはチームを急速かつ大幅に成長させるため、当然のことながらマネジャーを増やしました。そして、その過程で、以前よりも多くのレイヤー(階層)を追加しました。
しかし、これによって、変更しなければいけない状況が発生しています。たとえば、意思決定会議の事前会議のための事前会議や、議題を進める前に複数マネジャーによるレビューが必要となっていることなどです。私たちが行う意思決定のほとんどは双方向なので、より多くのチームメイトが不要なプロセス、会議、メカニズム、レイヤーなしで、迅速に行動できるようになってほしいと考えています。
そこで各Sチームの組織は、2025年第1四半期末(2025年3月)までに、マネジャーの数を減らし、現場担当者を15%増やします。マネジャーの数を減らすことで、今よりも階層が減り、組織がフラットになります。これがうまくいけば、チームメイトの行動スピードが向上し、責任感が明確化・活性化され、顧客 (およびビジネス) に最も影響を与える現場担当者が意思決定できるようになり、官僚主義が減ります。
【ちなみに[官僚主義メールボックス(Bureaucracy Mailbox)]という目安箱をすでに設置しました。もし従業員の皆さんが、官僚主義や不要なプロセスに遭遇したら知らせてください。誤解のないよう言うと、企業を効率的に運営するにはプロセスが必要です。しかしプロセスは官僚主義と同じではありません。不要で過剰なプロセスやルールは排除されるべきです。私はこれらのメールを読んで、それぞれに対応していきます。】
二つ目のトピックですが、顧客とビジネスにとって最高の体制を整えるために、私たちはコロナ禍前に立ち戻り、原則的にオフィスに出社することを決定しました。過去5年間を振り返っても、従業員がオフィスに一緒にいることの利点は大きいと考えています。コラボレーション、ブレインストーミング、さまざまな発明がよりシンプルで効果的になり、互いに教え合ったりすることがよりシームレスになり、チームメイト同士のつながりが強まる傾向にあることがわかりました。2023年5月以降、週3日の出社を義務付けてきたことで、出社することの利点を確信しました。
そこで、リモートワークを原則廃止し、週5日出社する体制に戻します。中には勤務体制に戻るには、調整が必要な人もいると思います。スムーズに移行するため、2025 年1月2日からスタートします。
もちろんパンデミック前も、全員が週5日オフィスに出勤していたわけではありません。自分や子どもが病気になった場合、家庭の事情が発生した場合は必要に応じてリモートで働いていました。これの必要性は理解していますし、今後も同様の対応となります。
また米国本社(ピュージェットサウンドとアーリントン)を含め、以前から固定席制を採用していた拠点では、復活させる予定です。ヨーロッパなど、パンデミック以前からフリーアドレス(自由席)制を採用していた拠点については、引き続きその方法で業務を運営します。
今後数カ月にわたって、組織の構造改革に取り組むリーダーやサポートチームにはあらかじめ感謝の意を表します。アマゾンのような規模と複雑さを持つ企業にとって、この作業は簡単なものではありません。すべての事業の組織を編成し直すことは私たちの総合的な能力が試されることになります。
私たちは全員、お客さまの生活に変化をもたらし、お客さまのために発明し、お客さまの問題を迅速に解決したいから、アマゾンという会社に在籍しているのだと、私は信じています。
ありがとう。
アンディより」