クローガーnews|来年秋のアパレル新ブランド立上げに90億ドル投資

クローガーが、来年の秋に、新しいアパレル・ブランドを立ち上げる。ご存知、全米第1位のスーパーマーケットで、国内ではウォルマートに次ぐ第2位の小売企業。

そのクローガーは、「マーケットプレース」と呼ぶ非食品強化型の大型店を積極的に開発している。2017年1月期現在で153店舗。店舗面積は、9300㎡から1万2000㎡。そのマーケットプレースの非食品部門を、従来はホームファーニチャーで展開していた。つまり、家具である。それをこの2年ほどの間に方針転換して、アパレルに変えた。相当の決断だ。しかし、まったく振るわない。売場もひどいもので、すぐにセール販売となる。

このアパレルに新しいブランドを開発するというものだ。新ブランドは「モダンでシンプル」、毎日着られる衣料で、なおかつ「トレンディーでコンビニエンス」。

クローガーのマーチャンダイジング部門バイス・プレジデントのロバート・クラークは、「私たちの顧客が必要としているものです」と胸を張る。

アパレルといっても、キッズ、ジュニア、若い男性、紳士と女性の5ラインで発売され、アクティブなライフスタイルに合った素材と裁断で造られる。

この新ブランドによってクローガーのアパレル・ラインを活性化させ、売上高を上げ、シェアを高め、ロイヤルティを伸長させる計画である。

来年2018年の秋に発表されるこのブランドは、1999年に買収したワシントン州に展開するフレッド・マイヤー132店舗と、クローガー・マーケットプレース、合計約300店舗でお目見えする予定だ。衣料品が強くて、最近はホールフーズを買収して食品販売を強化しているアマゾン、それから総合スーパーのウォルマートとターゲットへの対抗策の一つとしている。

このブランド開発には、今後3年間で90億ドルを投下する。その代わりに、戦略見直しとして傘下のコンビニエンス・ストア・チェーンの売却も模索されている。

グローサリーストアの開発したアパレル・ブランドというと、カナダのロブローの「ジョー・フレッシュ」がある。一時、JCペニーにも導入されたが撤退し、現在はカナダのロブロー自身の店舗内、いくつかの直営店、そしてオンラインでの販売となっている。

食品とアパレルは、根本的なマーチャンダイジングの違いがあって、両立させるのが極めて難しい。顧客が商品を購買する際には、家具よりも親和性が高いかもしれないが、それを直営で商品開発し、流通させ、販売するのは、ハードルが高すぎる。

アマゾンは、実質的にアパレルメーカーなどがネットショップに出店して販売している。ウォルマートはかつてターゲットのアパレル担当副社長をスカウトして、活性化を図った。さらにイギリスのアズダを買収して、そのアパレルの「George」を導入した。しかし依然、下着などのベーシック衣料中心の商品で売上げを上げているに過ぎない。ターゲットは衣料品には強みがあるが、逆に食品が弱い。

クローガーもここでまた、ターゲットの衣料担当取締役あたりをスカウトするくらいの外科手術をすることは必要だろう。そのための90億ドル(1兆円に近い)の投資だろうが、クローガーは非食品強化に必死である。

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