マクロミルnews|新型コロナウイルスが消費者心理に及ぼす影響を分析

(株)マクロミル(東京都港区、スコット・アーンストCEO)は、新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言による外出自粛や企業活動の縮小・停止が、消費者心理に与えている影響について、定点観測データから時系列で分析を行った。

同社は毎月、このような調査を実施し、公開している。

3回目となる今回の発表は、ゴールデンウィークを含む2020年5月第1週までの傾向についての速報だ。データは同社が2011年から毎週継続して定点観測している意識調査「Macromill Weekly Index」を使用する。調査対象は全国の20~60代の男女1000名で、国勢調査の人口動態の比率(エリア、性別、年代)に基づいて割り付けを行っている。

Macromill Weekly Indexは、同社が週次で行う定点観測インターネット調査データだが、即時性の高い消費マインドや消費動向を把握するため、毎週水曜日に1000名のモニターを対象にしている。同調査では、過去1週間に消費した金額やモノ・サービスのカテゴリーの消費実態を明らかにする。そのほかにも、内閣府が実施している消費動向調査や景気ウォッチャー調査の調査票を参考にして、消費マインドや景況感などを幅広く聴取している。

そして⑴注目ワード、⑵生活者の気分、⑶景況感、⑷ゴールデンウィークの消費金額、⑸ゴールデンウィークの消費品目、⑹今後1カ月の消費量についてまとめた。

⑴注目ワード
3月、4月に発表したレポートと同様に、すべての週において「新型コロナウイルス」が生活者に最も注目された。今回は「新型コロナウイルス」というワードを除いた生活者の関心事をワードクラウドで示した。すると、4月第1週「志村けんさん死去」、第2週「緊急事態宣言」、第3~4週「給付金10万円(特別定額給付金)」、第5週「岡江久美子さん死去」、5月第1週「緊急事態宣言延長」と変化したことがわかった。


〈過去1週間で気になった話題やニュースの変化(2020年4月第1週~5月第1週)〉

⑵生活者の気分
4月第1週は特に「悲しかった」が急上昇し、「不安だった」「憂鬱だった」を含むネガティブな感情が軒並み上昇した。緊急事態宣言が発令された4月第2週には「不安だった」が、4月第3週には「憂鬱だった」がピークに達し、その後、徐々に低下している。ゴールデンウィークには外出自粛が叫ばれたが、4月第5週から5月第1週にかけては「楽しかった」のスコアが上昇した。


〈気分(センチメント)の変化〉

⑶景況感
景況感(景気に対する印象)について、「現在の身の回りの景気(以下、「現況」)」と、「2~3カ月先の景気の見通し(以下、「先行」)」を用いて、景況感を算出した。スコアが50よりも大きければ景気が良い、50を下回れば景気が悪い、となる。

同社がデータの取得を開始した2013年からの推移を見ると、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、「現況」「先行」ともに急降下したことが分かる。また、2020年の推移を詳細に見てみると、生活者が最も景気が悪いと感じたタイミングは、緊急事態宣言の発令後の4月3週目だった。その後、ゴールデンウィークに入り、5月4日に緊急事態宣言の延長が発表されたが、景況感については上昇に転じている。


〈景況感の変化(2013年~2020年5月第1週)〉

⑷ゴールデンウィークの消費金額
2019年と比較した「消費金額」が下の図である。2月頃から新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれて消費金額は減少し、緊急事態宣言が発令された4月第2週からはさらに大きく減少した。

ゴールデンウィークに注目すると、例年は行楽や帰省といった消費によって消費金額が大きく増加する傾向があるが、今年は外出自粛要請もあってか4月第5週に「1万2400円」、5月第1週に「1万3900円」と、前年よりも6000~7500円減少した。


〈消費金額の変化(2020年1月~)〉

⑸ゴールデンウィークの消費品目
前年より減少したものは、「家族との外食」や「食事会・飲み会」「国内旅行」「映画・スポーツ観戦など」といった自宅外における消費だった。一方、自宅で消費する「お酒」や「自宅の特別な食事」は前年よりも増加し、外出を自粛して連休を自宅で楽しむといった消費行動によるものと考えられる。


〈5月第1週の購入品目の前年比較〉

⑹今後1カ月の消費量
「消費マインド」は例年、ゴールデンウィーク前に大きく上昇する特徴があるが、今年はその傾向が表れなかった。しかし、4月第3週を境に上昇に転じてきており、わずかではあるが消費に対する明るい兆しがうかがわれる。緊急事態宣言が発令されている状況下ではあるが、経済活動の再開に向けた消費マインドの変化が読み取れる結果となった。


〈消費マインドの変化(2020年1月~)〉

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