イオンリテールnews｜全店舗で従業員教育にVRを導入

イオンリテール(株)(千葉市美浜区、井出武美社長)は４月から「イオン」｢イオンスタイル」全店舗(約360店舗)において、新人・既存従業員教育として InstaVR(株)が提供するバーチャル・リアリティ(VR)プラットフォーム「InstaVR(インスタブイアール)」を導入する。なお、全店舗において従業員教育にVRを導入する取り組みは国内小売業では初めてとなる。

VR導入のポイントは３つ。
第1は、｢やり方がわかる」だけでなく「できるようになる」こと。
場所の制約がないので、これまでのＥラーニング動画では対応しきれなかった実務トレーニングが可能になった。また、多くの業務手順が「わかる」だけでなく、実際に手を動かしながら「できる」ようになるための実習を一人でも行うことが可能なので、教育担当者の負担を減らしながら、実務レベルの向上が期待できる。

2020年12月から一部店舗において、約5000名の従業員を対象にレジ操作や接客基本応対などの入社教育をＶRで行う実証実験を実施した。一般的に、VRを活用すると、実際の機器がなくてもVR上でレジ操作をしたり、お客がいなくてもVR上で応対をしたりするなど現場で“体験”している感覚で学習できることや、没入感が高く集中して学習でき、学習定着率が非常に高くなると言われている。体験後のアンケートでは約９割が「テキストや動画での学習より作業手順の理解が深まった」｢事前に体験できることで自信をもって売場に立てる」｢何より楽しく学習できた」と回答している。

第２は、多様な業務に対応する1000以上の研修コンテンツを共同制作したこと。
InstaVR社が提供する高速VR化システム「100倍速VR化」を活用し、レジ業務や接客などの顧客対応、売場づくり、防災・防犯など、多様な業務に対応する1000を超えるオリジナル学習コンテンツを、企画からシナリオ作成、撮影に至るまで共同で制作している。イオンリテールがすべての工程に入り込み、ともに制作を行うことで実務に即した効果的なVRによるOJT教育を実現している。

第３は、入社時の導入教育での教育時間を約40時間削減できたこと。
VRを入社時の導入教育プログラムに組み込むことによって、一人でも学習することが可能になっただけでなく、入社日時に関わらず随時、個別に導入学習することが可能になったことで指導者側の業務時間を平均約40時間(１店舗/１カ月当たり)削減することにつながった。

InstaVR社は Virtual Reality(バーチャル・リアリティ：仮想現実)の事業活用を推進するグローバル VR制作配信プラットフォーム「InstaVR」の製品開発や導入支援を行っており、世界で５万社に採用されている日本発のVR企業。2015年12月に設立された。