イオン 3Q営業収益過去最高もM&A効果なく
イオンが今日10日、2014年2月期第3四半期決算説明会を開催した。
説明者は森美樹イオン(株)代表執行役副社長。
営業収益(売上高に金融事業などの収益を加えた額)は4兆6211億円(前年同期比11.8%増)で、3期連続の過去最高益となった。
総合金融事業とディベロッパー事業が全体をけん引した。総合金融事業では、昨年4月に銀行持株会社イオンフィナンシャルサービスが発足。ディベロッパー事業でもイオンリテールが所有していた商業施設の運営・管理業務をイオンモールに集約させるなど、事業構造改革が進んだことが寄与した。
営業利益は、昨年に連結子会社化したダイエーやイオンマーケット(J.フロント リテイリングから買収した旧ピーコックストア)の業績不振が影響し、前年同期より40億円少ない948億円(同▲4.1%)だった。
経常利益は985億円(同▲15.7%)。M&Aに伴う負ののれんの償却が一部前期で終了したことなどにより、前年同期より183億円減少した。
四半期当期純利益は前年から175億円減って199億円(同▲46.8%)だった。
セグメント別では、GMS事業の営業収益が2兆1466億円(同9.7%増)、営業利益が65億円(同2.2%増)だった。活性化の成果がでたイオンリテールの営業利益が、ダイエーの損失を吸収してGMS事業全体を引っ張った。イオンリテールの既存店のうち、2011~2013年度に大型活性化を実施した51店舗の売上高は、前年同期に比べて3.4%増えている。
ダイエーの今後の方針について村井正平イオン(株)専務執行役・(株)ダイエー代表取締役社長は、「屋号の統合はまだ決定していない」と説明。また、店舗閉鎖については「一部でも可能性があれば、その店を闇雲に閉鎖することはしたくない」とした上で、「昨年12月に耐震についての新しい指針が出されたので、再度、一から閉鎖店舗の選定をやり直している最中」と語った。
続いてSM事業。営業収益は1兆1555億円(同7.6%増)となったが、営業利益は業態を越えた食品市場を巡る競争の厳しさを反映し、同▲67.4%の37億円という結果になった。もっとも、イオンマーケットを除いた事業では第3四半期にプラス転換している。
「まいばすけっと」「アコレ」「ミニストップ」などの戦略的小型店事業は、営業収益が2081億円(同18.1%増)、営業利益は34億円(同▲5.8%)だった。
グループ全体の業績をけん引する2本柱の1つ、総合金融事業は営業収益が2061億円(同54.5%増)と大幅な伸びを示し、営業利益も250億円(同20.5%増)で過去最高益となった。グループ全体の事業に占める総合金融事業のシェアは営業収益が4.5%なのに対して、営業利益段階では26.5%にも上る。
もう一方のけん引力となっているディベロッパー事業は、営業収益が1597億円(同9.0%増)で、営業利益は296億円(同4.2%増)とこちらも過去最高益となった。ディベロッパー事業の営業収益のシェアは3.5%で、営業利益のシェアは31.3%。
したがって、第3四半期営業利益の6割近くは総合金融事業とディベロッパー事業によるものだ。
海外はアセアン事業(対象期間1~9月)が好調で、営業収益が1309億円(同90.3%増)、営業利益が46億円(同6.9%増)だった。明日11日、ベトナム1号店となる「イオン タンフーセラドン店」がグランドオープンする。120の専門店を擁するベトナム最大級の店舗となる。その他にも、2014年度はカンボジア、インドネシアに初出店を予定している。
一方、中国事業(対象期間1~9月)は営業収益が1056億円(同28.6%増)と大きく伸びたものの、▲25億円の営業損失(前年同期比▲16億円)となった。しかし、明るい兆しも見えている。「中国政府の内需活性化政策で、GDPの伸び率より小売売上げの伸び率のほうが高い状況になっている」(ジェリー・ブラック専務執行役)ことから、9~11月の四半期では営業利益がプラスに転換した。
森副社長は今後の消費環境について「4月の消費税増税を控えて、こえから駆け込み需要が発生する」とした上で、「グループの総合力を活かして確実に需要を取り込んでいきたい」と語った。駆け込み需要については「すでに冷蔵庫や洗濯機などの大型白物家電では、2倍くらいの売上げが上がっている」という。
イオンの新たなフラッグシップとなった「イオンモール幕張新都心」は、昨年12月20日のグランドオープン以来、1日平均来場者数が10万人と好調。
一方で、ダイエーやピーコックストアのM&Aについて「見積もりが若干甘かった」(森副社長)ことが影響した今回の決算発表。M&Aで成長してきたイオンがいま乗り越えなければならない壁もまた、M&Aということになる。
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