J.フロントnews|年商1兆2683億円10.1%増・営利35.2%増の増収増益
J.フロントリテイング(株)(東京都中央区、小野圭一社長)が2025年2月期の本決算を発表した。
2024年3月1日~2025年2月28日の連結業績は、総額売上高1兆2683億2200万円(前年比10.1%増)、売上収益4418億7700万円(8.6%増)、事業利益534億9000万円(20.7%増)、営業利益581億9900万円(35.2%増)、税引前利益557億8500万円(34.9%増)の増収増益だった。
営業利益率は13.2%。
2030年を見据えた中期経営計画(2024‐2026年度)をスタートさせた。この中期経営計画では、2030年に目指す姿の実現、中長期の成長を確かなものとする「変革期」と位置づけ、重点戦略として百貨店事業・SC事業など「リテール事業の深化」、飛躍的成長に向けた「グループシナジーの進化」、これらの戦略の実効性を高める「グループ経営基盤の強化」に集中して取り組む。
「リテール事業の深化」では、顧客接点の魅力化、競争優位性のさらなる向上に向け、主に、百貨店事業では既存顧客の深耕や次世代顧客の獲得に向け、松坂屋名古屋店の改装に着手し、2024年11月からフロアごとに順次、リニューアルオープンした。大丸梅田店は、開業以来初となる大規模リニューアルを他社連携で推進することを決定した。SC事業では、東海エリア随一のファッションとエンタテインメント集積をテーマに名古屋PARCOをリニューアルし、有力ファッションブランドを導入するとともに、ポップカルチャーショップを拡大した。
「グループシナジーの進化」では、重点7エリアを中心とするエリアシナジーの最大化に向け、主に、名古屋栄エリアでは、デベロッパー事業において2026年開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」の開発計画を推進した。心斎橋エリアでは2026年開業予定の「(仮称)心斎橋プロジェクト」の開発を進めたほか、新たに、大丸心斎橋店南館を保有する(株)心斎橋共同センタービルディングの子会社化、隣接する心斎橋ビル(旧関西アーバン銀行本社)を取得する特定目的会社への出資を決定した。また、福岡天神エリアにおいて他社連携による再開発計画を推進した。
「グループ経営基盤の強化」として、価値共創リテーラーへの変革実現、経営戦略と一体となった新たなグループ人財戦略の推進に向け、グループ共通の「人財マネジメントポリシー」を制定し、人財戦略の実行を加速するための体制強化を図った。
百貨店事業の業績は、売上収益2636億4300万円(前年同期比10.3%増)、営業利益296億7700万円(26.7%増)と大幅な増収増益となった。
店舗別では、特に訪日外国人売上げが好調な大丸心斎橋店や大丸京都店に加え、戦略改装を実施してきた大丸神戸店・札幌店、ターミナル店舗の大丸東京店など、主要店舗の好調が業績を牽引した。
重点戦略に基づき、松坂屋名古屋店では大規模改装を推進しており、昨年11月から順次オープンを迎えている。今回のリニューアルはリアル店舗ならではの「体験価値の向上」、「次世代顧客の獲得」に向け、ラグジュアリーブランドの拡充に加え、ファッション・アート・酒・美や健康など、次世代のマーケットニーズを捉えたコンテンツを拡充した。
SC事業は、売上収益644億1800万円(9.7%増)、営業利益128億5000万円(35.8%増)。リテール事業の深化に向けて、パルコ独自のブランド価値、来店価値の向上を図るため、MZ世代や海外顧客からの支持拡大に向けた戦略改装を実施した。名古屋PARCOでは、東海エリア随一の洗練されたファッションと多彩なエンタテインメントをテーマとしたリニューアル、仙台PARCOでは、ファッションやエンタテインメントの強化、広島PARCOではエリア唯一のショップ誘致を目的とした戦略改装を行った。
また訪日外国人観光客への情報発信強化やアジアを中心とする海外企業との提携など関係強化に取り組み、渋谷PARCO・心斎橋PARCOではインバウンド取扱高が大幅に伸長し、業績を牽引した。文化事業では、演劇が復調し、音楽は渋谷クアトロが好調、コラボレーションカフェは人気漫画のライセンスを活用した事業開発が奏功した。さらに、韓国の大手百貨店「現代(ヒュンダイ)百貨店」と戦略的協業に関する基本合意を4月に締結し、渋谷PARCOでポップアップイベントを開催しMZ世代を中心に新たな顧客層を集客した。
デベロッパー事業は、売上収益906億5800万円(11.5%増)、営業利益81億8900万円(6.7%増)。主に、J.フロント都市開発(株)において保有物件の売却益を計上したほか、(株)J.フロント建装におけるホテル内装工事の受注増加などが牽引し、増収増益となった。
グループのビルマネジメント事業の再編強化に向け、9月に(株)J.フロントONEパートナー(旧:株式会社JFRサービス)のビルマネジメント事業を(株)パルコスペースシステムズへ移管した。
決済・金融事業は、売上収益131億3500万円(0.1%増)、営業利益14億6000万円(43.5%減)。百貨店事業との協業によるカード会員の拡大と利用促進を図った。また、新たな顧客基盤の拡大に向け、グループ内カード集約の取り組みとして、新GINZA SIXカード、新PARCOカードの発行を開始した。加盟店事業では、重点エリアを中心に外部加盟店を開拓したほか、グループ商業施設のアクワイアリングの拡大に取り組んだ。
2026年2月期は、総額売上高1兆3160億円(3.8%増)、売上収益4590億円(3.9%増)、事業利益540億円(1.0%増)、営業利益500億円(14.1%減)、税引前利益455億円(18.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益300億円(27.6%減)を見込む。