J.フロントnews|第2Q売上高6226億円2.0%増・営利23.9%減の増収減益
J.フロントリテイング(株)(東京都中央区、小野圭一社長)が2026年2月期の第2四半期決算を発表した。同社は国際会計基準(IFRS)を採用している。
3月1日~8月31日の連結業績は、総額売上高6225億7400万円(前年同期比2.0%増)、売上収益2199億2500万円(5.0%増)、事業利益281億8100万円(13.2%減)、営業利益299億7500万円(23.9%減)、税引前利益278億7400万円(27.1%減)の増収、大幅減益だった。
営業利益率は4.8%。
百貨店事業の業績は、売上収益1296億1200万円(1.8%増)、事業利益160億0100万円(20.3%減)、営業利益166億4900万円(14.0%減)。為替の変動等に伴いラグジュアリーブランドをはじめとした高額品を中心に免税売上高が減少した一方、国内顧客の売上げは堅調に推移した。
店舗別では、大丸梅田店が特に大阪・関西万博の開幕以降に入店客が大幅に増加するなど、売上げが好調に推移した。一方で、大丸心斎橋店や大丸京都店は免税売上高の減少影響などにより減収となった。事業利益、営業利益は、手数料の増加や業務委託費増加の影響もあり、減益となった。
同社らしいコンテンツの拡充に向けて、大阪・関西万博オフィシャルストアでは社員の目利き力を活かし、有名作家とコラボしたアート作品、デザイナーズブランドと手掛けたアパレルや雑貨などのオリジナル商品を開発し、好評を得ている。(株)大丸松坂屋百貨店が運営するファッションサブスクリプションサービス 「AnotherADdress(アナザーアドレス)」では、従来の個人会員に加え、法人向けの新サービス「AnotherADdress.biz」を開始した。
同社の強みである富裕層ビジネス分野で競争優位性を各エリアにおいて確立するため、顧客基盤の拡大に向けた新規顧客開拓、催事・体験コンテンツの充実、顧客とのコミュニケーション強化に向けたタッチポイントの充実など、独自の体験価値を提供する外商組織への深化を図る取り組みを推進していく。
SC事業の業績は、売上収益331億1400万円(4.1%増)、事業利益83億2500万円(6.2%増)、営業利益95億3800万円(34.0%増)。売上収益は、国内に加え、免税取扱高の好調持続による店舗賃貸収入の伸長や、決済手数料収入等の増加などにより前年同期比で増加した。その結果、事業利益、営業利益ともに増益となった。
中期経営計画の重点戦略として、店舗事業を構造的に進化させるビルフレーム改革の取り組みを推進している。具体的には、昨年11月に建替リニューアル5周年を迎えた「渋谷PARCO」の大型改装を推進し、7月に人気漫画の世界初の体験型公式ショップ、人気ゲーム会社国内初となる旗艦店などがオープンし、「グローバルニッチ」のテーマに基づく日本発のコンテンツを強化した。また、「広島PARCO」ではエンタテインメントフロアをオープンし、「仙台PARCO」ではエンタテインメントショップを含む店舗で開業以来、最大規模の大型改装を実施した。
「コンテンツ事業の拡大」については、8月に、PARCO4店舗(池袋・名古屋・心斎橋・広島)で人気を博している飲食店の初めての海外店舗が、香港の大型商業施設「Langham Place(ランガムプレイス)」にオープンした。加えて、ファッション・エンタテインメント・アートなどカルチャー領域の事業を通じて培ったパルコ独自の目利き力と創造性を活かしたゲームパブリッシング事業に本格参入し、新レーベル「PARCO GAMES(パルコゲームズ)」を立ち上げた。
デベロッパー事業の業績は、売上収益432億9300万円(10.8%増)、事業利益44億4700万円(2.3%増)、営業利益41億7600万円(87.1%増)。売上収益は、主に、(株)J.フロント建装のラグジュアリーブランド工事の受注増、(株)パルコスペースシステムズの工事受注増などにより大幅な増収となった。その結果、事業利益、営業利益ともに増益となった。
重点エリア戦略として、2026年度竣工・開業予定の「ザ・ランドマーク名古屋栄」と「(仮称)心斎橋プロジェクト(大阪・心斎橋)」における開発計画は着実に進行している。また、「(仮称)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」は、グループ各社が連携して再開発計画を推進している。
決済・金融事業の業績は、売上収益66億2000万円(2.0%増)、事業利益4億4900万円(57.7%減)、営業利益4億2900万円(52.3%減)。売上収益は、ポイント費が増加したものの、カード取扱高、加盟店事業での取扱高の拡大などにより増収となった。事業利益、営業利益は、新カード発行に伴う会員獲得費用や広告宣伝費の増加、グループカード集約化のための人件費増などにより、減益となった。
カード会員獲得については2月にPARCOカード、3月に博多大丸カードの新規発行によりグループ内カード集約が完了し、カード会員規模の拡大に向け、各社と連携した獲得施策を推進している。
通期は、総額売上高1兆2930億円(1.9%増)、売上収益4520億円(2.3%増)、事業利益485億円(9.3%減)、営業利益440億円(24.4%減)、税引前利益395億円(29.2%減)を見込む。