スーパー大栄イズミ子会社化とリベラルスーパーチェーンの自己破産
消費税増税の今年、西日本ではさらに、たび重なる台風上陸、豪雨災害など厳しい1年だった。増税後の駆け込み需要の反動に加え、天候不順による落ち込みもあり、スーパーマーケット業界にとっても苦難の1年だった。
そんな年の瀬、2つのニュースが飛び込んできた。
1つはスーパー大栄(北九州市・中山勝彦社長)のイズミ子会社化。
もう1つがリベラルスーパーチェーン(兵庫県洲本市・中村正義社長)の自己破産申請。
スーパー大栄はイズミの持分法適用会社。今回、イズミがスーパー大栄の普通株式に対する公開買付けを行うことで、連結子会社にする。
現在、イズミは27.03%の株式を保有しているが、新たに215万株(保有割合23.96%)を取得し、議決権比率の51.0%を保有する。買付金額は3億9345万円の予定。
スーパー大栄は昭和46年2月に設立された。前身は昭和37年設立の八幡大門商業協同組合。北九州を本拠地にスーパーマーケット・チェーンを展開。平成3年3月福岡証券取引所に上場。
平成14年、生鮮ディスカウントの「鮮ど市場」(株式会社生鮮市場~現・鮮どコンサルジャパン~と加盟店契約)を、平成22年にはディスカントストア「サンディ」の新規事業を展開する。平成23年には鮮ど市場の加盟店契約を解除し、店名を「フレッシュ8」に改称。現在スーパーマーケット31店舗。
今年1月31日にはイズミと資本業務提携を締結していた。
スーパー大栄の2015年3月期の第2四半期決算売上高は111億2300万円(対前年同期比マイナス3.1%)、経常損失は3億2600万。通期予想は、売上高241億5300万円、営業損失500万円、経常損失3100万円、当期損失1億1200万円だった。
消費マインドの低迷、他業態との競合激化、そして人手不足の原材料価格の高騰を理由としているが、これはどこのエリアでも同じ。むしろ西日本を襲った予想外の天候不順による売上げ減が足を引っ張ったのかもしれない。
一方、淡路島を拠点とするリベラルスーパーチェーン。
淡路島で食品スーパー「リベラル」を11店舗展開。1914年(大正3年)婦人洋装店で創業。1959年(昭和34年)に「淡路主婦の店」としてスーパーマーケット経営に転換。当時社長の西岡茂さんは、オール日本スーパー経営者協会(現オール日本スーパーマーケット協会)設立に尽力し、1962年、初代会長に就任した。その後、オール日本スーパーマーケット協会を脱退し、2006年にCGCグループに加盟している。
2000年代に入るとイオン、マルナカ、マルヨシセンターなど大手チェーン、ローカルチェーンとの競争が激化し、業績が悪化。2014年3月期の売上高は約44億5200万円。5期連続の最終赤字となり、資金繰りに行き詰まった。2014年3月期末時点の負債額は約25億3600万円。
12月14日段階で、淡路島内にある全11店舗は営業を停止し、15日に自己破産申請への準備に入った。
店舗の一部はマルナカが継承すると報じられている。
ローカルスーパーマーケットの環境は一層厳しくなっている。2014年も残り2週間。
まだまだ予断を許さないが、ここで図らずも二つの選択肢が露呈した。
企業売却か、自己破産か。
ローカルチェーンの行き方はいくつかある。自主独立、経営統合、企業売却、民事再生法適用申請、会社更生法適用申請、そして最後に自己破産となろう。自己破産せざるを得ない経営者の心境には同情を禁じえないが、あくまでも自主独立を貫くことを志向しつつの突然の自己破産は、なんとも救いようがない。
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