シンクロ・フードnews|消費税増税時に飲食店の約6割が価格値上げを予定

(株)シンクロ・フード(東京都渋谷区、藤代真一社長)は、飲食店.COM会員を対象に、消費税引き上げに向けた対応に関するアンケート調査を実施した。

同社は、飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」( https://www.inshokuten.com/research/company/ )を運営している。

この調査に対する回答者のうち70.2%が1店舗のみの運営の単独店経営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は54.4%、首都圏の飲食店の割合は73.9%となっており、こうした背景が結果に影響している。

まずはじめに、2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられた際の売上げ状況に関して4つの質問をした。

⑴メニュー価格の値上げの有無についてたずねたところ、「値上げした(62.1%)」、「値上げしなかった(37.9%)」という回答が得られた。

⑵売上げへ影響があったかどうかについてたずねたところ、「影響があった(売上げが減った)(34.1%)」、「影響はなかった(65.9%)」という回答が得られた。一定数の飲食店では消費税引き上げによる売上げの減少を予想していたものの、過半数の飲食店で影響はなかったことがわかった。

⑶「影響があった(売上げが減った)」という回答者に対して、売上げに影響のあった期間についてたずねたところ、「1カ月以内(1.4%)」、「1~3カ月以内(39.7%)」、「3~6カ月以内(28.8%)」、「6~12カ月以内(13.7%)」、「それ以上(16.4%)」という回答が得られた。1カ月以降、半年まで、影響が大きかった。

⑷「影響があった(売上げが減った)」という回答者に対して、具体的にどのような影響があったかを自由記述形式でたねたところ、さまざまな回答が得られた。主な回答は以下の通り。
・オーダーの品数が減った。ドリンクはあまり影響がなかったが、フードは目に見えて減少した。(東京都/イタリア料理/1店舗)
・単価については影響は大きくなかったが、頻度が落ちた印象。(東京都/バー/3~5店舗)
・しばらく来店数と単価が下がっていた。 (愛知県/居酒屋・ダイニングバー/11~30店舗)
・1人当たりのドリンクの注文が減った。値段の高い商品が出にくくなった。 (大阪府/洋食/1店舗)
・高単価商品の売れ行きが落ち、客単価が下がった。 (岐阜県/イタリア料理/3~5店舗)
・単価よりも客数の減少が大きかった。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/101店舗以上)

次に、2019年10月に予定されている消費税引き上げのタイミングで、メニュー価格の値上げを予定しているかどうかをたずねたところ、「予定している(62.1%)」、「予定していない(37.9%)」という回答が得られた。

消費税分だけメニュー価格に転嫁するかなど、値上げの幅は店舗によって異なるが、多くの飲食店で値上げが行われる可能性が高いと言えそうだ。

さらに、消費税引き上げと軽減税率の導入に向けて実施した対策について、自由記述形式でたずねたところ、以下のような回答が得られた。
⑴外税表記への変更
・消費税引き上げを考えたうえで、メニューを税別表記に変更した。(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/31~50店舗)
・今まで内税だったのを今月から外税に変更した。(千葉県/イタリア料理/1店舗)
・増税に関しては前回から外税表記を徹底しており、お客様に理解してもらっている。(東京都/イタリア料理/1店舗)

⑵メニュー価格の値上げ
・税率の引き上げが開始されたときに値上げしなくて済むように、今から少しずつ値上げしている。(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・2019年10月の施行が決まった時点から、じわじわと地味な値上げを段階的に行っている。(東京都/カフェ/1店舗)
・今のうちに徐々に値上げをしていく。(愛知県/フランス料理/1店舗)

⑶仕入れやメニューの見直し
・売価を据え置きするため、店舗オペレーションの簡略化によるコスト削減や食材・取引先の変更による原価率低減を実施している。 (茨城県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・原価の調整については、売値ではなく食材の量で調整する予定。局所的に変更するのでなく、全体的にまんべんなく調整すればそこまで大きな違いは出てこないと考えている。(東京都/和食/1店舗)
・原価設定変更を目的としたメニュー変更や仕入物の変更を実施している。(愛知県/イタリア料理/2店舗)

⑷軽減税率対応レジの購入
・軽減税率対応レジを導入する。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・軽減税率対応レジを購入し、補助金を申請した。(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/11~30店舗)
・菓子の販売も予定していたので、開業するときに軽減税率対応レジを購入した。 (東京都/カフェ/1店舗)

⑸テイクアウトの強化
・テイクアウトは8%のままなので、レジ前に持ち帰りできる商品を置く。(愛知県/居酒屋・ダイニングバー/11~30店舗)
・持ち帰り商品の拡充。(北海道/ラーメン/1店舗)
・増税後はテイクアウトできるメニューを考える。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

■調査概要
調査対象/飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答者数/309名
調査期間/2018年11月12日~2018年11月26日
調査方法/インターネット調査

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