総務省 経済センサスと経営指標で産業を比較

今年1月29日に速報が発表された「平成24年経済センサス‐活動調査」。

概要は『月刊商人舎』2013年4月号で紹介した(Monthly Statistics 平成24年経済センサス)。

その経済センサスの調査結果を用いた分析事例が16日、総務省から発表された。

 

経済センサスは日本にあるすべての企業と事業所を対象とする「経済の国勢調査」。
全産業分野の経理項目を同一時点で網羅的に把握することが可能だ。
つまり、産業分類別に売上(収入)金額、費用総額、給与総額、付加価値などがわかる。

 

今回、総務省はこうした項目を用いて経営分析で広く使われている経営指標を算出。
それを産業分類間で比較して公表した。

 

経営指標は3つに大別される。すなわち、「収益性」「生産性」「人件費」だ。

 

【収益性】

「売上高」から費用総額(「売上原価」と「販売費及び一般管理費」の合計)を差し引いたものが「営業利益」と呼ばれる。そして、「営業利益」の「売上高」に対する比率を「売上高営業利益率」といい、企業の収益性を見る指標となっている。

2011年1年間で「売上高営業利益率」が最も大きかったのは「学術研究、専門・技術サービス業」で15.2%。2番手は「不動産業」の12.5%、3番手が「飲食サービス業」で11.5%。

◆ 売上高営業利益率
operatingmargin

 

【生産性】

生産性を見る指標として、付加価値額を従業者数で割って求める「従業者1人当たり付加価値額」がある。付加価値額とは「売上高-費用総額+給与総額+租税公課」によって算出される。やや大雑把に言えば、売上高から原材料費を引いた残りの金額、つまり働く人の賃金と企業の利潤だ。

addedvalue

ここで気をつけなくてはいけないのは、経済センサスでは正社員・正職員とパート・アルバイトの労働時間の違いなどを考慮していないということ。だから、産業間比較の場合は各産業の雇用形態の特徴を考慮する必要がある。

さて、「従業者1人当たり付加価値額」は「付加価値労働生産性」あるいは単に「労働生産性」と呼ばれ、従業者1人が生み出す新しい価値と捉えられる。労働生産性指標は下記のように「従業者1人当たり売上高」と「売上高付加価値額率」(単に「付加価値率」ともいう)に分解される。

addedvalue_per_person

「従業者1人当たり売上高」が大きいほど少ない人数で多くを稼いでいることを意味する。また、「売上高付加価値額率(付加価値率)」が大きいほど人件費以外の費用が小さいことを表している。

「従業者1人当たり付加価値額(労働生産性)」が最も大きかったのは「情報通信業」の910万円。次いで「学術研究、専門・技術サービス業」の788万円、「卸売業」の748万円となっている。

◆ 従業者1人当たり付加価値額(労働生産性)
graph_addedvalue_per_person

 

また、「従業者1人当たり売上高」が最も大きかったのは「卸売業」で9461万円。ただし、これは総合商社や貿易商社などの寄与が大きいことに留意すべきだ。2番目に大きかったのは「物品賃貸業」の4482万円、3番目は「娯楽業」の3859万円だった。

◆ 従業者1人当たり売上高
sales_per_person

 

「売上高付加価値額率(付加価値率)」が最も大きいのは「社会福祉・介護事業」で63.2%。
次いで大きかったのは「医療、保健衛生」の52.4%。
続いて「教育、学習支援業」の47.6%だった。

◆ 売上高付加価値額率(付加価値率)
addedvalue_rate

 

【人件費】

生み出された付加価値額を人的資源に分配した額が人件費。
「従業者1人当たり給与総額」は前出の「従業者1人当たり付加価値額(労働生産性)」と「付加価値額給与総額率」とに分解できる。後者には福利厚生費や退職金が含まれていないものの、ほぼ「労働分配率」に対応するものと考えることができる。

income

 

「従業者1人当たり給与総額」は「情報通信業」が590万円と最も大きく、次いで「卸売業」の463万円、「学術研究、専門・技術サービス業」が447万円となっている。

◆ 従業者1人当たり給与総額
graph_income

 

また、「付加価値額給与総額率(労働分配率)」では、「教育、学習支援業」が87.2%と最も大きく、「社会福祉・介護事業」86.3%、「他のサービス業」78.7%と続く。

◆ 付加価値額給与総額率(労働分配率)
graph_addedvalue-income

 

自らの業界や仕事をデータによって客観的に捉えることは、イノベーションを起こすためにも極めて重要である。

 

検索キーワード: 経済センサス 経営指標

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