11月SC統計|既存SC売上高2.3%増/大都市と周辺地域で一部明暗
(一社)日本ショッピングセンター協会(東京都文京区、清野智会長)が11月の「SC販売統計調査」を発表した。既存SC売上高は前年同月比2.3%増加で4カ月連続のプラスとなった。
行政による行動制限がなかったこと、前月に引き続き全国旅行支援で観光需要が高まったことで来館者が増加した。都心部中心に回復したインバウンドも売上増に寄与した。月後半のコロナウイルス第8波の影響で来館者が減少したSCも見られた。
2019年比では7.3%の減少で、コロナ禍前を下回っているが、マイナス幅は縮小している。
立地別に見ると、中心地域は総合で5.9%増、周辺地域は0.7%増となり、周辺地域が伸び悩んだ。自粛意識の高まりから近隣のSCを利用していた客層が、時間と共に都市部など遠方へ足を伸ばしているとみられる。業種別では観光需要の高まりによって旅行客の来館者数が増え、飲食が好調だった。
また、外出機会の増加により、靴や鞄などのファッション雑貨が好調だった。一方、全国的に気温が高かったことから、重衣料や防寒アイテムは、北海道を除いて全国的に苦戦し、売上げが伸び悩んだ。
キーテナントは、前年同月比1.2%増。百貨店が4.4%増、専門店が8.7%増と牽引したものの、生鮮食品などを取り扱うGMSは0.6%やSMは2.1%増にとどまった。
立地別では、中心地域・大都市は総合で7.7%増。京都市、福岡市は全国旅行支援により、来館者が増え、2けた増となった。中都市は総合で2.8%増、周辺地域は総合で0.7%増となった。外出需要の高まりによって、地元客の県外流出により、来館者が減少したSCも見られた。
地域別では、全地域プラスとなっている。とくに北海道が総合で8.7%増と、伸長率が最も高かった。前年は時短営業要請が影響して売上げが落ち込んだが、今年は行動制限がなかったことや旅行客の来館が増えた。
関東は、総合で2.5%増。大都市中心に全国旅行支援の本格化に伴う旅行者増やインバウンド客の増加が寄与した。
近畿は、総合で1.8%増。中心地域は8.7%増となり、旅行客の来館などの影響で大阪市を中心に2桁伸長率となったSCが多かったが、周辺地域は0.9%減となった。
業種別では、外出機会の増加により、靴や鞄、スーツケースなどのファッション雑貨が好調だった。
一方、北海道以外の地域で気温が高く推移したことから、アウターなどの重衣料や防寒アイテムなどが苦戦し、売上げが伸び悩んだ。引き続き全国旅行支援が継続したことで旅行客の来館者数が増え、飲食や土産品が好調だった。
飲食は関東を中心にディナータイムのアルコール需要が増加しているとの声が聞かれた。11月11日に公開された映画『すずめの戸締り』がヒットしたシネマや、国内旅行の需要が増えたことによる旅行代理店などのサービスも好調だった。
(調査サンプル数:484SC)