10月の商業動態統計速報、ドラッグストア絶好調
平成27年10月分の商業動態統計速報が経済産業省から発表された。既に各業態ごとの協会から10月の結果が報告されているが、11月30日の今日、それに続いての発表があった。
商業販売額(税込み)は38兆4120億円で前年同月比マイナス0.8%であった。
しかし、その季節調整済前年同月比はプラス0.4%となり、6カ月連続上昇となった。
*季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数である。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために生まれたものである。
1.卸売業販売額の動向
販売額は、26兆8410億円、(前年同月比マイナス1.9%)。
季節調整済み前年同月比は、プラス2.1%。
業種別で前年同月比でプラスとなったのは、以下のとおり。
食料・飲料 9.0%、医薬品・化粧品 8.9%、農畜産物・水産物6.6%、
繊維品2.9%、衣服・身の回り品2.7%。
一方減少したのは、鉱物・金属材料▲13.5%、化学製品▲9.0%、その他▲5.6%、
各種商品▲4.2%、機械器具▲3.0%、家具・建具・じゅう器▲1.0、建築材料▲1.0だった。
大規模卸売店販売額は8兆7372億円となり、前年同月比マイナス5.2%となった。
商品別にみるとプラスになったのは、医薬品・化粧品17.7%、
その他の機械器具が14.9%、繊維品6.7%
一方マイナスは、鉱物▲39.7%、一般機械器具▲29.8%、石油・石炭▲24.4%、
その他の輸送用機械器具▲15.7%、化学製品▲15.2%だった。
2.小売業販売額の動向
販売額は、11兆5710億円、(前年同月比プラス1.8%)。
季節調整済みでは1.1%プラス。
業種別で前年同月比で増加となったのは以下のとおり。
織物・衣服・身の回り品8.1%、医薬品・化粧品4.9%、その他4.3%、飲食料品4.0%、
各種商品小売業(百貨店)3.2%、自動車3.0%、機械器具0.3%。
一方、減少したのは燃料の▲13.1%だけで小売業は各種別とも好調だった。
3.百貨店・スーパー販売額の動向
販売額は、1兆6072億円(前年同月比プラス4.0%)。季節調整済ではマイナス0.1%となった。
既存店では2.9%のプラス。
(百貨店)
百貨店は5496億円(前年同月比プラス3.8%)。
季節調整済▲0.3%。既存店は4.2%プラス。
主力商品である衣料品は、全体でプラス2.2%。
詳細をみると、身の回り品5.2%、その他の衣料品4.5%、紳士服・洋品2.1%、
婦人・子供服・洋品0.6%、と全てプラスとなり、好調であった。
飲食料品はプラスの1.2%。
その他は、全体でプラス9.7%。
詳細をみると、その他の商品12.7%、家具7.1%、食堂・喫茶2.5%、
家庭用品2.0%プラスと好調であった。
家庭用電気機械器具が唯一4.2%のマイナスだった。
日本百貨店協会から発表された10月の全国百貨店売上高は総額で4974億7238万円、前年同月比4.2%増となり、7カ月連続でプラス。好調の要因は全国的に秋らしい穏やかな天候が続いたこと、土曜日が昨年より1日多かったことと発表された。
(スーパー)
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーである。
販売額は1兆0576億円(前年同月比プラス4.0%)。
季節調整済ではマイナス0.5%。既存店は2.3%プラスであった。
衣料品全体では前年同月比プラス3.7%。
商品別でプラスとなったのは、紳士服・洋品4.9%、婦人・子供服・洋品3.7%、
その他の衣料品が3.4%、身の回り品2.1%となり、全てプラスを計上した。
そして、「スーパー」の主力商品である飲食料品は4.0%増加となり好調であった。
また、その他は全体では前年同月比プラス4.2%。
商品別では、家具14.2%、家庭用電気機械器具プラス11.1%と大きな伸び。
その他の商品も4.4%、家庭用品0.5%の増加となった。
食堂・喫茶6.1%の減少となった。
日本チェーンストア協会から発表された10月のチェーンストア総販売額は、1兆0712億0651万円で、既存店前年同月比はプラス2.8%となり、経済省の数字に近いものとなった。
4.コンビニエンスストアの動向
商品販売額及びサービス売上高は9484億円(前年同月比プラス6.1%)。
内訳は商品販売額が9008億円(プラス6.0%)、サービス売上高は476億円(プラス8.3%)。
商品別にみると、
ファストフード及び日配食品は3566億円(プラス8.8%)
加工食品は2536億円(プラス7.0%)
非食品は2906億円(プラス2.0%)と、プラスが並んだ。
11月20日に日本フランチャイズチェーン協会から発表されたコンビニエンスストアの統計調査月報によると店舗売上高は、全店では、8784億6100万円(前年同月比プラス5.9%)。32カ月連続のプラス。既存店は、8025億4900万円(プラス2.5%)で7カ月連続のプラス。10月は全店、既存店ともに売上高、来客数、平均客単価すべてがプラスとなり、コンビニエンスストアは好調を維持している。
5.家電大型専門店販売額の動向
販売額は、3050億円(前年同月比プラス2.0%)。
商品別でプラスとなったのは、その他12.5%、生活家電11.2%、AV家電4.5%。
一方、通信家電▲11.7%、情報家電▲8.1%、カメラ類▲7.2%と減少したものも多かったが、
全体ではプラスを計上した。
6.ドラッグストアの販売額の動向
販売額は、4433億円(前年同月比プラス9.1%)。
商品別では、ビューティケア(化粧品・小物)11.8%、健康食品11.7%、
ヘルスケア用品(衛星用品)・介護・ベビー10.6%、OTC医薬品9.9%、食品9.3%、
家庭用品・日用消耗品・ペット用品8.1%、トイレタリー8.1%、調剤医薬品4.0%、
その他4.0%と全ての種別がプラスとなりパーセンテージの数字も高く好調を維持している。
7.ホームセンターの販売額の動向
販売額は、2733億円(前年同月比プラス3.6%)。
商品別でプラスとなったのは、園芸・エクステリア6.5%、ペット・ペット用品5.5%、
家庭用品・日用品5.4%、電気4.9%、DIY用具・素材3.0%、カー用品・アウトドア3.0%、
インテリア2.8%、オフィス・カルチャー0.9%のプラスとなった。
マイナスはその他で▲3.0%となった
10月の統計調査の結果は前年同月比で、卸売業▲1.9%、小売業プラス1.8%。
百貨店3.8、スーパー4.0%、コンビニ6.1%、家電大型専門店2.0%、ドラッグストア9.1%、
ホームセンター3.6%のプラスとなり、10月は卸売業以外は好調であった。
卸売業のマイナスが響いて全体では▲0.8%。ただ季節調整済前年同月比では0.4%プラスだったので、好調といっていいだろう。
この中でドラッグストアとコンビニエンストアは今月も商品別実績が全てプラスを計上した。
またホームセンターもマイナス項目は一つだけであった。
ドラッグストアの好調はやはりインバウンド効果であろう。
日本政府観光局(JNTO)が発表した10月の訪日外客数は、前年同月比43.8%増の182万9,000人で、これまで10月として過去最高だった2014年 の127万2,000人を55万7,000人も上回った。
10月は紅葉シーズンが始まり、中国の国慶節休暇、円安基調の継続、消費税免税制度の拡充による買い物需要、・航路路線の拡大、燃油サーチャージの値下がり、中国からのクルーズ船の寄港増加、査証免除や要件緩和など多くの好条件が重なり、大幅な増加につながった。10月までの累計では、中国が428万4,000人となり、全市場で初めて年間400万人を超えた。
11月は紅葉シーズンが本格化し、また、マレーシアやフィリピンの学校休暇、マレーシアやベトナムからのインセンティブ(報奨)旅行などがあるので、商業動態にも少なからず影響を及ぼすことになるだろう。
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