【9月百貨店】売上高▲5.0%も、プロ野球優勝効果で広島4.7%、札幌0.9%増!

日本百貨店協会から9月の百貨店売上高概況が発表された。調査対象百貨店は81社236店。前月と変わらず。
売上高は4233億6048万円、前年同月比▲5.0%と、7カ月連続でマイナスとなった。
9月は全国的に気温が高めだったうえ、台風や秋雨前線の影響から秋物需要、とくに主力の衣料品が低迷したことが大きな要因。さらに祝日が一日少なかったことなどがマイナス要因として挙げられている。協会は「経済への先行き不安感があり、節約志向や生活防衛意識の高まりが長期化している」と分析している。

また売上高97.1%を占める国内市場は4.8%の減。インバウンド(同シェア2.9%)は、購買客数は15.9%プラスとなり44カ月連続で増加しつつも、購買単価の下落が続き、売上高は▲10.1%。6カ月連続での減少となっている。売れ筋が家電などの高額品から消耗品に移っているためだ。百貨店のインバウンド頼みにもアゲンストの風が吹き出した。

主要10都市は全体で対前年同月比▲5.5%。
内訳をみるとプラスだったのは、広島4.7%と札幌0.9%。
「広島東洋カープ」が25年ぶりのセリーグ優勝を果たした広島、パリーグ優勝の「日本ハムファイターズ」の本拠地である札幌だけがプラスとなった。スポーツの影響力の凄さだ。

仙台▲13.0%、名古屋▲10.9%、福岡▲9.1%、大阪▲7.3%、京都▲7.1%、横浜▲5.7%、神戸▲5.6%、東京▲3.4%と、ほかの地区はすべて前年同月比はマイナス。

また10都市以外の地域は、全体では▲4.0%。
北海道だけが43.6%と好調。伸長率が大きいのは、昨年9月の天候不良による不調の反動だろう。それに加え、日本ハムファイターズの優勝景気と秋の行楽シーズンの観光客需要によるもの。

一方マイナスは、四国▲10.4%、近畿▲7.4%、中部▲6.0%、中国▲5.7%、九州▲5.2%、東北▲4.5%、関東▲2.9%。

主要5品目の9月の動向は以下のとおり。

主力の衣料品は、1337億1958万円、▲8.9%で11カ月連続マイナス。
婦人服▲8.9%、紳士服の▲10.7%とすべて不調に終わった。

身のまわり品は、579億8352万円、▲5.6%となり、2カ月連続マイナス。

雑貨は、768億8811万円、▲1.2%で2カ月連続マイナス。そのうち化粧品だけは6.8%増と、18カ月連続で好調を維持している

家庭用品は、199億0516万円、▲6.3%で9カ月連続マイナス。家電は25.4%と大幅に売上げを伸ばし、反対に家具は▲18.8%と二桁減となった。

食料品は、1087億6640万円。▲2.4%と7カ月連続。生鮮食品、菓子、惣菜すべてがマイナスだ。

主要5カテゴリーすべてが、8月に続き2カ月連続でマイナスという結果に終わった。

大手百貨店グループの9月の業績を個別に見てみよう。(%はすべて対前年同月比)

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)▲4.4%。
三越伊勢丹計は▲3.7%。
三越伊勢丹単体では、主力の衣料品は▲5.7%。紳士服、婦人服・子供服・呉服寝具のカテゴリーでマイナス。とくに紳士服は▲12.0と二桁減だった。家庭用品は全体でプラス5.0%。その中でも家電が38.2%増と好調だった。家電、とくに白物家電は新モデルに切り替わる前の9月がセール期。昨年が二桁の落ち込みだったこともあり、今年は大きく伸びた。
インバウンドは客足プラス、売上げマイナスの苦戦が続く。

J.フロント リテイリング㈱  ▲7.9%。
好調だったのは化粧品。また、名古屋店のメンズ売場改装効果により、紳士服飾雑貨が堅調に推移した。しかし、秋物婦人服は、気温高の影響で動きが鈍かった。また心斎橋店本館建替えによる面積減も響いている。

㈱髙島屋 ▲4.5%
好調だったのは雑貨で、プラス6.4%。とくに化粧品は14.4%と二桁増となった。
衣料品▲9.4%、身の回り品▲6.0%、家庭用品▲8.7%、
食料品▲2.3%、食堂・喫茶▲1.4%と他のカテゴリーはマイナス。

エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  百貨店は▲6.9%。
部門別詳細データは、全店(阪急阪神百貨店・阪食のスーパーマーケット事業・イズミヤ事業)の数字だが、唯一のプラスは雑貨の2.6%。衣料品、身のまわり品、食料品、雑貨など他はすべてマイナスという結果だ。

9月は、大手百貨店はすべて昨年同月比マイナスとなり苦戦した。台風の影響、気温高で秋物衣料の伸び悩み、また祝日が昨年より1日少なかったことを共通のマイナス要因として挙げている。

その中で、プロ野球優勝セールが地元の百貨店を潤した。
広島カープは9月10日という早い時期にリーグ優勝を決めたため、9月の売上げアップに大きく貢献した。
【そごう広島店】リーグ優勝翌日から7日間おめでとうセールを開催。
 25年ぶりにかけた25円野菜・惣菜などを多数販売。
【天満屋 広島アルパーク店】リーグ優勝翌日から、カープ優勝セールを7日間開催。
 優勝特別価格や特別商品を販売。カープ優勝記念大抽選会も開催。
【広島三越】リーグ優勝翌日から7日間開催。
 黄金時代を願い、黄金ボール・黄金バット・黄金昇り鯉などを用意。お楽しみ袋も準備した。

一方、パリーグ優勝の日本ハムファイターズの本拠地札幌では
【札幌三越】優勝翌日から5日間優勝セール開催。
【大丸札幌店】優勝・順位決定の翌日から7日間セール開催。
【さっぽろ東急百貨店】優勝翌日から5日間優勝セール開催。
ただし、日本ハムの優勝日は9月28日だったので、10月での売上げ効果が期待できる。

また10月に入ってからは各社ともに「日本シリーズ応援セール」が始まっている。10月22日が日本シリーズの開幕だが、「節約志向、生活防衛志向」を打破するほどに、地元商業は大いに盛り上がっている。最大のプロモーションテーマをどれだけ活かせるか。百貨店の底力を見せてもらいたいものだ。

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